テレワーク用端末としてセキュアなノートPCを導入したい

テレワーク実現のための持ち出し用ノートPCの導入を検討するものの、セキュリティに不安を抱える企業は少なくない。端末を社外に持ち出せば紛失や盗難、サイバー攻撃に遭うリスクが高まるからだ。テレワーク利用に最適なセキュアなノートPCを検討していこう。
※価格は全て税込

支給するPCの安全性に不安

 2021年5月17~27日に、東京商工会議所が東京23区の企業を対象に「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」を行った。その中で、テレワークを実施している企業が抱える課題についても調査されている。その回答を見ると「情報セキュリティ」が56.7%で最も多く、次いで「社内コミュニケーション」が55.9%、「PCや通信環境の整備状況」が55.1%となった。上記を踏まえると、テレワークを推進している企業でも、セキュリティ対策や端末整備に課題を抱えていることが分かる。

 テレワーク時の情報セキュリティの課題を解決するための対策は、公衆無線LANに接続する際のサイバー攻撃リスクを前提として検討することが重要だ。例えば、悪意のあるネットワークを遮断したりマルウェアを自動的に除去したりするような機能が求められる。支給した端末を持ち出すことで盗難に遭う可能性もあるので、社内情報の漏えいリスクから守る仕組みも欠かせない。

 こうしたテレワーク時のセキュリティ課題を解決するのが、モバイル用途に役立つ保護機能を搭載したノートPCだ。テレワークを実施している企業やこれから実施する企業が安心して働くためのセキュアなモバイルノートPCを提案しよう。

テレワーク時のセキュリティを担保

テレワーク環境でも安全に活用できる機能を搭載したノートPCの選定ポイントを見ていこう。

 一つ目は、不審な振る舞いをするネットワークの検知に対応している点。出先のカフェで公衆無線LANを利用して急ぎの仕事に対応するような際には、サイバー攻撃者による悪意のあるアクセスポイントに接続してしまうリスクもある。不審なネットワークを検知する機能が搭載されているノートPCなら、社外でPCを活用して業務を行う場合も、リスクを回避できるだろう。

 二つ目は、社外に持ち出した端末を盗難・紛失した際に、遠隔でHDD/SSDデータを消去可能である点。テレワークで持ち出す機会が多くなっているノートPCは、盗難に遭うリスクも増える。そうした場合でも遠隔でデータ消去を行えるので、情報の漏えいリスクも抑えられる。

 三つ目は、サイバー攻撃に対して端末の迅速な復旧を行う独自チップを内蔵しているノートPC。常にPCの状態を監視し、万が一BIOSが攻撃された場合もすぐに復旧できる。

 今回は、レノボ・ジャパン、パナソニック、日本HPに製品を提案してもらった。

物理的な保護対策&公衆無線LAN診断

ThinkPad X1 Nano
レノボ・ジャパン
18万3,700円

 Web会議時のセキュリティ対策や公衆無線LANの安全性の診断が行える13インチノートPC「ThinkPad X1 Nano」を提案する。

 ThinkPad X1 Nanoは、CPUに第11世代の Core i5-1130G7プロセッサーやi7-1180G7プロセッサーを搭載可能だ。最大約23時間の長時間稼働を実現し、電源のない場所でも快適に作業をこなせる。13インチのモニターには16:10のフルHDを採用。表示領域の横幅が広いためWebブラウザーやアプリケーションなどを横に並べて表示でき、ウィンドウの切り替えの手間を減らせる。

 Web会議後に万が一カメラをオフし忘れた場合、個人情報を漏えいするリスクが高まる。ThinkPad X1 Nanoには、カメラレンズカバー「ThinkShutter」が搭載されており、カメラが必要ない場合は指一本でカメラをオフできる。PC上の設定などを開く手間がないため、Web会議時の情報漏えい防止を実現する。ユーザーがPCの前からいなくなると自動でスクリーンをオフにし、戻るとオンにする「Human Presence Detection」にも対応。社外で仕事をする場合の盗み見対策も本機能でカバーできる。

