戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第11回】
スライドの説明時間は1枚3分の黄金則(1)
プレゼンに関するセミナーやコンサルティングを数多く行っているのだが、多くの方に共通している悩みが「スライドの作りすぎや不足」だ。スライドを作りすぎて発表の際に尻切れトンボになったり、途中を飛ばすことが多い。商談などの説明を受ける側は、長いスライドの一部を飛ばされると、“軽く見られている”と感じる。「それだけ多くのスライドがあるのだから、ちゃんと全部説明して欲しい」と思う。
また、スライドが足りなくて1時間の商談なのに説明が10分で終わってしまうようなケースもみっともないことこの上ない。
そこで、今回は適正な枚数のスライドをできるだけ短時間で作る方法を紹介する。自分働き方改革(ジバラ)では、時間を掛けすぎずに書類やスライドを作るのも重要なテーマなのだ。
文/戸田 覚
スライド説明の目安時間を知ろう
これまで、プレゼンの達人を取材する単行本を何冊も執筆してきた。また、現在も新しい書籍を手がけており、ヒット商品を作り上げた人のスライドをたくさん見せていただいている。
達人のプレゼンを複数チェックしていくと、共通するポイントがいくつも見つかる。中でも役に立つと思っているのが、時間あたりのスライドの枚数だ。一般的なプレゼンなら、1スライドあたり3分程度でプレゼンを行っている達人が多い。実は、1枚あたりの時間を意識している人はほとんどいないのだが、場数を踏んでいると「30分プレゼンならこの程度」という感覚が身につく。また、重要なコンペでは予行演習を行うので、スライドの枚数の過不足も調整しつつ、最適な枚数に落ち着いていくわけだ。そこで見えてきた共通の枚数が、1枚あたり3分だ。
説明しない表紙などは除いて、1スライド3分の説明時間で作るようにすれば、プレゼンの時間配分はうまくいく。
正味時間をしっかり把握する
取材の中では、1枚のスライドに膨大な内容を書き込んで、スライドをめくることなく小一時間説明しているケースや、逆に1枚にひと言しか書かずにどんどんめくっていくプレゼンにも出会った。これらはある意味で、ウルトラCを狙ったテクで、相当に手慣れている人やプロだからなせる技なので、真似るのは難しい。
オーソドックスなプレゼンなら、1スライド3分を目安にするのが適切だ。
スライドを作成する際には、まずは、正味の説明時間をきちんと把握する必要がある。例えば、商談が1時間でもプレゼンが1時間とは限らない。そもそも商談室に揃った時点で数分経過しているだろうし、最初の挨拶を済ませると10分は過ぎるだろう。さらに、スライドを提示した後に説明や、相手の感想を聞く時間も必要だ。1時間の商談でも、実質的なプレゼンの時間は35~40分程度が現実的なのだ。つまり、表紙を除いて12~13枚のスライドを作ればよいわけだ。
スライド作成時には、まず全体の枚数の目安をまとめてから作業に取りかかる。これで、無駄にもなる「作りすぎ」が防げるわけだ。
次回は、枚数を決め打ちにしてより説得力の高いスライドを作る方法を紹介する。
筆者プロフィール:戸田 覚
1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。