〜有望人材を獲得するための取り組み事例〜

企業の事業継続と成長のためには人材の獲得と育成が不可欠だ。少子高齢化に伴う人材不足が年々加速する中で、新たな人材を獲得するため、採用活動に力を入れる企業は多い。そこで本特集では、採用に関する独自の取り組みを展開するパートナー企業を紹介していく。2025年卒の学生の採用活動が終盤を迎え、これから2026年卒の学生を対象にした就職活動が始まっていく。優れた人材を獲得するため、こうした企業の取り組みをぜひとも参考にしたい。

New Graduate Recruitment Market リクルート
企業と学生の採用活動の現状とは?
新卒採用市場の最前線に迫る

優秀な人材の獲得に向けて、インターンシップ、説明会、セミナーをはじめとする採用活動に力を入れる企業が増えている。人手不足が続き、学生の争奪戦が激化していると言われているものの、実際のところ新卒採用市場の現状はどうなのだろうか。2025年卒の学生の内定状況や企業の採用活動状況などについて、リクルート 就職みらい研究所に話を伺った。

大卒求人倍率が上昇
企業の採用意欲は堅調に推移

リクルート 就職みらい研究所
栗田貴祥

 新卒を対象とした就職・採用活動には、選考や内定の開始時期に対するガイドラインが存在する。現在は政府が主導してスケジュールを定めている。具体的には、大学3年の3月1日から採用情報公開やエントリーの受付が開始となり、大学4年の6月1日から面接などの選考がスタートする。2017年卒の学生から現行のスケジュールで進められている。

 2024年は、来春2025年3月に卒業予定の学生の採用活動が行われた。多くの企業が新卒人材の獲得に向けて採用活動に力を入れる中、新卒採用市場の現状はどうなのだろうか。

 リクルートワークス研究所が実施した「第41回ワークス大卒求人倍率調査(2025年卒)」によると、来春2025年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象にした大卒求人倍率は1.75倍で、2024年卒の1.71倍より0.04ポイント上昇したという。この結果について、リクルート 就職みらい研究所 所長 栗田貴祥氏は「新型コロナウイルス感染拡大による景況感悪化の影響から、一時的に求人倍率が低下しましたが、それ以降は現在まで大卒求人倍率の上昇が続いています。企業の採用意欲は堅調に推移しているといえるでしょう」と説明する。

 2025年3月卒の大卒求人倍率を従業員規模別で見ると、300人未満の企業で0.31ポイント、300~999人の企業で0.46ポイントと前年より上昇。一方で、1,000~4,999人の企業は変動なし、5,000人以上の企業は0.07ポイント低下した。

優秀な人材を確保するため
選考の早期化が加速

 次に、学生の内定状況も見ていこう。就職みらい研究所が大学生・大学院生の調査モニターを対象に実施した「就職プロセス調査(2025年卒)」によると、2024年8月1日時点の大学生(大学院生除く)の就職内定率は、全体で91.2%だった。2023年卒は87.8%、2024年卒は86.6%と、過去の同時期の結果と比べて今年は例年より早いペースで9割を超える結果となった。「人材獲得に向けて選考の早期化が加速しています。人口が減っていく中で自社に合った人材を確保するため、規模や業種に偏りなく企業が選考を早めている印象です」(栗田氏)

 就職プロセス調査(2025年卒)では、内定取得先企業の業種(2024年8月1日時点)についても結果を公表している。2025年卒と2024年卒、どちらも情報通信業の割合が高かった。「情報通信業などは採用活動に対する動きが早く、内定を取得する学生さんの割合が高い結果となりました。学科系統で差はありますが、理工系の学生に対するニーズが強い印象です」と栗田氏は分析する。

学生のキャリア形成活動が4部類に
インターンシップの在り方が変わる

 学生と企業が接点を作る上で有効な方法となるのが「インターンシップ」だ。2025年卒の学生を対象としたインターンシップから定義が変更された。

 従来は「学生が在学中に自らの専攻、将来のキャリアに関連した就業体験を行うこと」としていたが、新たに「学生がその仕事に就く能力が自らに備わっているかどうかを見極めることを目的に、自らの専攻を含む関心分野や将来のキャリアに関連した就業体験を行う活動」と定義された。

