社名を変更し、ビジネスチャット「Chatwork」に次ぐ事業を推進するkubell

コーポレートミッション「働くをもっと楽しく、創造的に」を掲げるkubellは、7月1日にChatworkから社名を変更した。kubellでは顧客のDXを実現していく「BPaaS(Business Process as a Service)」などの事業を、「Chatwork」に次ぐ事業として本格的に推進していくことを対外的に認知させる必要もあり、事業内容に合わせて社名を変更した。それに伴いグループ会社の社名も変更。今回「Chatwork」以外に話を伺ったオンラインストレージ「セキュアSAMBA」を提供するChatworkストレージテクノロジーズは、kubellストレージに社名が変更されている。

kubellが培ってきた「Chatwork」は特に中小企業における支持が高く、有料ユーザーの約97%が300人未満の企業。ほかのビジネスチャットは企業規模が大きかったり、SaaSなどのITツールに慣れていることが多いターゲットであるのに対し、ポジショニングの違いから顧客を取り合うということはなく、まだ導入が進んでいない企業を獲得するフェーズだという。

そのターゲットである中小企業に対しプロダクト開発や力を入れている部分、そして今回のアップデートでの「Chatwork」の改善点などについて、kubell コミュニケーションプラットフォーム本部 プロダクトエクスペリエンスユニット ユニット長の海老澤雅之氏に話を伺った。また、kubellストレージ セールス部・パートナーセールス部 マネージャーの吉田幸平氏にオンラインストレージ製品「セキュアSAMBA」について、合わせて話を伺った。

顧客のニーズから業務効率化がはかれる機能を選定してアップデートを推進する

kubell コミュニケーションプラットフォーム本部 プロダクトエクスペリエンスユニット ユニット長の海老澤雅之氏

「Chatwork」の話の前に、ビジネスチャットの市場について海老澤氏に説明をいただいた。そもそもビジネスチャット自体はインターネットの普及とともに登場し、長い歴史がある。「Chatwork」自体も2011年から提供しており今年で14年目だ。ここ数年は、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークも普及し、ビジネスチャットの普及率も拡大されたように考えていたが、海老澤氏によると日本でのビジネスチャットの普及率は、意外にも昨年末時点で約19%とのことで、まだまだ普及の余地があるという。

「Chatwork」が中小企業に受け入れられている要因について尋ねると「全業種、全職種の方が日常的に使っているのが『Chatwork』の特徴です。特定の業務向けではその業務に携わる社員しか使いませんが、すべての社員に出勤から退勤まで使われ、モバイルアプリで社外からでもアクセスできます。また、シンプルで誰もが使えるという点や、他社とのやり取りにも使われることが多いのも受け入れられた要因と捉えています。基本的に一貫性のあるユーザーインターフェイスで、アップデートなどでUIがガラッと変わってしまうこともないので、安心してお使いいただけています」と海老澤氏は解説する。

また他社とつながることを意識して作られたプロダクトなので、まとめて管理ができること、無料プランが用意されているので、「Chatwork」を使っているユーザーから勧められて広がった経緯もあるとのことだ。

業種や業務を選ばず、シンプルな機能で誰でも使えるのが人気の秘密

そうした環境の中、顧客のニーズや要望にそった機能開発を進めているという海老澤氏。「需要が増える中でインフラの増強やシステムのリニューアルもしなければなりませんが、安定してサービスを届けるということと、ニーズに応えること。そのバランスをとるのが難しい部分はありますが、今年は特にお客さまのご要望に応えることに重点を置いています」と述べ、今後の有料プランユーザーを対象とした、アップデートについて解説していただいた。

まずはリアクション機能の拡充。「Chatwork」ではコミュニケーションしている相手に対し、文章ではなく絵文字でリアクションできる。「いままでのリアクションは6種類に限られていたため、本当は使いたいリアクションがないという要望をいただいていましたが、大幅にバリエーションを増やします(2024年8月に機能リリース済み)。これにより豊かなコミュニケーションが取れるようになります」と海老澤氏。

メッセージとして入力する文章は感情を表さないので、相手の読み方によっては違う意図に取られることもある。デジタルコミュニケーションのスキルの差や、それぞれの環境、地域的な差、年齢、性別の違いといった部分で認識の違いが生まれることもあるし、最近では「マルハラ」と呼ばれる、語尾の句点のあるなしで威圧感を覚えてしまうという例もある。海老澤氏は「本当はリアクション1つ選べばコミュニケーションできていたところを、その種類が少ないがためにメッセージを打たなければなりませんでしたが、種類が増えることによって効率化が進み、円滑なコミュニケーションができるようになります」と語る。

また、ビジネスチャットはどんどん相手が増えていくため、たくさんのメッセージが届き、開封したメッセージがどこにあるかわからなくなるということが起きてくる。「これは多くのチャットルームや相手とのやり取りを管理している方々から高いニーズがあったのですが、自分宛のメッセージ履歴でグループチャットを横断し、時系列で確認できる機能を開発しています」という海老澤氏は「業務効率化やコミュニケーション自体を見失ってしまうことで分断され、発生する機会損失を防げるよう、スムーズにコミュニケーションできる機能として開発しています」と述べた。

