Part.1での文部科学省の次年度事業から、加速していく教育現場のICT活用の未来が見えてきた。Part.2では教育ICT関連の市場調査データから、NEXT GIGAに向けた端末やサービスの需要を知ると同時に、日本マイクロソフト、Googleという1人1台端末で広く普及しているOSベンダーへのインタビューから、NEXT GIGAに向けた市場のこれからを探っていこう。

NEXT GIGAに向けた市場のこれから

MM総研

2025年度よりGIGAスクール構想で導入したPCやタブレットなどの端末の更新が本格化する。今回の調達では政府負担で都道府県に基金を創設し補助金を交付する方式が採用され、原則として都道府県ごとの共同調達となる。また為替も前回と異なり、円安が進んでいる。こうした環境の変化に伴い、GIGA第2期の端末の供給および調達にどのような課題が生じているのか、MM総研のアナリストに話を伺った。

GIGAスクール構想の5年の成果
GIGA世代の94%が中学校で端末を利用

 GIGAスクール構想によって全国の国公立小中学校の児童生徒に1人1台のPCやタブレットなどの端末が整備され、学習へのICT活用が本格化した。当初は1人1台の端末を実現したものの、その活用には課題があると指摘されていたが、5年を経過した現在、GIGAスクール構想はどのような成果を生み出したのか。

 MM総研が2024年11月に発表した「生徒による学校でのICT端末の利用動向調査」によると、現在大学生の非GIGA世代と、現在中学3年生および高校1年生のGIGA世代の中学生時の学校での端末の利用率は非GIGA世代が38%、GIGA世代が94%と大幅に上回った。

 またこれら端末を使った学校での学習に対する生徒の満足度は非GIGA世代が36%なのに対してGIGA世代は75%と、GIGAスクール構想で整備された端末の活用が進んでいることがうかがえる。

 ICTを活用した学習を経験したことにより、デジタル職種への関心も高まるという効果もあったようだ。「端末を使った授業の方が楽しい」と答えた生徒のうち、新しい技術を積極的に取り入れる企業で働きたいと回答した性とは非GIGA世代が48%、GIGA世代が55%と7ポイント上回った。

 さらにデジタル職種に興味があると回答した生徒は、非GIGA世代とGIGA世代の両方で「端末を使った学習の方が楽しいと思わない」と回答した生徒では36%、同じく「楽しい」と回答した生徒では61%と大きな差が生じた。

2025年度に68%の更新が集中
91%の市区町村が共同調達に参加

MM総研
取締役 研究部長
中村成希

 昨年より報じられている通り2025年からGIGAスクール構想で整備された端末の更新が始まる。MM総研が2024年8月に発表した「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」によると、各市区町村が想定する調達予定時期ごとに台数を集計した結果、2025年度に更新が集中するようだ。

 この調査は調達台数と時期の双方に回答を得た1,114市区町村の652万台を対象に分析したもので、652万台の68%に当たる443万台が2025年度に更新される予定となっている。そして翌2026年度は21%に当たる135万台が更新されるという。

 MM総研 研究主任 高橋樹生氏はこの傾向に関する課題として「2025年度はWindows 10のサポート終了を迎えるため法人市場でPCの更新需要が集中し、端末を円滑に供給できない恐れがあります。また1人1台端末の更新需要においても、共同調達で案件が大型化・広域化することで前回の調達を支えた地域の販社が入札に参加しにくくなり供給体制に不安があります」と指摘する。

 GIGA第2期では政府負担で都道府県に基金を創設し補助金を交付する方式が採用されるため、前回は市区町村単位で端末更新のための新端末を調達したのに対して、今回は原則として都道府県ごとの共通仕様書を基に共同調達することになり案件の大型化が予想される。

 MM総研の調査結果では91%の市区町村が共同調達で端末を更新する意向だ。ちなみにオプトアウト(不参加)を表明した市区町村は4%で、「政令市や特別区など人口規模が大きい」「調達時期が合わない」「LTEモデルなど独自の要件がある」などが主な理由だった。