 学生にとって望ましいインターンシップの在り方を実現するため、「タイプ1:オープン・カンパニー(業界・企業による説明会やイベント)」「タイプ2:キャリア教育(大学などの授業・講義や企業による教育プログラム)」「タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ(職場における実務体験)」「タイプ4:高度専門型インターンシップ(特に高度な専門性を要求される実務の職場体験)」の4類型に分けられた。一定の要件を満たしたタイプ3と4のみがインターンシップと呼称できるようになる。また、これまでのインターンシップでは、「取得した学生情報を広報活動や採用選考活動に使用してはならない」とされていた。しかし、改正によって、定められた情報開示要件を満たした場合、企業は取得した学生の情報を採用活動開始以降から活用できるようになる。

「インターンシップは企業にも学生にもメリットになると考えています。採用面接だけで人柄や仕事に向いているのかなどを見極めるのは難しいでしょう。インターンシップを通して、学生は仕事内容だけではなく、社風などを肌で感じられますし、企業も学生を知る良い機会となります。インターンシップを実施するに当たって、働きやすい職場環境を整えるなど企業側も準備が必要です」と栗田氏は語った。

出所:厚生労働省「概要資料『令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります』」

Reference Case.1 ミシマ・オーエー・システム
大学生アルバイトが社員と同じ仕事に従事
他社でも通用する即戦力人材の育成に貢献

システム開発からネットワーク構築、セキュリティまでICTソリューションを自社で一貫して提供しているミシマ・オーエー・システムは地域の高等教育機関と連携し、校内に共同研究室を設立。テクノロジーの進歩に貢献するとともに、大学生のアルバイトを雇用して人材育成にも貢献している。同社が育成した学生は自社で雇用するだけではなく、即戦力人材として他社にも送り出している。同社の新卒人材の獲得と育成への取り組みについて代表取締役社長 溝田力三氏に話を伺った。

新規事業子会社として発足
総合ICTソリューション企業へ発展

 福岡県北九州市に本拠を置くミシマ・オーエー・システムは1989年に三島光産の新規事業子会社として発足し、OA機器販売から事業を始めた。親会社となる三島光産の本拠地も北九州市で、創業から100年以上の歴史を誇る。同社は日本の製造業を下支えする企業として知られており、高い技術力を要する製造業の幅広い業務を請け負う工程請負事業や、設備の設計から据え付け、メンテナンスまでをサービス提供する工事・エンジニアリング事業、そして国内の製鉄所の多くで使用されている「連続鋳造モールド」を代表とする自社製品事業などを展開している。

 三島光産の社内には情報システム部門があり、社内の情報システムの開発や運用保守を担っていた。そして同社が運用するシステムの規模拡大に伴い、情報システム部門にノウハウが蓄積され、それを生かして情報システムを社外に提供する新たな事業を検討した。その際に、OS機器の販売で顧客への販路を構築していたミシマ・オーエー・システムを通じて事業展開することになり、三島光産の情報システム部門の開発者がミシマ・オーエー・システムに出向してきたことを契機に、システム開発とネットワーク構築へビジネスを拡大した。

 さらに北九州市では地域企業との連携により「ICTサービスを電気や水のように、いつでも簡単・便利に使える社会の実現」を目指して、その基盤となる「北九州e-PORTセンター」と呼ばれるデータセンターを2003年に開設した。それに伴いミシマ・オーエー・システムは北九州e-PORTセンター内に自社データセンターを解説し、ハウジングおよびホスティングサービスの提供を開始した。

 近年ではAIやIoTを活用したスマートファクトリーに対応するシステムの開発や、企業や組織のさまざまな課題を解決するための各種ソリューションを提供している。同社の強みについて代表取締役社長 溝田力三氏は「ソフトウェアの開発からハードウェアの提供、運用保守、ネットワークインフラの提供、さらにセキュリティまで、ICTに必要な全ての要素を社内で一貫して提供できることです」とアピールする。

 同社の事業の傾向について「ソフトウェア開発とネットワーク構築、セキュリティが売り上げのほとんどを占めています。また親会社である三島光産とのビジネスはごくわずかです」と説明する。

