生成AIをはじめ新しいテクノロジーが次々と提供され、その活用はビジネスにおいても社会においても課題解決や成長、発展に向けて不可避となっている。こうした状況への対応に、企業や組織で運用されているデジタル基盤の準備は整っているのか。
奇しくもこれまで企業や組織のデジタル基盤の一つであるHCI環境を支えてきたVMwareがBroadcomに買収され、混乱が生じている。BroadcomによるVMwareの買収により従来の製品が主に「VMware Cloud Foundation」に統合され、ライセンスは包括的なものになったことで、これまで単一の製品を利用していたユーザーは実質的なコスト増への対応に戸惑っている。
新しいテクノロジーの活用への備えとともに、BroadcomによるVMwareの買収が引き起こした突発的な変化への対応に向けて、企業や組織のデジタル基盤に用いるテクノロジーを見直す機運が高まっている。本特集ではこれからのデジタル基盤を支えられる仮想化基盤の選択肢について検討を促す。

AIなどの革新的テクノロジーが台頭する中で
VMwareでデジタル基盤を支えられるのか

VMwareがBroadcomに買収されたことでライセンス体系の変更、製品の統合や利用の制約、OEMパートナーの見直しなどが図られ、市場やユーザーが混乱に陥っていることは周知の通りだ。ライセンス体系の変更や製品の統合によって、運用中のVMware製品のコスト負担の増加や、運用中の基盤に変更を加えなければならないといった影響が生じている。そして何よりも、VMware製品に関して今後もライセンス体系や製品ラインアップ、利用条件などに変更が生じるのか、不透明な状況に不安を募らせている。こうした混乱や不安に対してどのように対処すべきなのか、VMwareのテクノロジーおよび製品に日本でいち早く着目し、そのビジネスに長年にわたり携わってきた日本仮想化技術 代表取締役社長 兼 CEO 宮原 徹氏に話を伺った。

混乱の原因となる変更や制限は
顧客ターゲットを変えた結果か

日本仮想化技術
宮原 徹

 宮原氏が代表を務める日本仮想化技術は、当時日本ではまだ活用されていなかった仮想化技術にいち早く着目し、その普及を目指して2006年に設立された。同社は仮想化技術の研究・開発、技術開発や仮想化技術を活用したITインフラの構築やシステム開発に携わっている。さらに現在は仮想化技術だけではなくコンテナなどの最新テクノロジーにも着目し、取り組みを広げている。

 まずVMwareを巡る混乱について宮原氏の見解を伺った。

VMwareの混乱はお家芸

 昨今のVMwareを巡る混乱が急に問題化したような印象を受けている人が結構いますが、2022年にBroadcomがVMwareを買収した後、ライセンス体系を変更するなどのメッセージは結構前から発信されていました。

 実はBroadcomに買収される以前から、VMwareはライセンス体系を何度も変更してきました。当初はCPUのソケットライセンスでしたが、CPUのコアが増えてくるとコア数に応じたライセンスに変更し、またソケットライセンスに戻すなど、現在と同じような状況でした。

 ただし現在のライセンスは16コアが最小単位となっており、中小規模のシステムでは過剰なコスト負担になってしまうというのが問題視されています。

 これは製品ラインアップにおいても同様です。従来は機能単品で提供されていた製品がスイート製品に統合され、例えば一つの機能だけを使いたくてもスイート製品のライセンス購入が必要になっており、ユーザーに必要のない機能にもコスト負担が強いられます。

 見方を変えるとBroadcomは大規模システムを対象としたビジネスを主戦場に変えたとも言えます。従来のVMware製品は機能単位で、中小規模システムで気軽に低コストで導入、利用でき、それが評価されて多くの顧客を獲得してきました。しかし今後は大規模システムを運用する、例えば大規模なクラウドプロバイダーに絞って効率よくビジネスを展開していこうとしているように見えます。(宮原氏)

成熟して安定性が高い魅力と
革新的なテクノロジーの不足

日本仮想化技術の代表取締役社長 兼 CEOを務める宮原 徹氏。オープンソースと仮想化技術、クラウドのエバンジェリストとして活躍しており、著作が多数ある。写真の書籍は日本仮想化技術のスタッフが執筆した「仮想化環境の構築から運用まで Proxmox VE実践ガイド」(日経BP)。Proxmox VE(Proxmox Virtual Environment)とはオープンソースの仮想化プラットフォームだ。