 共同調達において多くの都道府県は市区町村の要望を取りまとめ、なるべく共通化する形で共通仕様書の作成を進めている。

71%が政府補助金の範囲内で調達
端末の高騰で予算不足のケースも

MM総研
研究主任
高橋樹生

 共同調達する上での課題や懸念についての調査では「端末の価格が高騰している」が48%と最多だった。前回の調達と比べて円安の影響などでGIGAスクール対応端末の単価が上がっており、これまで高単価な端末を整備してきた市区町村では更新に当たり「キーボードカバーやペンなどの周辺機器を購入する予算が足りない」との回答が多かったという。

 調達予定の端末単価についての調査では、政府補助金の範囲内である5.5万円以内とする市区町村が71%を占めた。5.6万円以上と回答したのは15%で、6万円台が多く最大で8万円台を想定しているという。

 更新する端末のOSについて、従来と同じOSを継続すると回答した市町村が64%、OS切り替えると回答した市町村は12%、検討中もしくは未定と回答した市町村は24%だった。

 2024年8月の調査では調達予定台数を回答したのは全市町村の46%に当たる796市町村で、この市町村が調達を予定している端末の台数の合計は約367万台、その中で57%に当たる211万台がChromeOS、同28%に当たる101万台がiPadOS、同15%に当たる55万台がWindowsだった。

 MM総研 取締役 研究部長 中村成希氏は「端末価格の高騰に加えて今回の調達では端末にMDMの導入も必須となっており、予算が厳しい市町村が多いと思われます。例えばマイクロソフト環境であれば全教員のクラウド環境にMicrosoft 365 A3もしくは同A5を利用すると、先生1名当たり児童生徒40名のライセンスが無償になる学生利用特典が利用できます。これによりMicrosoft 365 A3/A5のライセンスでマルチOS対応のMDMツール(Microsoft Intune)も使えます。こうしたプログラムを活用することで調達の選択肢が増えるのではないでしょうか」とアドバイスする。

シード・プランニング

GIGAスクール構想の第2期となる、いわゆる「NEXT GIGA」と呼ばれている学校ICT需要が2025年度から3年間にわたって動き出す。前回のGIGAスクール構想の時と同様に大きな商機が訪れることは間違いないが、実際にどのような商材がどのくらいの規模で導入されるのか、導入される時期はいつごろなのかなど、ビジネスに携わる企業にとって気になるところだろう。ここでは長年にわたり国内教育ICT市場を調査してきたシード・プランニングに話を伺った。

教育用PC市場は2028年に2,200万台
2025年以降は緩やかに増加を続ける

シード・プランニング
リサーチ&コンサルティング部
エレクトロニクス・ITチーム グループリーダー
主任研究員
原 健二

 エレクトロニクスおよびIT分野をはじめ、医薬・医療・バイオ分野を中心に市場調査を行っているシード・プランニングでは、電子黒板が学校に導入され始めた2009年より国内教育ICT市場の調査を続けており、約15年にわたり12冊のレポートを提供してきた。当初は電子黒板と教育用PCが対象だったが、2016年より調査対象にソリューションを加え、2021年より全国の教育委員会にも取材するなど調査範囲を広げている。

 まず教育用PC市場の規模について、GIGA第2期による買い替え需要はどのくらい生じるのだろうか。文部科学省が公表した情報を振り返ると、教員用と教育用を合わせた台数は2012年から2018年まで約290万台から320万台で推移していたが、2019年のGIGAスクール構想によって2020年は943万台、2022年は1,391.3万台へと急激に増加した。

 その後の台数の動向についてシード・プランニングの調査では学習用と校務用を合わせて2023年は1,520万台、2024年は1,700万台、2025年から2028年はそれぞれ1,970万台、2,080万台、2,150万台、2,200万台と予測している。

