戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第15回】

デジタル手書きが仕事を激変!(1)


 会社や政治が色々言うけれども、結局のところ働き方は自分で改革するしかない。そんな自力での働き方改革を「ジバラ」と命名して、少しでも効率を上げるための連載の15回目をお届けする。今回と次回でパソコン、タブレット、スマホへの手書き(デジタル手書き)について解説していこう。

文/戸田 覚


デジタル手書きは普及していく

  テキストを入力するならキーボードを叩くのが早い。だが、テキストの表現は自由度が低い。企画書などの書類やメールの文面ならテキストが優れていることは間違いない。

 だが、我々が普段紙にメモをしている際には、まず、テキスト入力のようなことはしない。頭の中に漫然と渦巻いているアイデアのとりまとめや、ホワイトボードを使った打ち合わせの記録には、手書きの方が向いているケースが多いものだ。

 決まったサイズの文字だけのテキストと違い、手書きなら好みのサイズの文字を書くことができ、丸や四角で囲ったり、取り消し線や強調線なども自由自在。アイデア をどんどん書きながら取捨選択し、重要な物を目立たせるのも簡単だ。同じことをWordなどでやろうとすると、思い通りにいかずにイライラする。

 手書きの方が記録に向いているケースは、実は少なくないわけだが、最大の問題は紙の保存性の悪さだ。ノートやメモ帳に手書きした情報は保存には向かない。書き尽くすと次のノートに切り替えるしかなく、過去の用紙は後で探すのも大変だ。

 ところが、デジタル手書きなら何百ページでも保存しておける。僕は、おそらく1,000 ページを超える手書きのノートやメモを管理しているが、容量は一切気にしていない。6年前のノートでもすぐに呼び出して利用できる 。

手書きなら文字と図を組み合わせて自由に書ける

すでに、膨大なページ数のノートを運用しているが、まったく問題はない

タイトルだけテキストにしておけば検索も簡単だ

あらゆるデバイスで利用可能

  最近では、手書きのデータもクラウドに保存するのが当たり前になっている。手書きに対応するOneNote、Google Keep、MetaMoJi Note、Microsoft Officeアプリなどは、手書きをしたノートをクラウドに保存し、マルチデバイスで利用できる。

 パソコンやiPadで書いたノートをスマホでも確認できるのだ。例えば商談に臨む際には、電車の中でスマホを片手に前回の商談のメモをチェックしておける。大量のノートをチェックしたいなら、パソコンの大画面で確認すればよい。

 電話をしながら記録した電話番号をメモ帳に書きとめても、 机の上に置いてきてしまえば出先では内容がわからない。だが、デジタル手書きなら、何らかのデバイスで書いたノートは、他のデバイスでも見られるし、編集も可能。タブレットに書いたメモをスマホで確認することもできる。すなわち、ノートを忘れてくる――ということさえあり得ないわけだ。

 様々なデバイスでの利用では、画面の縮小拡大が自由にできるのも大きなメリットだ。例えば、打ち合わせ中にもう少し書き込みたい場合には、すでに書いた文字を小さく縮小して、空いたスペースに追記できる。使っているデバイスのサイズに応じて表示サイズを変更しながら使いやすいように調整できる。これが紙のメモだと、そもそもA4やB5の用紙1枚に電話番号だけを書くのはもったいないと思う。また、小さなメモ帳で打ち合わせに臨んだらページ数が増えすぎて書くのが面倒だ。

 次回は、スグできる手書き入門を紹介しよう。

WindowsのOneNoteで記録したノートをスマホで閲覧

こちらは、iPadとiPhoneで同じMetaMoJi Noteを開いているところ

筆者プロフィール:戸田 覚

1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。