国内エッジインフラ市場は高成長の予測

Edge Infrastructure

 IDC Japanは国内のエッジインフラ市場予測を調査した。同調査では、エッジインフラを「エッジ領域におけるテクノロジー全体を示し、ハードウェア、ソフトウェア、サービスの各サブセグメント全体を含むもの」と定義し、分析している。

 2022年のエッジインフラ市場(ハードウェア)の支出額は、前年比12.2%増の4,820億円、2026年には7,293億円と高成長が見込まれる。2021〜2026年の5年間における年平均成長率は11.2%の予測だ。

 高成長の背景には企業が生成するデータ増加がある。2022年に全世界では101ZBのデータが生成され、2026年には2倍以上の221ZBになると予測した。その内、2022年に全体の約60%であった企業の生成データは、2026年には約70%に増加するとみている。

 企業の生成データが増加する中、AI技術を利用した高度なデータ分析処理のニーズが高まる見込みだ。加えて、高度な分析処理に使用されるデータは動画や静止画などの非構造化データが増加し、種類も豊富になると予測する。結果としてエッジコンピューティングのニーズは高成長し、全体の約60%のデータがエッジインフラにて生成されると展望している。

 IDC Japan Enterprise Infrastructure リサーチマネージャー 下河邊雅行氏はITベンダーがエッジインフラ市場に投資する注意点をこう指摘する。「国内エッジインフラ市場は、今後の高成長が期待できる市場です。しかし、エッジ領域は非常に広大です。ITベンダーは、エッジインフラビジネス全体を俯瞰し、ビジネス領域のセグメンテーションを行い、きめ細かく注力エリアを選定することが必須です」

ゲートウェイやIoT市場が拡大傾向

 同調査ではエッジインフラ市場を各サブセグメントおよび各ドメイン別での市場予測を行っている。

 サブセグメント別の調査では「サーバー」「ストレージ」「ゲートウェイ」「ネットワーク機器」の四つに分類した。その内最大支出額の市場がゲートウェイとなり、支出額は前年比12.1%増の2,989億円、2026年の同支出額は4,366億円に拡大すると同社は予測している。また、2021〜2026年の年平均成長率は10.4%と、サブセグメントの中で2番目の成長率を見込んだ。予測期間を通じてエッジインフラ市場全体の約6割を占めることから、高い成長が期待される。なお、サーバー市場は最大成長率が期待でき、年平均成長率は19.1%、2026年の同支出額は1,381億円と予測した。

 一方、ドメイン別の調査では「AI」「AR/VR」「Drones」「IoT」「Robotics」「Service Provider」の六つに分類した。その内最大支出額の市場がIoTであり、支出額は前年比13.8%増の2,191億円、2026年の同支出額は3,427億円に拡大する予測だ。また、2021〜2026年の年平均成長率は12.2%と、ドメインの中で2番目の成長率の見通しだ。予測期間を通じてエッジインフラ市場全体の約4割強〜5割強を占めることから、高成長が期待される。なお、最大成長率が期待できる市場としてサービスプロバイダーを挙げ、年平均成長率は29.9%、2026年の同支出額は1,295億円と予測した。

法人向け有料名刺管理サービス市場は拡大続く

Business Card Management Service

 シードプランニングは法人向け有料名刺管理サービスの市場規模予測を調査した。同調査によると、有料名刺管理サービス市場は2013年には約14億円であった。そこから、2015年に約33億円、2021年には2013年の約14倍の198億円まで拡大し、2025年には264億円となる予測だ。

 背景として、2020年から続くコロナ禍により非接触ビジネスが注目され、法人向け有料名刺管理サービスが従来の単機能サービスから、営業支援DXとして位置付けられたことがある。コロナ禍によって、ウェビナーやオンラインイベント、リモートでの商談が増加し、オンライン名刺交換機能などの新機能に注目が集まったのだ。さらには、2015年以降各社が注力している営業支援システム「Sales Force Automation」(SFA)、顧客管理システム「Customer Relationship Management」(CRM)などのほかのソリューションとの連携機能の重要度が、DX、テレワークの普及により増加したためと分析している。

 一方で、参入企業28社による売上シェアはSansanが81.6%、2位以下のグループは約20%以下と、業界最大手のSansanが市場をけん引している。また、利用動向のユーザーアンケートでもSansanが最も多い48%。2位グループは6%以下と、こちらでも業界最大手のSansanが高い割合を占める結果となった。

IoT関連ビジネスへの新規参入企業は456社

Internet of Things

 矢野経済研究所はIT関連事業者のIoT関連マーケットへの新規参入状況を調査した。調査では、国内において1995年度以降に設立、かつ資本金15億円未満のIT関連事業者を対象とし、新規参入を確認できた456社の販売・営業先ターゲットとしている業種(複数選択有)を分類した。

 業種ごとで最も出現率の高い分野は「マーケティング/サービス」が163件/出現率35.7%となった。次いで「小売/流通」が161件/同35.3%、「製造」が159件/同34.9%と3割を越え、多い参入結果となった。一方で、「農業・畜産」27件/同5.9%、「教育・トレーニング」66件/同14.5%などが少ない参入結果となった。

 なお、同社が汎用用途として考える「IT(情報通信)」120件/出現率26.3%、「教育・トレーニング」66件/同14.5%、「その他IT(汎用含む)」201件/同44.1%の3業種の件数が計387件。そのため、IoT関連ビジネスへは業種を問わない汎用ツールの活用としての参入も多いと分析している。

 また、IoT関連ビジネスへの参入領域/展開事業領域についても調査している。同調査では249社/出現率54.6%と、過半数を超える企業がIoT関連ベンダーとしての事業展開を行っていることが明らかになった。次いでAI/解析関連ベンダー145社/同31.8%、スマートデバイスベンダー92社/同20.2%としての事業展開が多くみられた。

 そのほか、自社業務の効率化などを目的としたIoT/AI活用や、自社製品・サービスへのIoT/AIテクノロジーの適用を中心に行う自社活用系が208社/出現率45.6%。一方で、独自開発したAIシステムの外販を中心とする異業種参入系は38社/同8.3%であった。同社は近年のIoT関連ビジネスの拡大とともに、IoT領域/IoT活用を狙った新規参入が拡大すると分析している。