2026年度新卒の採用広報活動が3月から開始される。人材不足が深刻化している中、企業が優秀な人材を確保するためには採用に力を入れる必要がある。しかし、東京商工会議所が2024年11月に実施した「新卒者の採用・選考活動動向に関する調査」によると、2025年新卒者の採用環境が「厳しい採用環境である(採用が困難)」と回答した企業の割合は98.7%に達しており、多くの企業が人材採用に課題を抱えている。今回はこうした課題を解決する一助となる、人材採用に関する書籍を紹介しよう。
人材不足をこの1冊で解決! 採用の強化書

1,650円(税込)
KADOKAWA
本書では、優秀な人材の流出と間違った人材採用というリスクを回避し、いい会社になるための取り組みとして「リファレンスリクルート」を紹介している。リファレンスリクルートの進め方は、以下の通りだ。①従業員の声を基に組織の課題を抽出、②キャリア開発やキャリアパスを仕組み化、③採用戦略の設計・採用活動と採用広報活動の確認と実施、④求職者の同意の上で前職の働きぶりについてヒアリングする「バックグラウンドチェック」を実施、⑤求職者の健康状態を確認する。これらの詳細をChapter2〜5にわたって解説している。Chapter2では、組織の課題を見える化する「組織内分析」を成功に導くポイントとして、以下を挙げている。①質問内容の客観性を保つ、②年齢や部署などでカテゴリー分けをして特定層の偏りを見える化する、③経営層と社員のギャップを把握する、④解決策の意見を社員に聞く、⑤フィードバックを行うという五つだ。また昨今の求職者は転職活動を行う際、今の会社に勤め続けることを選択肢に入れる傾向があるため、会社側から積極的に多くの情報を発信する必要があると著者は述べる。自社の採用戦略を改善する方法を知れる一冊だ。
これで採用はうまくいく

曽和利光 著
1,760円(税込)
秀和システム
本書では、狙った人材の志望度を高め、入社したいと思ってもらう「口説く力」が、採用において重要だと解説している。優秀な人材を口説くためには、「信頼関係構築」「情報収集」「説得勧誘」の三つのステップを踏むことが重要だ。それぞれの詳細を第6〜8章で紹介している。第6章では信頼関係構築のための具体的な手法として、採用担当者による積極的な自己開示と求職者との共通項探しを挙げている。これによって、求職者に心理的安全性を構築してもらうのだ。第7章では情報収集において、求職者が抱く不安や疑問といったネガティブなことも含めたさまざまな気持ちを聞き出すことが重要だと著者は語る。第8章では説得勧誘の手法を紹介。事実と数字を基にした情報を一人ひとりに刺さる内容にカスタマイズして提供することが、求職者の意思決定を促す。口説く力を高めることは、優秀な人材確保の一助となるだろう。
採用ブランディング

1,760円(税込)
WAVE出版
本書では、中小企業の採用を成功させる手法として「採用ブランディング」を紹介している。採用ブランディングではまず、自社の強みと求職者のインサイトが重なる領域でコンセプトを作る。コンセプトに沿った一貫性のある採用活動を行うことで、ミスマッチの少ない採用を実現するのだ。第4章では、採用ブランディングを成功に導く企業の土台づくりから実践までをまとめた「21の法則」を紹介している。例えば、第1の法則として「全社横断のチームをつくる」を挙げている。経営陣が採用第一の環境をつくり、採用担当者、現場の活躍人材、決裁者が一丸となり採用に活動に取り組むことが重要だと著者は述べる。採用ブランディングを活用した成功事例に加え、求人情報の掲載においてありがちな失敗例や改善策も掲載されており、自社の採用活動の改善に生かせそうだ。