「Chatwork」のアップデートプラン。8月から順次適用される

さらに「それともう1つ、メッセージの予約投稿機能を開発中です」と海老澤氏。「お客さまとのやり取りで、営業時間外に返信してしまうとスマホに通知が飛んで迷惑をかける、あるいは、気を遣って夜送らずにいたら次の日の朝バタバタして失念してしまうということがあると思います。そうしたことも機会損失につながっていくので、送信予約をして相手の営業時間に届けられれば漏れのないコミュニケーションが取れます」とのこと。メッセージ履歴と予約投稿機能は近日リリース予定だ。

これらのアップデートは顧客の要望の中から業務効率化につながるもの、機会損失をなくすものといった観点で選定し、開発しているとのことで「大型のアップデートが最近できていなかったので今年はこうしたアップデートを進めるほか、ほかに細かいことも含めいろいろアップデートを行っています」と海老澤氏はアピールした。

社外とのコミュニケーションを見据えた設計が強みの「Chatwork」

ビジネスチャットは「Chatwork」以外にもよく使われているプロダクトがある。海老澤氏は「オープンプラットフォームであることが『Chatwork』の特徴で、アカウントを作ってメールで招待すれば社外の人でもすぐ利用できます。社内外のやり取りをまとめて管理でき、UIも変わらないので、社外の人との接続のしやすさが、多くの企業に受け入れられています」と語った。

さらに「人数の少ない中小企業では、業務が自社のみで完結しないケースが多く、大企業に比べて社外コミュニケーションの比率が高くなります。こうした部分の使いやすさを改善するのは難しいし、管理コストも高くなります。『Chatwork』では元々の基本設計から社外とのやり取りを見据えて設計しているのが大きなポイントです」とアピールする。

また、グローバルな展開をしている競合製品がある中、海外展開について尋ねたところ「以前は海外拠点があった時期もありましたが、 現状は国内を中心としています」とのことだ。

様々な業界のガイドラインやセキュリティ対応基準にそったセキュリティ

ビジネスチャットを使う上で気になるのがセキュリティ面だ。「Chatwork」は国産ビジネスチャットということで、すべての開発を国内で行っており、データセンターも国内数ヵ所に分けていて、そのデータを海外のサーバーに置くことはしていない。

またkubellとしては「グループ全体でISMS認証(情報セキュリティマネジメントシステム)を取得しています。また、ISO規格に準拠するカタチでクラウドサービスを利用しています」という海老澤氏。データ保護については「情報の重要度に合わせた保管先、委託先のセキュリティ要件を設定して、定期的にチェックする運用をしています」と語る。

ほかにも「医療業界の安全管理に関するガイドラインや、金融業界の情報セキュリティの対策基準などを参考にしています」とのこと。企業をターゲットとしたマルウェアなどが増えている中、現状取り得るセキュリティ対策を自社基準で設定した運用を行っており、国内での自社開発ということも踏まえて安心して使用できる対策が施されていると言っていいだろう。

ローコストながら高いセキュリティが担保できるオンラインストレージ「セキュアSAMBA」

kubellストレージ セールス部・パートナーセールス部 マネージャーの吉田幸平氏

続いて、Windowsのエクスプローラーでストレスなく操作ができるオンラインストレージ「セキュアSAMBA」についてkubellストレージ セールス部・パートナーセールス部 マネージャーの吉田幸平氏に話を伺った。

「セキュアSAMBA」は8000社以上(2024年5月時点)が導入しているオンラインストレージ で、中小企業でもっとも使われているサービスだという。「Chatwork」同様シンプルな操作性が特徴で、「セキュアSAMBA」へ接続しても社内のNASと違和感なく、エクスプローラーから操作して利用できる。中小企業では少人数でシステム管理をしていることも多いが、管理の面も十数個のメニューで操作できるため、必要最小限の設定で管理・運用できるので、管理コストを軽減できるのもポイントだ。

オンラインストレージでは料金が高いプランになるほどセキュリティ強度が高まるような設定が多いが、「セキュアSAMBA」では標準で高いセキュリティが担保できるのも特徴の1つ。コスト面では1人当たりいくらという課金体系ではなく、最小のスモールプラン以外は人数制限なくユーザー数無制限で利用できるのも中小企業としてはうれしいところ。スモールプラン以外にスタンダードプラン、ビジネスプラン、エンタープライズの3つの料金体系があるが、その違いは容量の大きさだけとなっている。

吉田氏は「50名以下の企業はスモールプランから始めることが多いのですが、『セキュアSAMBA』を使って社外とファイル共有をする企業はスタンダードプランがよく使われています。100~300名の従業員がいる企業ではエンタープライズプランを利用されていることが多いです」と語り、「スタンダードプラン以上は、プランによるサービスの違いはなく、高いセキュリティ、サポートの手厚さも評価いただいています」と述べる。

「セキュアSAMBA」上で共有されたファイルは直接編集、保存ができる。吉田氏からは「誰かが編集しているファイルを開いた際は自動的に読み取り専用になる排他制御が効くため、競合ファイルが発生する不安を解消します 」と語った。