 世界中で数多くの顧客を獲得してきたVMwareだが、テクノロジーの観点からVMwareのテクノロジーおよび製品に対する価値はどう評価されているのだろうか。

革新的なテクノロジーは期待できるか

 私がVMwareに触れたのは2005年で、VMware ESX/ESXi 2.5や3の時でした。それからバージョンアップを重ねてバージョンが6や7になって非常に安定しました。VMwareはサーバーソフトウェアですから、複数ノードを集中管理できて、メンテナンスの際にライブマイグレーションが可能で、何か障害が生じたらきちんとフェイルオーバーしてくれるといった基本的な機能がしっかりしていることが重要です。

 その点においてVMwareのテクノロジーおよび現在の製品は安定性が高く、画面が分かりやすくて使いやすいといった魅力があります。特に何か問題が見つかるとVMwareはパッチが提供されることも安定性と管理のしやすさにつながっており、細かくアップデートが提供されてきました。そのためメジャーバージョンアップしなくても使い続けられるというメリットがありました。大幅なアップデートをするとなると、管理ツールからOSまで入れ替えなければならず面倒ですから。

 こうしたVMwareの従来のきめ細やかなサポートによって、買い切りライセンスを購入したユーザーは安定して稼働しているシステムの大幅なアップデートをすることなく、サポートが切れても従来のバージョンのまま使い続けているというケースが結構多くあります。

 管理者にとってサーバーソフトウェアは変わらない方がありがたいものです。VMwareの製品は成熟して安定性も高く5年、10年にわたって使い続けられ、しかもライセンス費用も従来はリーズナブルだったので、ユーザーとしても革新的な新しいテクノロジーを必要としていなかった側面もあります。実際にVMwareも昨今は革新的なテクノロジーを提供しませんでしたし、その開発に取り組んでいるという話も聞きませんでした。

 VMwareに対する需要がひと段落して、良くも悪くもこのままロングテールで徐々に役目を終えていくのだろうとみていました。(宮原氏)

VMware環境を塩漬けするのではなく
新しいテクノロジーの取り込みにつなげる

 従来のVMwareの魅力だった細かなアップデートによる問題の修正や、リーズナブルなライセンス費用、必要な機能やアプリケーションだけを利用できたラインアップの柔軟性などが失われてしまった現在、これまでのVMware環境はどう扱うべきなのか。

VMwareの代替ではない選択をすべき

 一時期はBroadcomの情報の発信や提供が滞っていたため先が見えずに非常に混乱していましたが、現在は混乱が落ち着いてきたように見えます。そして既存のVMware環境をどうすべきかの検討をする企業が増えています。

 まずほかの環境に移行しにくいシステムをVMwareで運用しているケースや、VMwareで運用しているシステムの規模が小さいケースでは、買い切りライセンスをそのまま塩漬けで2〜3年使い続けて、リソースを増やさなければならない部分をクラウドへ移行するといったシナリオが考えられます。

 しかし企業や組織の将来を支えるためのデジタル基盤の戦略という観点では、枯れたテクノロジーに頼って安定性を優先したり、今後もコストやテクノロジーの進化にリスクのある環境を利用し続けたりするのは非常に危険だと思います。

 VMwareのテクノロジーが進歩しないと言っているわけではなく、すでにAIの活用が急激に拡大、進展している中で、それに対応していくためのテクノロジーを選ぶ必要はあります。また予測不可能なこれからの変化への対応という点で、開発・運用環境のモダン化も不可欠でしょう。

 アジャイルやDevOpsといった開発手法の実践や、Kubernetesなどのコンテナ技術を用いたクラウドネイティブなシステムの開発や運用などは、VMware対策と関係なくどの企業や組織にも共通する課題であり、取り組みを進めなければなりません。

 AIなどの新たなテクノロジーの活用が喫緊の課題となっている現在、VMwareの代替という観点ではなく、既存の環境を見直す好機と捉え、自社のビジネスに最適なIT環境を再考すべきです。(宮原氏)