 同社は顧客から受託したシステムを社内で開発し、北九州e-PORTセンターの自社データセンターにて運用保守を含めてサービスを提供している。その際にネットワークやセキュリティも一貫してサービスを提供している。さらに顧客のオフィスや工場にネットワークを構築する際の電気通信工事に関しても同社は認可を取得しており、Wi-Fiのアクセスポイントの設置工事などもワンストップで対応している。

従業員を31名から48名に増員
顧客や社員の子息から採用

ミシマ・オーエー・システム
溝田力三

 顧客となる地域の企業を取り巻く事業や経営の環境の変化や、市場のニーズの変化を見極めて事業の領域と規模を拡大し続けているミシマ・オーエー・システムにとって人材の獲得は、同社のさらなる成長に欠かせない要件である。特にシステム開発からネットワーク構築、データセンターでの顧客システムの運用保守、セキュリティまでを一貫して自社で提供している同社にとって、エンジニアの継続的な増強が望まれる。

 そうした中で2019年、同社は博多に本拠を置くユニティ・ソフトを企業買収した。ユニティ・ソフトはWebシステムや基幹業務システム、IoTやM2M、そして防災・減災などの領域でシステム開発事業を展開しており、同社の買収によりミシマ・オーエー・システムはグループとして事業領域の強化と、およそ40名のエンジニアの獲得を果たした。

 このように戦略的に人材を増強し、継続的な成長に取り組み続けている溝田氏は、従来の採用方法では人材は獲得できないと話す。溝田氏は「当社に限らず学校に募集を出しても反応はほとんどありません。優秀な学生は都市部に就職先を探すため、地方の企業が良い人材を獲得するのは難しいと言わざるを得ません」と説明する。

 しかしミシマ・オーエー・システムでは、2017年にアルバイトを含めた従業員が31名だったのに対して、2024年の現在は48名に人員を増やしている。どのような採用方法で人員を獲得したのだろうか。溝田氏は「縁故」を通じた縁だと答える。溝田氏は「お客さまのご子息や当社社員のご子息が、父親の仕事の話を通じて当社に興味を持ってくれて、本人の意思で入社してくれました」と説明する。

 ミシマ・オーエー・システムにシステム開発やネットワーク構築の依頼など、取引のある顧客がミシマ・オーエー・システムを企業として評価し、自身の子供に就職先の選択肢としてミシマ・オーエー・システムを紹介し、同社を訪問して話を聞くなどして就職先としてミシマ・オーエー・システムを選び新卒で入社したという。

 また別の社員は父親がミシマ・オーエー・システムで長年にわたり働いており、父親の仕事への姿勢から同社に興味を持つようになり、実際に自分で会社を訪問して話を聞き、新卒で入社する。ミシマ・オーエー・システムでは2025年4月より、親子で活躍する社員が在職することになる。

 溝田氏は「お客さまにも当社の社員にも、自身の子供を任せたいと思ってもらえる会社にすることと、仕事を任せたいと思ってもらえる会社にすることは同じ取り組みだと考えています。全社員がお客さまの要望に真摯に応えていくことが、会社への信頼につながるのだと心がけています」と説明する。

 ちなみにミシマ・オーエー・システムの社員の定着率も高く、入社3年以下を除くと在職期間は平均14年で勤続20年以上が8名、同30年以上が4名いる。

ミシマ・オーエー・システム CPS研究室が開発した、AIを用いた技術継承システムの展示会でのデモ風景。研究室での成果をシステム化したのはミシマ・オーエー・システムの社内で働く大学生のアルバイトチームだ。
ミシマ・オーエー・システムは2020年4月に国立北九州工業高等専門学校校内に共同研究室「ミシマ・オーエー・システム CPS研究室」を設立した。写真中央が同研究室の研究責任者を務める国立北九州工業高等専門学校 生産デザイン工学科 知能ロボットシステムコース 教授・博士(工学)、国立高等専門学校機構 研究推進・産学連携本部員 久池井 茂氏。ミシマ・オーエー・システム 代表取締役社長 溝田力三氏(左)と同社 取締役 システム部 部長 落合誠司氏(右)は客員教授を務めている。