 同社で国内教育ICT市場の調査に当初より携わってきたリサーチ&コンサルティング部 エレクトロニクス・ITチーム グループリーダー 主任研究員 原 健二氏は「当社の調査では2019年は260万台だったのに対して2020年は900万台に急増し、2021年は1,340万台、2022年は1,400万台と市場規模が拡大しました。これらの買い替え需要が活発化する2025年以降は、以前の急激な需要増はなく、各都道府県がそれぞれのペースで緩やかに増加していくとみています。つまり教育用PC市場も、法人向けPC市場と同様の動きになると考えられます」と語る。

ソリューション市場への参入企業が
過去2年間で大幅に増加している

シード・プランニング
リサーチ&コンサルティング
リサーチアナリスト
関口智哉

 先ほど示した調査結果の通りGIGA第2期が推進される2025年度以降、教育用PC市場は年間2,000万台規模で推移し、ビジネスの観点から非常に魅力的な需要が期待できる。このPCビジネスに加えて、教育ICT市場にはさらに魅力的なビジネスがある。それはソリューションだ。

 シード・プランニングの調査によると、教育用ソリューション数が過去2年間で大幅に増加しているという。同社の調査結果によると2021年度と2023年度の分野別ソリューション件数では、学習支援系システムでは38件に対して72件に、校務支援系システムでは29件に対して55件に、STEAM教育では14件に対して32件に、その他支援ツールでは24件に対して48件に、それぞれ大幅に増加している。

 この傾向について原氏は「PCをはじめ、デジタルテレビやプロジェクターなどの大型提示装置、および周辺機器などのハードウェアは参入企業数が限られてしまいますが、ソリューションに関しては門戸が開かれており、数多くの企業が次々と新規参入してビジネスが活性化されています」と説明する。

 同社の調査結果によると学習支援系システム市場は2019年が151億円だったのに対して、2022年は269億円、2026年は390億円、そして2028年には430億円に成長すると予測している。さらに校務支援系システム市場は2019年が26億円だったのに対して、2022年は39億円、2026年は55億円、そして2028年は60億円に成長すると予測している。

 GIGA第2期を通じて教育ICT市場でビジネスを伸ばすヒントについて原氏は「教師の業務効率の向上や、使いこなしの容易さなどの点から、現在のソリューションは学習支援と校務支援に分かれていますが、今後は学習支援と校務支援を連携させたソリューションが求められます。またデバイスとソリューションを組み合わせて提供できることも重要な要件となります」とアドバイスする。

Google

起動の速さ、動作の軽快さ、セキュリティ性の高さなどの魅力から、GIGA第1期において多くの教育現場で導入された端末がGoogleの「Chromebook」だ。GIGA第2期においても、この勢いは継続することが予想される。1人1台端末のリプレースが進められる中、Googleではどのような取り組みを行っていくのだろうか。Chromebookの導入を検討している教育現場に向けた支援策や、教育現場におけるChromebookのさらなるシェア拡大に向けた施策を伺った。

授業運営を妨げない起動の速さ
強固なセキュリティも強み

 GIGA第1期に多くの教育現場からの支持を得た端末の一つが、Chromebookだ。その理由をGoogle for Education 営業統括本部 本部長の杉浦 剛氏は次のように話す。「Chromebookには三つの優位性があります。一つ目が、授業運営を妨げない起動の速さや衝撃に耐え得る堅牢性といった性能の高さです。二つ目が、教育現場の負担を抑えた運用ができることです。年次更新時のアカウント管理やOSアップデートなどは全てクラウドで簡単に行えます。三つ目が、充実した支援体制です。当社ではChromebookを採用した全国の自治体と学校を対象にした『Kickstart Program』という教員向けの無償の研修プログラムを用意しています。Chromebookに対する疑問をなくし、教育現場での活用を充実させるためのプログラムです。これら三つの優位性が評価され、GIGA第1期では多くの教育現場でChromebookを採用していただきました」