もちろん「Chatwork」との親和性も高く、吉田氏は「『セキュアSAMBA』上にアップロードしたデータをグループチャットに通知することができます。URLで通知されるので、そのURLからダイレクトにファイルに接続できる点が『Chatwork』ユーザーに評価されています」と、グループのプロダクトである利点をアピールした。

他社にはない、かゆいところに手が届く「セキュアSAMBA」の標準仕様

「セキュアSAMBA」が選ばれる3つの理由

オンラインストレージでもっとも気になるのはやはりセキュリティ面だ。強いセキュリティを設定するために操作が複雑になって運用コストが高くなってしまうのも困るが、共有したファイルが簡単に漏洩するのはもっと困る。

社外とのファイル共有について吉田氏は「有効期限やパスワード設定を行い、ファイルのダウンロードリンクを相手に送ることでファイル共有ができます。お取引様専用のフォルダーを用意してファイルを授受することもできますし、グローバルIPや端末認証によるアクセス制限機能が標準で搭載されているのも特徴です」と語る。さらに「『セキュアSAMBA』上でいつ誰がどこからどのアクセス方法で何をしたかというログは、期間設定や無期限を選択することが可能です。 他社のオンラインストレージでは1年分のログが残ることが多いのですが、無期限に遡ることができるので別途、アーカイブする運用は不要です」と「セキュアSAMBA」の標準仕様について他社製品との違いを語った。

「セキュアSAMBA」はAWS東京リージョンにて稼働しており、データが国内に置かれているという点も安心材料の1つだ。また、「セキュアSAMBA」上で編集し保存した場合、10世代前まで戻せるバージョン管理機能や、削除したファイルを復元できるゴミ箱も備わっている。なお、このゴミ箱の削除期間も設定することができるとのことだ。

さらにユーザーからの評価が高いことして吉田氏はサポートが手厚い点を挙げた。「サポートはメールだけではなく電話でのサポートも行っています。障害対応は24時間365日、電話とメールの対応は平日9時から18時まで。いざというとき時間を置かずにサポートが受けられます」とのこと。専門知識があまりない人が担当することもある中小企業にとっては心強い。

ほかのソリューションとの連携でさらに便利に使えるストレージに

ファイル共有はURLで通知し、セキュアにやりとりできる

「セキュアSAMBA」にはカスタマイズオプションも用意されている。特徴的なのはバックアップ機能と語る吉田氏は「日次、週次、月次、指定日数間隔といったスケジュールでまとめてバックアップを取ることができるほか、BCPを考慮した事業所にあるオンプレミスのデータだけ、『セキュアSAMBA』にバックアップするといった仕掛けも可能です」と語った。

また「最近多いのがRPAとの連携です」という吉田氏。「一例ですが、毎月数百社の取引先に配布したいデータの加工から送付(メール添付、印刷郵送)を、手作業により、膨大な時間と労力を費やしているシチュエーションです。データの加工から対象の取引先フォルダーへのアップロードまでRPAが担い、取引先はアップロードされた通知をトリガーとして、『セキュアSAMBA』からデータを受け取る、といった一連のシナリオから導入するということが最近増えています」と、ほかのソリューションと連動させた提案もしているとのことだ。

今後については毎月いくつかの機能がアップデートされる体制作りを整えているとのこと。吉田氏は「これまではイノベーターやアーリーアダプターが中心で一都三県の導入企業比率が高かったですが、全国を回るとオンラインストレージが認知されておらず、これから課題解決できる余地があると実感しています。『セキュアSAMBA』は中小企業の皆様の声に真摯に耳を傾け、寄り添い、長きに渡りご満足いただくことをミッションと捉えておりますので、ファイル共有に関する課題を抱えているエンドユーザー様や、エンドユーザー様の最前線で課題解決される販売店様には、サービスの優劣が表面上では分かりにくいファイルコミュニケーションの領域ですので、是非まずはフリープランやトライアルでご利用いただきたいと考えています。以前と比べ開発体制が整い始めており、来年に向けて一気に加速しますので、是非ご期待ください」とアピールした。

「セキュアSAMBA」の公式サイトには紹介資料や導入企業の事例といった資料もあるので参考にしてほしい。

関連サイト

Chatwork

Chatworkは、ユーザーであれば社内だけでなく社外メンバーともすぐにメッセージのやり取りをすることができるサービス。サーバーとの通信はすべて暗号化されており、送信したデータは高い信頼性と実績をもつデータセンターに厳重に保管されています。普段使っているサービスを連携して、対話型のボット機能や各サービスの通知情報をチャットに集約し、業務効率を向上させることができます。

セキュアSAMBA

セキュアSAMBAなら、NASやファイルサーバーと同様にエクスプローラーで操作できます。ファイルの直接編集保存や、誰かが操作している場合には、自動で読取専用になる「排他制御」まで搭載しており、操作感を変える事なくご利用いただけます。中小企業様向けのため、少人数からユーザー数無制限まで月額定額で幅広くご用意しております。

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