採用直結型インターンシップ解禁に
人材採用への強い危機感を持つ

 もちろん縁故を通じた採用だけで増員しているわけではなく、さまざまな学校に広く人材募集を告知するなどの働きかけにも注力してきた。そんな折、2019年に採用活動が大きく変化する出来事が発表された。それは2025年卒から採用直結型インターンシップが解禁になるという知らせだった。

 溝田氏は「これまでインターンシップ中に採用活動をしてはならないなどの制限がありましたが、それが2025年卒を対象に、すなわち2023年から採用を前提としたインターンシップが実施できるようになることを知り、危機感を持ちました。これまでは企業が一斉に採用活動を開始しましたが、これからは早いうちから学生と接点を持って関係を築いておかなければ、優秀な学生を採用することが難しくなるからです」と説明する。

 人材採用に強い危機感を持った溝田氏は対策を検討し、二つの施策を講じることにした。一つは大学や高等専門学校(以下、高専)に研究室を作ること。もう一つが社内に大学生のアルバイトチームを作ることだ。それぞれの施策について溝田氏は次のように説明する。

 研究室について「大学や高専に研究室を作ることで新しいテクノロジーの開発に貢献するとともに、その成果を当社のビジネスに生かせるメリットがあります。また研究室のメンバーとして学生をアルバイト雇用することでコミュニケーションを図り、当社への就職につなげられる期待もあります」と説明する。

 またアルバイトチームについて「当社の本社の近くに九州工業大学という優秀な大学の戸畑キャンパスがあります。同大学の学生を対象にインターンシップではなくアルバイトとして雇用することを考えました。同大学は理系なので当社のビジネスになじみやすいことと、戸畑キャンパスの学生ならば当社に通勤しやすいため、採用しやすいからです。また採用は九州工業大学の学生に限定しています。それは同じ学校ならばアルバイト同士でコミュニケーションを深めやすく、長期間にわたって定着してくれると考えたからです。アルバイトが卒業して就職する際に、後輩を紹介してもらえるというメリットも期待しました」と説明する。

ミシマ・オーエー・システムの社内で働くアルバイトチームの業務風景。現在は5名が同社で働いている。

国立北九州高専に研究室を設立
テクノロジーの進歩と人材育成に貢献

 溝田氏の計画通りにミシマ・オーエー・システムでは大学や高専の校内に研究室を作ることと、社内に九州工業大学の学生アルバイトチームを作ることを実施した。前者については2020年4月に国立北九州工業高等専門学校(以下、北九州高専)校内に共同研究室「ミシマ・オーエー・システム CPS研究室」を設立した。

 同研究室の研究責任者に北九州高専の生産デザイン工学科 知的ロボットシステムコース 教授でミシマ・オーエー・システムの技術顧問を務める久池井茂氏が就任し、北九州高専の持つAGV(無人搬送ロボット)や各種センシング技術と、ミシマ・オーエー・システムの持つMES(製造実行システム)やERP、IoT技術の融合によって、工場内運搬機能のCPS(サイバーフィジカルシステム)化や工場のデジタルツイン化に対応する製品の開発に取り組んでいる。なお同研究室は北九州市やFAIS(北九州産業学術推進機構)とも連携している。

アルバイトチームは展示会での説明員も務める。

 同研究室での成果について溝田氏は「ARを活用した技術継承システムを開発しました。このシステムは経済産業省の実証実験にも採用されました。特殊な工作機械を扱うベテランの工員にヘッドセットカメラを装着してもらい、操作の全てを録画します。録画した映像からその工作機械の取り扱い方を教えるコンテンツを作成します。新人などの操作に慣れてない工員がモニター内蔵のゴーグルを装着し、工員の目線にある工作機械の操作箇所に応じてゴーグルの画面に操作手順や注意事項が表示される仕組みです。またメニューから操作のコツを動画で確認することもできます」と説明する。

 また企業での開発では事業化が前提となるため、現在の需要に応じたテーマを取り扱うケースが多くなるが、研究を目的とした開発では先進的なテクノロジーを扱いやすく、新たなビジネスの創出に向けた開発が行えるメリットもあるという。

 同研究室での成果をシステム化したのはミシマ・オーエー・システムの社内で働くアルバイトチームだ。現在のところ北九州高専の研究室では、将来のビジネスの創出に向けたテクノロジーの開発と、そこに携わる人材の育成に成果を得ており、人材の採用およびビジネス人材の育成においては大学生のアルバイトチームで成果を得ている。