 サイバー攻撃が高度化している中で、教育現場においてセキュリティを不安視する声も多い。Chromebookにはそうした不安を払拭するセキュリティ面での強みを持っている。「Chromebookは複数の層で情報が保護されており、仮に一つの層が破られたとしても、ほかの層で引き続き保護するという『多層防御』の考え方に基づいたセキュリティが採用されています。また、ユーザーデータは基本的にクラウドに保存されます。保存する際にはウイルスチェックが行われますので、セキュリティリスクを気にすることなく利用できます」(杉浦氏)

 こうしたさまざまな利点を持つChromebookは、GIGA第1期の学習者用端末と校務用端末として教育現場で選ばれてきた。

GIGA第2期に対応
教育現場に最適なパッケージ

Google for Education
営業統括本部
本部長
杉浦 剛

 GIGA第1期を経て、同社ではGIGA第2期におけるChromebookのさらなる需要拡大を目指していく。そのための施策としてGoogleが提供するのが、「第2期向けGoogle for Education GIGA スクールパッケージ」である。第2期向けGoogle for Education GIGA スクールパッケージは、教育機関向けのグループウェア「Google Workspace for Education」、GIGA第2期向けの新しい専用モバイルデバイス管理ライセンス「Google GIGA License」、Google Workspace for Education/Chromebookの運用を支援するプログラム「GIGA スクール サポートパック」の三つで構成される。学習や校務のICT環境に必要なソリューションをパッケージ化したものだ。

 Google Workspace for Educationは「Google ドライブ」「Google ドキュメント」「Google スプレッドシート」といったアプリのほか、学校での課題の作成・配布・採点をペーパーレス化、簡素化することを目的とした「Google Classroom」などの学習管理アプリを備えたグループウェアだ。授業から校務まで活用の幅を広げる機能が利用できる。

 Google GIGA Licenseは、GIGA第2期に必要な機能を搭載した専用のデバイス管理ライセンスだ。通常、教育機関でChromebookを管理する場合は、「Chrome Education Upgrade」という端末管理用のライセンスを購入する必要があった。今回GIGA第2期向けに提供を始めたGoogle GIGA Licenseは、Chrome Education Upgradeと同様、組織内の全てのユーザーアカウントや端末の設定の一元管理が行える。加えて、端末の利用状況やアカウントの活用率を可視化できる「ダッシュボード」を提供している。「GIGA第2期では、『端末の活用率の可視化』が求められています。ダッシュボード機能を活用することで、Chromebookの利用状況のほか、各種アプリの利用状況なども確認可能です。アプリの利用率を視覚的に捉えることで、現状の把握と問題点を分析できるようになります」と杉浦氏は説明する。

Chromebookの利用を促進させる
六つのサポートパック

 GIGA スクール サポートパックは、Google Workspace for EducationやChromebookを新規導入または継続利用する教育機関に対する各種サポートをまとめて提供するものだ。GIGA スクール サポートパックでは、「トライアルサポート」「新規導入サポート」「継続導入サポート」「Kickstartサポート」「データ可視化サポート」「リサイクルサポート」の六つのメニューを用意している。

 トライアルサポートは、まだChromebookを使用したことがない教育機関向けに、検討導入に必要な実機を貸し出すというプログラムだ。希望に合わせて、貸出台数や期間などにも柔軟に対応する。新規導入サポートは、Google Workspace for Educationの環境構築を無償で支援する。

 継続導入サポートは、すでにChromebookやGoogle Workspace for Educationを使っている教育機関に向けたプログラムだ。アプリや端末の利用状況や設定を確認し、最新機能の設定状況をアドバイスする。教育現場によっては担当者が代わっているケースもあり、設定を確認したい、運用を確認したいといった要望に対応するものだ。

 Kickstartサポートは、Chromebookを採用する教育機関向けの研修を提供する。Kickstart Programとして第1期から継続的に実施しているものだ。導入先の習熟度に合わせた研修を用意する。データ可視化サポートは、Google GIGA Licenseを利用している教育機関に対して、ダッシュボードの設定の支援を行うプログラムだ。