現行VMware環境からの移行パターンは四つ
コストとリスクのバランスを踏まえた選択を

BroadcomがVMwareを買収したことに伴い、「VMware vSphere」などの仮想化基盤製品を利用していたユーザー企業に大きな影響が生じている。これらのユーザー企業は今後、どのような行動を取るべきなのだろうか。IT調査・コンサルティング会社のアイ・ティ・アール(以下、ITR)でクラウドコンピューティングやインフラストラクチャ、開発プラットフォーム、システム運用管理などの分野を担当しているシニア・アナリスト 入谷光浩氏に、企業が利用する仮想化環境のこれからを取材した。

仮想化の5割はVMware基盤
大規模ユーザーほど利用が多い

 2023年11月22日、BroadcomによるVMwareの買収が完了した。それによって発生した変化について、入谷氏は次のように語る。

「まず一番大きな変更といえるのが、ライセンス体系です。永久ライセンスの販売が終了し、サブスクリプション契約でのみの購入へと移行しました。VMware製品を利用していたユーザーは、もともと多くが永久ライセンスを購入し、そこに保守サポートを付ける形で仮想化環境を利用していました。しかし、今回のライセンス体系の変更に伴い、そうした買い切りでの利用ができなくなります。永久ライセンスでの保守契約の更新も終了し、サブスクリプション契約に含まれるようになりました。二つ目に、購入単位がこれまでのCPUソケット単位から、CPUコア単位へと変更されました。このコア数にも縛りがあり、1CPU当り最小16コアから購入することになります」と語る。

 続けて三つ目に、エディションの変更を挙げた。vSphereや「VMware vSAN」「VMware NSX」など個別コンポーネントと各エディションを組み合わせた購入ができなくなり、代わりに四つのスイートパッケージに変更された。

 また最後の四つ目として入谷氏は「カテゴリーの分類や基準は非公開ですが、顧客をそれぞれカテゴリーに分類し、そのカテゴリーによって購入できるエディションも限定されていると聞きます」と入谷氏は指摘する。ITRが2024年9月に大企業を対象に実施した「インフラ実態調査2024」によると、仮想化基盤で最も多く使用されているのはVMware基盤(VMware ESXi)であり全体の53%を占める。このVMware基盤上で稼働している仮想サーバーの台数は、1,000台以上が41%、100〜999台が30%、99台以下が29%であり、大規模ユーザーが多いのが特長であり、ライセンス体系の変更による影響は少なくないだろう。

正確な情報を得た上で
インフラ環境を可視化しよう

 ライセンス体系の変更に伴い、これらのユーザーにはどのような影響が懸念されるのだろうか。入谷氏は「まず挙げられるのが、コストの上昇です。製品がスイートパッケージ化されたことで、エンドユーザーにとっては目的の製品以外も併せて購入する必要があり、コストが増加してしまうのです。これまでと比較して2〜5倍にコストが上がってしまうユーザーもいるでしょう。また、こうしたライセンス体系の変更が今後も起こるのではないか、といった不信感も生じています。買収によってこれまでのサポート体制から変更が生じ、サポート品質が低下することも懸念点として挙げられます。これまでVMware製品を取り扱っていた販売パートナーも、関係性が継続できるのかといった懸念を抱えていることでしょう」と指摘する。

 こうした懸念点に対して、エンドユーザーや販売パートナーはどのような対応を取るべきなのだろうか。入谷氏は「まずはベンダーや販売代理店から正確な情報を得ることが重要です」と指摘した。

「既存のVMware環境を維持するにしても移行するにしても、まずはコストの試算が必要です。そのためには正確な情報を得なければいけません。それらの情報を基に、自社のVMware資産の棚卸しを行い、情報を可視化し、現在の環境を維持する場合と移行する場合で、これまでと比較してコストがどれくらい変わるのかを試算しましょう」と入谷氏。

 すでにVMware環境の見直しや移行を進めている企業も少なくない。ITRが実施したITインフラ実態調査2024では、「VMware基盤から他の仮想化基盤への移行方針:仮想サーバー規模別」の調査も行っている。

 本調査によると、全体で82%と多くのVMwareユーザーが、ほかの仮想化基盤へ移行する方針を示している。「特に1,000台以上の仮想サーバーを稼働させているユーザーは89%が移行の方針を示しており、仮想サーバー台数の規模が大きいほど、移行の方針を示している割合が高いといえます。なお、ここで示しているVMware環境はオンプレミス上で稼働するものを指しています」と入谷氏は指摘した。