大学生アルバイトチームが
新卒人材採用の重要な窓口に成長

 アルバイトチームは2021年に九州工業大学の4名の学生からスタートした。アルバイト採用のポイントについて溝田氏は「1人ではなく4名から5名のチームで採用するべきです。4名あるいは5名のチームだとコミュニケーションを取ってお互いにフォローし合えるので定着につながります」とアドバイスする。

 さらに「アルバイトに雑用をさせるのではなく、社員と同じ開発業務をしてもらっています。将来、当社に就職してもらえるかもしれない学生に当社を知ってもらうには、社員と同じ仕事をしてもらうことが最も効果的です。また学生もビジネスの実務で利用するテクノロジーを習得して、就職時に即戦力となるスキルを得ることができますし、当社としても即戦力の人材をアルバイトからそのまま雇用できる期待もあります」と説明する。

 ミシマ・オーエー・システムではアルバイトにテクノロジーだけではなく、税務のことなどビジネスに必要な常識や知識も教育している。テクノロジーの研修では同社の開発業務に必要な開発言語でのプログラミングを教えている。溝田氏は「学校で学んでいるテクノロジーと、ビジネスの実務で使用するテクノロジーが異なることを企業側が認識する必要があります。学校でプログラミングを学んでいるから即戦力になるという考え方で学生に対して過度に期待すると学生は疲弊してしまい、企業側も成果が得られないという事態に陥ります」と指摘する。なお同社ではこうした研修期間中も給与を支給している。つまり新入社員と同じ待遇でアルバイトを雇用しているのだ。

 研修を修了するとアルバイトはチームで開発業務に携わる。チームで取り組むことでお互いのスキルを補完し合い、個人のスキルアップとともにチームの生産性も向上する効果があるという。さらに1年後には期限のある小規模なプロジェクトを担当する。学生なので授業もあり毎日は出社できないが、ここでもチームワークが発揮され、期限に向けてスケジュールを調整しながら工夫してプロジェクトを進めているという。

 溝田氏は「お客さまに提供するソフトウェアやサービスの開発にも携わってもらっています。その際はアルバイトとNDA(機密保持契約)を結ぶほか、ISO27001(ISMS)に基づいたセキュリティ教育および管理も実施しています。このように社員と同じ環境や規則で仕事をしてもらうことで、当社の社風や価値観も体験して理解してもらえると考えています」と説明する。

 実際に同社の社風や価値観がアルバイトチームに共有されており、九州工業大学で同社のアルバイトを希望する学生がいると、現役のアルバイトのメンバーが自主的にミシマ・オーエー・システムの業務や社風に合うかどうかを見極めており、質の高いアルバイトを雇用できているという。

 アルバイトの就職先が気になるところだろう。最初に同社で働いた4名のうち、2名が去年から同社の社員となっている。ほかの2名は大学院へ進み、現在も同社のアルバイトを続けている。現在は後輩の3名の大学生がアルバイトチームに加わり5名が働いている。5名の中には就職を控えている学生がいるが、他社への就職を目指している学生もいるという。

 溝田氏は「当社に就職することを前提にアルバイトをしてもらうと、信頼関係を築くことが難しくなると考えています。優秀な大学ですから就職先の選択肢はたくさんあります。たとえ他社に就職したとしても、将来仕事で関わることがあるかもしれませんし、戻ってきてくれるかもしれません。できれば当社に就職してほしいですが、他社への就職も応援しています」と笑顔で語る。

 今後もミシマ・オーエー・システムのアルバイトチームは、九州工業大学の学生に引き継がれていくことだろう。なおアルバイトチームへの取り組みは、グループ会社のユニティ・ソフトの拠点がある沖縄でも実践されている。沖縄はプログラマー志望の求職者が多く、エンジニアの採用に有利だという。

Company Profile
ミシマ・オーエー・システム

本社:福岡県北九州市八幡東区枝光2-1-15
設立:1989年7月
従業員数:48名(アルバイトを含む)※2024年9月時点
事業内容:オフィスソリューション、システムソリューション、ネットワークソリューション、ハウジング・ホスティング、制御システム開発、WEBサイト制作など