 リサイクルサポートは廃棄端末の回収サービスである。GIGA第2期の導入端末は購入時点で「廃棄・返却にかかる実施主体・費用についての見通し」を持っておくことが求められており、その要請に応えるものだ。GIGA第2期で導入するChromebookだけではなく、GIGA第1期で導入した他社OSの端末でも無償回収する。「GIGA スクール サポートパックによって、教育現場へのChromebookの導入をスムーズし、Chromebookの利活用を継続的に支援します」(杉浦氏)

 Googleでは、今後も第2期向けGoogle for Education GIGA スクールパッケージをはじめとしたさまざまな製品を通して、教育現場への支援を進めていく。「当社では、AIへの対応にも力を入れています。校務の効率化をはじめ、教職員の方をサポートするAI機能の強化も行っています。ChromebookとGoogle Workspace for Educationのさらなるシェア拡大を目指して、GIGA第2期への取り組みを進めていきます」と杉浦氏は語った。

日本マイクロソフト

GIGAスクール構想で学校現場にテクノロジーの普及が進んだことによって、子供たちの学びの在り方は変容している。ICTを活用した授業が展開される中で「誰一人取り残さない教育」を実現するべく、日本マイクロソフトが提案するのが「Windows 11 Pro Education」だ。これまで本誌では法人向けの「Windows 11 Pro」について度々取り上げてきたが、教育現場にはどのような効果をもたらすのだろうか。NEXT GIGAと言われるGIGA第2期への対応が求められる今、Windows 11 Pro Educationの導入メリットを日本マイクロソフトに伺った。

GIGA第2期の要件を満たして
ICTを活用した学びに対応

日本マイクロソフト
パブリックセクター事業本部 公共・社会基盤統括本部
教育戦略本部 本部長 日本教育事業統括 兼 GIGAスクール政策室長
宮崎翔太

 法人向け市場で高いシェアを獲得しているマイクロソフトのOS「Windows 11 Pro」。その教育分野向けのOSとして同社が提供するのが「Windows 11 Pro Education」だ。教育現場でICTを活用した学びが展開される中で、Windows 11 Pro Educationを搭載した端末を利用するメリットはなんだろうか。日本マイクロソフト パブリックセクター事業本部 公共・社会基盤統括本部 教育戦略本部 本部長 日本教育事業統括 兼 GIGAスクール政策室長の宮崎翔太氏はこう話す。「学習者用端末と校務用端末のそれぞれにメリットがあります。学習者用端末は、学習用アプリに加え、生徒の学習の進捗や科目の選択に応じてプログラミング、画像編集、CADといった豊富なWindowsアプリケーションをオンラインでもオフラインでも利用できる点です。校務用端末は、校内利用のみならずリモート接続時もしっかりデータを保護できる総合的なセキュリティの高さが最重要点です。さらに昨今では、『Microsoft Copilot』や『Microsoft 365 Copilot』といった生成AIを活用して利便性や効率性を引き上げるソリューションが利用できることも大きな利点であると考えています」

 教育現場で使用される学習者用の端末は、文部科学省が公表している「学習者用コンピュータ最低スペック基準」を満たす必要がある。この要件を満たすPCのスペックについて、日本マイクロソフトでは「GIGA Advanced パソコン」と「GIGA Basic パソコン」の二つのタイプに分けている。

 GIGA Advanced パソコンはメモリーが8GB/ストレージが64GBまたは128GBで、STEAM教育、プログラミング、画像編集など目的に合わせたアプリケーションをインストールして、インターネットの接続の有無にかかわらずどこでも学習できる「オンプレミス利用可能型」の端末だ。一方、GIGA Basic パソコンは、メモリーが4GB/ストレージが64GBで、常にインターネットに接続してクラウドサービスを使って学習を進めていく学校におすすめの端末だ。各PCベンダーからGIGA Advanced パソコンとGIGA Basic パソコンの要件を満たすPCが提供されているため、学校のニーズに合わせて自由に選択できる。