VMware環境の次の選択肢として
クラウドのニーズが高まる

アイ・ティ・アール
入谷光浩

 では、VMware環境の次の選択肢として、ユーザー企業はどういったインフラを選ぶのだろうか。入谷氏は四つのパターンを示した。

「一つ目に、現在のオンプレミスのVMware環境を継続して使うパターンです。これまでの永久ライセンスからサブスクリプション契約に切り替え、継続してVMware環境を利用する企業も一定数います。当社の調査では18%が継続して使用すると回答していました。二つ目がクラウド環境にVMware仮想化基盤を移行するパターンです。これは最も多く、全体の41%を占めます。例えば『Microsoft Azure』や『Google Cloud』ではVMwareベースのクラウド環境が提供されていますので、移行先の有力な選択肢になるでしょう」と入谷氏。

 オンプレミス上の非VMware仮想化基盤へ移行する割合は18%。オンプレミスでVMware仮想化環境を継続して使用するユーザーの割合と同等だ。異なる仮想化基盤ソフトウェア製品(ハイパーバイザー)に移行したり、HCIを選択したりするケースが多い。また、クラウドサービス上の非VMware仮想化基盤へ移行する割合も多く、23%に上る。中でもAWSの「Amazon EC2」のようなIaaSに移行する割合が高いそうだ。

 こうした移行の動向について入谷氏は「VMware環境、非VMware環境を問わず、クラウドサービスを選択する割合が多いですね。多くのユーザーがクラウドシフトを進めたいと考えながらも、移行のタイミングがつかめなかった中で、今回のVMwareのライセンス体系の変更は、仮想化インフラのモダン化を進める一つの契機になったようです。また、移行後のことを考えることも重要です。これからのAI時代においては、クラウドベースの生成AIのみならず、自社でAIモデルを保有して運用をしていく方法を考える必要もあるでしょう。将来のビジネスの広がりを意識しつつ、移行先の検討を進めていきましょう」と提言した。

ハイブリッド・マルチクラウド環境を実現する
次世代の統合プラットフォーム

大きな変動を迎えているITインフラ市場の中で、新たな選択肢の一つとして注目を集めているのが、ニュータニックスである。そんな同社が提案するのが、オンプレミスもクラウドも関係なく一元的にコントロール可能な統合プラットフォームの「Nutanix Cloud Platform」だ。今、ニュータニックスが選ばれているその理由とNutanix Cloud Platformの導入メリットに迫った。

単なる仮想環境基盤だけではない
DHIとして単一のプラットフォームを提供

 BroadcomによるVMwareの買収を受けて、日本企業は今まさに、自社のITインフラ環境の見直しに追われている状況にある。「グローバルでは、BroadcomによるVMwareの買収に関する発表があった2022年ごろから、多くの企業がIT基盤の見直しや準備に取りかかっていました。その一方で日本企業は、グローバル企業と比較すると、現状の把握や意思決定に時間を要し、具体的な対応策の実行が遅れる傾向にあります。去年あたりから、徐々にIT基盤を見直す動きが始まり、問い合わせも増えてきているといった状況です」とニュータニックス・ジャパン マーケティング本部 シニア・プロダクトマーケティング・マネージャー 三好哲生氏は現状を語る。

 IT基盤の見直しを図る際、ハイパーバイザーを比較検討したいという考えの下、ニュータニックス製品を希望する企業は多い。しかし、その考えは間違いだという。

「当社はハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)の企業というイメージが強いかもしれませんが、現在はHCIから『Distributed Hybrid Infrastructure(DHI)』というカテゴリーに移行しています。DHIとは、オンプレミスもクラウドも関係なく一元的にコントロール可能な分散型プラットフォームを指します。単なる仮想環境基盤ではなく、オンプレミス、エッジ、プライベートクラウド、パブリッククラウドを意識せずに運用可能な『ハイブリッド・マルチクラウド』環境を実現する基盤です」とニュータニックス・ジャパン パートナー営業統括本部 第二営業本部 シニアチャネルセールスマネージャ 市川理樹氏は話す。

HCIという枠を超えて
異なる環境を統合

 ハイブリッド・マルチクラウド環境を実現するための統合プラットフォームとして、ニュータニックスが提供するのが「Nutanix Cloud Platform」だ。HCIという枠を超え、オンプレミス、エッジ、クラウドといった複数の異なる環境全体に対応するソリューションを統合した製品である。Nutanix Cloud Platformは、主として次の五つのソリューション群で構成されている。

