ジャイアン鈴木の「仕事が捗るガジェット」 - 第30回

いい意味で八方美人なモバイルワーカー特化型の13.3インチノートPC


Dynabook株式会社「dynabook G83」

モバイルノートPCはPCメーカーの技術の集大成。処理性能だけでなく、軽量性、堅牢性、連続動作時間、拡張性、キーボードの使い勝手、セキュリティーなど多くの要素が高い次元でバランスが取れることが求められます。今回はdynabookとして30年の歴史で培われた技術をふんだんに盛り込んだアニバーサリーモデル「dynabook G83」をレビューします。

文/ジャイアン鈴木


13.3型で約739gの軽量モデルも用意!

今年1月に東芝からDynabook株式会社として新たな出発をしましたが、今回紹介する「dynabook G83」は東芝時代に培った独自の高密度実装技術で軽量化を実現したモバイルノートPC。連続駆動時間約9.5時間を謳う「リチウムポリマー(バッテリーS)」を搭載したモデルでは、約739gの軽量ボディーを実現しています。ちなみに「リチウムポリマー(バッテリーL)」を搭載したモデルなら最大で約19時間の連続稼働が謳われています。

お借りしたモデルは、実測重量742g。メモリー容量やストレージ容量などスペックによって重量は多少増減します

軽量な本体に合わせて、実測175g(電源ケーブル含む)と軽いACアダプターが同梱されています

軽量化を追求していると聞くと堅牢性が心配になりますが、dynabook G83は薄くても衝撃に強く、壊れにくいマグネシウム合金ボディーを採用。落下、粉塵、高度、高温、低温、温度変化、湿度、振動、衝撃、太陽光照射など、アメリカ国防総省が制定したMIL規格「MIL-STD-810G」に準拠した厳しいテストをクリアーしています。

液晶カバーや本体ベース部分にマグネシウム合金が採用。パームレスト部を握って乱暴に上下に揺すっても、筐体が変形してしまうような不安感はありません

第8世代(Kaby Lake R)のCoreプロセッサーを採用

CPUは「Core i3-8130U」/「Core i5-8250U」/「Core i7-8550U」/「Core i5-8350U vPro」/「Core i7-8650U vPro」、メモリーは4GB/8GB/16GB、ストレージは128GB/256GB、ディスプレーはHD(1366×768ドット)/フルHD(1920×1080ドット)から選択可能。またWebカメラ、指紋センサー、顔認証センサー、バッテリー容量なども、用途と予算に応じて細かくカスタマイズできます。

インターフェースはUSB Type-C×1、USB 3.0×2、HDMI、有線LAN、microSDメモリーカードスロット、3.5mmヘッドセットジャックなどを用意。USB Type-Cは最大5Gbpsのデータ転送、電源供給、ディスプレー出力に対応しています。できればフルサイズのSDメモリーカードスロットを採用してほしかったところですが、薄型・軽量化するにあたってトレードオフされたのでしょう。

本体天面

本体底面

上が本体前面、下が本体背面

上が本体右側面、下が本体左側面。本体右側面にはUSB 3.0×2、有線LAN、セキュリティーロックスロットが、本体左側面には電源端子、USB Type-C×1、HDMI、3.5mmヘッドセットジャック、microSDメモリーカードスロットが配置されています

USB Type-CはGen1仕様。Gen2対応のモバイルストレージを接続してもデータ転送速度は最大5Gbpsとなります

ディスプレー面。上部ベゼルには顔認証センサーと約92万画素のWebカメラを内蔵できます

キーボード面。キーピッチは19mm、キーストロークは1.5mmを確保。ふたつのキーを同時押ししにくいアイソレーションキーボードが採用されています

日常的な用途であれば必要十分なパフォーマンス

さて肝心な使い勝手ですが、本製品の処理性能は突出して高いわけではありません。今回は「Core i5-8250U」を搭載するdynabook G83を借用したのですが、定番ベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは542 cb。各社最新の薄型ノートPCは「Core i7-8565U」を搭載しており、「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは700 cbを超えているモデルもあるので、スコア的には見劣りしますね。

しかし「Core i5-8250U」を搭載するdynabook G83でも、日常的な用途であれば処理性能は必要十分。多少待たされますが、写真現像、動画編集だってこなせます。一昔前の3Dゲームなら息抜きに遊べるだけの3Dグラフィックス性能も備えていますよ。

「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは542 cb

解像度を1280×720ドットに落とせば、2017年にリリースされた「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」もプレイ可能です

なお「リチウムポリマー(バッテリーS)」のバッテリー容量は設計容量20,790mWh、フル充電容量21,159mWhと少なめなので、連続駆動時間がちょっと心配だったのですが、ディスプレー輝度40%という条件でバッテリーベンチマーク「BBench」を実行したところ、バッテリー残量5%までの動作時間は約6時間58分42秒でした。これではちょっと心許ないという方は、重量は80gほど増えてしまいますが、より大容量の「リチウムポリマー(バッテリーL)」を選択しましょう。

「リチウムポリマー(バッテリーS)」のバッテリー容量は設計容量20,790mWh、フル充電容量21,159mWh。「リチウムポリマー(バッテリーL)」を搭載しても重量は80gしか増えないので、電源を確保できない場所でのPCワークが多いのならバッテリーLをオススメします

バランスの取れたモバイルノートPC!

今回のdynabook G83は、モバイルノートPCに要求される要素を高い次元でまとめあげていることに30年の歴史の強みを感じさせます。ビジネスとしてトータルバランスに優れるモバイルノートPCを探している方にオススメの一台です。

ジャイアン鈴木

筆者プロフィール:ジャイアン鈴木

EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで編集兼ライターとして勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始しました。