多様化が広がる学びの形
生徒一人ひとりのニーズに応える

日本マイクロソフト
デバイスパートナーセールス事業本部
マーケティング戦略本部
Commercial Windows戦略部長
仲西和彦

 GIGA第1期から今日にかけて日本の教育現場では端末導入が進み、デジタル教育は大きく前進している。そうした状況に対応するべく、マイクロソフトではGIGA第2期に対するソリューションの強化に力を入れている。「近年、学びの形は多様化し、生徒一人ひとりのニーズに対応した教育が求められています。当社では、そうしたニーズに寄り添うツールの一つとして、AIによる個別最適化ツール『Learning Accelerators』を『Microsoft 365 Education』に搭載しています。AIを活用して児童や生徒の音読をリアルタイムでコーチングしたり、数学や調べ学習、情報リテラシーの強化をサポートしたりすることが可能です。児童や生徒の学習を支えるだけでなく、教員の課題の作成や採点のサポートも行えるため、業務効率化による長時間労働の防止にも役立てられます」と宮崎氏はアピールする。

 また昨今、教育機関を狙ったサイバー攻撃が増加傾向にある。マイクロソフトではそうしたセキュリティリスクへの対策も強化している。「最新OSであるWindows 11は、猛威を振るうマルウェアに対する対策が強化されています。PCの監視やアカウントの保護、マルウェアをはじめとした脅威の検知などの機能が含まれています。当社の調査では、Windows 11を導入している組織は、Windows 10利用時と比較して約62%もセキュリティインシデントの発生数が減少しているという結果が出ています。安全面でも教育現場をしっかりとサポートします」(宮崎氏)

認定プログラムの取得で
幅広いソリューション提案が可能に

 日本マイクロソフトではGIGA第2期に向けて、販売店に対する支援策も用意している。それが、「ゼロタッチデバイス管理パートナー」と「GIGAソリューションパートナー」である。ゼロタッチデバイス管理パートナーは、「Microsoft Intune」「Windows Autopilot」を活用した、クラウドベースの安全なデバイス管理できるパートナーを認定するプログラムだ。認定条件として、PC、Microsoft 365の導入支援を行うリセラーであること、マイクロソフト指定の認定プログラムを受講・完了することなどが挙げられる。

 GIGAソリューションパートナーは、Learning AcceleratorsといったAIを活用した最新教育ソリューションの提案や、GIGAスクールに特化したゼロタッチ運用ができるマイクロソフト教育ICTソリューションスペシャリストを認定するプログラムだ。認定条件として、ゼロタッチデバイス管理パートナー認定をすでに所持していることが必須となっている。加えて、文教市場へGIGAスクール関連ソリューションの提案経験やコネクションがあることなどが求められる。

「Windows PCの導入・管理を適切に行う方法や学習支援ツールの利用方法などを現場により近い販売店の皆さまのお力添えをいただきながら、広く伝えていくことが重要であると考えています。認定プログラムを取得したパートナーさまが、Learning Acceleratorなどの最新教育ソリューションの提案を行うことで、教育現場をより良い学びの場にするための支援にもつながります」と日本マイクロソフト デバイスパートナーセールス事業本部 マーケティング戦略本部 Commercial Windows戦略部長の仲西和彦氏は説明する。

 今後も日本マイクロソフトでは、GIGA第2期に向けて教育市場を豊かにするための取り組みを進めていく予定だ。「当社の教育部門が掲げる理念である『Future Ready Skills(未来に備えたスキル)』に基づき、テクノロジーが目的化したり、ベンダーロックインが生まれたりすることのないサービスを用意していきます。将来、誰もが自分らしく活躍していくためのスキル形成に寄与できる、あくまでも手段となるテクノロジーをこれからも積極的に提供していきます」と宮崎氏は語った。

 続けて、仲西氏は「校務環境におけるWindowsやMicrosoft 365、ゼロトラストセキュリティ、生成AIサービスのCopilotなど、当社のさまざまなサービスの利用が急速に広がっています。引き続き皆さまの期待に応えられるよう提案を続けていきたいと考えています。お客さまやパートナーさまからのフィードバックに真摯に向き合い、製品とサービスの強化に努めてまいります」と展望を語った。