・Nutanixクラウドインフラストラクチャ(NCI)
ハイパーバイザー「Nutanix AHV」、仮想化コンピューティング、仮想化分散ストレージ、仮想化分散ネットワークなどを含めたハイブリッドマルチクラウドインフラストラクチャ全体を統合する機能を提供。

・Nutanixクラウドマネージャー(NCM)
アプリケーションとITインフラの構築、利用、運用、ガバナンスの管理をよりシンプルにする包括的なマルチクラウド管理プラットフォーム。

・Nutanixユニファイドストレージ(NUS)
ブロックデータ、ファイルデータ、オブジェクトデータ、バックアップデータに対応し、単一管理インターフェースからあらゆるデータを管理・階層化・複製することが可能。

・Nutanix データベースサービス(NDB)
データベースの立ち上げ、アップグレード、クローニング、パッチ当て、バックアップなど、データベースに関する管理作業を自動化できる。

・Nutanix Kubernetes Platform(NKP)
「Kubernetes」を使用したコンテナベースのモダンアプリケーションの管理を簡素化する。高度なログ記録やリアルタイムの可視化機能、AIのアシスタント機能などを備え、Kubernetes運用にかかる労力を大幅に削減できる。

 これらのソリューション群によって、Nutanix Cloud Platformは、パブリッククラウドおよびプライベートクラウド、複数のハイパーバイザーやコンテナ、多様なコンピューティング、ストレージ、ネットワーク要件を持つあらゆる種類のワークロードとユースケースをサポートする。

 Nutanix Cloud Platformであれば、移行作業も容易に行える。「ニュータニックスでは『Nutanix Move』という移行ツールを提供しています。Nutanix Moveを活用すれば、最小限のダウンタイムで稼働中の仮想マシンを既存環境からNutanix環境へ自動的に移行できます。ドライバーを入れ替えたり、データを同期したりするといった移行プロセスを自動化できるため、移行にかかる時間も大幅に抑えられます。Nutanix Moveはクラウドとオンプレミスのどちらの環境にも対応しているため、さまざまなお客さまのニーズに応えられます」(三好氏)

(左)ニュータニックス・ジャパン 市川理樹
(右)ニュータニックス・ジャパン 三好哲生

運用保守の負担を減らす
日常的なセキュリティ対策

 複雑で面倒な作業負担もなく、簡単に運用・管理できることもNutanix Cloud Platformの特長だ。管理ツールの「Nutanix Prism」を活用すれば、Nutanix Cloud Platform上で稼働するハードウェアやストレージ、ネットワーク、仮想マシンなどの管理を一括で行える。複数の管理ツールを使用しなければならないといった複雑さもないため、運用作業を効率化できる。

 運用保守において、アップデート作業がIT担当者の負担として挙げられる場合が多い。コンポーネント間の依存関係が複雑であったり、業務の停止が必要になったりすることを理由に、アップデートができていないケースもある。しかし、アップデート作業をしなければセキュリティリスクを高めてしまう。「Nutanix Cloud Platformは、システムを止めることなく自動でローリングアップデートが可能です。Nutanix AHVやBIOS、ファームウェアまで依存関係を把握し、アップデートを実行する順番も自動で指定します。アップデート作業にかかっていた負担を大幅に減らせるでしょう」(市川氏)

 アップデートだけではなく、日常的なセキュリティ対策も必要だ。Nutanix Cloud Platformには、セキュリティ対策機能も備えられている。「昨今では、ハイパーバイザーを攻撃対象とするランサムウェアが大量に出回っています。攻撃を受けると基盤丸ごと暗号化されてしまうといった被害が増えており、注意が必要です。Nutanix Cloud Platformは常時スキャンを行い、問題を発見すると即座に強制ロールバックを実行して復元を図ります。そのほかにもさまざまなセキュリティ機能を搭載しており、基盤事故を防ぎます」と三好氏は話す。

 最後に、市川氏は「Nutanix Cloud Platformは、HCIという言葉に縛られることなく、常に進化を続けています。今後も販売パートナーさまと共に、Nutanix Cloud Platformの販売拡大に向けてビジネスを加速していきます」と意気込みを語った。