 出先で業務を行う場合、公衆無線LANを通じて不正にアクセスされたり攻撃を受けたりする可能性もある。ThinkPad X1 Nanoでは、不審なネットワークからユーザーを保護する「Lenovo Wi-Fi Security」にも対応している。本機能では、接続するネットワークがセキュリティ基準に達しているか、構成されたアクセスポイントにデータを漏えいするリスクがあるかなどを判断し、不正にデータを転送するネットワークを検知する。Lenovo Wi-Fi Securityはユーティリティアプリケーション「Lenovo Vantage」から利用可能だ。物理的対策からネットワーク監視までを実施できるThinkPad X1 Nanoは、安全なリモートワークをサポートする。

PCのデータをリモートで安全に消去

CF-FV1SDKVS
パナソニック
オープンプライス

 PCの廃棄や紛失時に、内部のデータを安全に遠隔消去する14インチノートPC「CF-FV1SDKVS」を提案する。

 CPUはインテル Core i7-1185G7 プロセッサーを搭載している。インテル Evo vPro プラットフォームに対応しており、遠隔操作でのセキュリティレベルのチェックやファイル更新が可能なインテル vPro テクノロジーを利用可能だ。システム管理者の業務の効率化やメンテナンスコストの削減に貢献するだろう。独自のCPU電力制御技術「Maxperformer」にも対応。本体動作時にCPU内のさまざまな部分の温度を監視しながら動作内容ごとに適切な電力制御を行うため、テレワークでも省電力で稼働できる。筐体には金属の剛性も維持しつつアルミニウムよりも軽量なマグネシウム合金を採用し、本体重量約1.2kgと14インチのPCとしては比較的軽量だ。

 セキュリティ面では、ファームウェア攻撃からPCを保護するSecured-core PCに対応。OS起動前のBIOSによる初期化中からファームウェア攻撃を検知できる。OS起動後は、スリープ時も含め稼働中にアプリケーションを実行している時までOS主体で保護し、不正なアクセスや改ざん等を監視可能だ。さらに不正なアクセスからデータを保護する「Intel Hardware Shield」も搭載している。BIOSやファームウェアをチェックし改ざんやマルウェアの感染を検知すると、OSとIntel Hardware Shieldが連動して、マルウェアの作動を阻止できる。

 万が一PCが盗難されたり紛失したりした場合にも、ワンビのHDD/SSDデータを遠隔消去可能なクラウドソリューション「TRUST DELETE Biz」に対応しているためセキュアなデータ消去が可能だ。本機能により、ストレージのデータを遠隔操作でOSごと消去できる。社内情報の漏えいリスクを抑えたデータ消去を実現する。

強固なセキュリティ機能を搭載した、超軽量、高性能のコンバーチブルPC

HP Elite Dragonfly G2
日本HP
20万3,280円~(スタンダードモデル)

 サイバー攻撃に対しての迅速な検知・復旧ができるチップを実装した13.3インチコンバーチブルPC「HP Elite Dragonfly G2」を提案する。

 HP Elite Dragonfly G2は、第11世代のインテル Core i5-1135G7プロセッサー、i7-1165G7プロセッサーのいずれかのCPUを選択可能だ。第10世代のプロセッサーと比較してアプリケーションやWebブラウジングの処理速度を向上しており、リモートワーク時でも効率よく業務を行える1台だ。

 Bang&Olufsenが監修したステレオスピーカーや、周囲の音を効率よく取り込めて周りの音声を正確に届ける「360°全方位マイク」も備える。周囲のノイズやキーボード音を除去するAIベースのノイズキャンセル機能にも対応し、リモートワーク時のWeb会議でもノイズの少ないスムーズなコミュニケーションを実現できる。

 場所を問わず利用するノートPCは、紛失する可能性もある。HP Elite Dragonfly G2では、忘れ物防止に役立つスマートトラッカー「Tile」を内蔵しているため紛失した際にもPCのトラッキングができ、おおよその場所を推定可能だ。

 万が一サイバー攻撃に遭った場合に備えて、端末の迅速な復旧を実現する独自開発チップ「HP Endpoint Security Controller」を搭載している。常にPCの状態を監視するため、BIOSが攻撃された場合もすぐに復旧できる。マルウェアに感染したWebサイト、ダウンロードファイル、メールの添付ファイルなどからPCを守る「HP Sure Click」といったソフトウェアによる保護にも対応。マルウェアが組み込まれたWebサイトを閲覧しても、不審な振る舞いをするページを閉じるだけでマルウェアを自動的に削除するサンドボックスとして利用できる。