紹介するDXサービス:安否コール(アドテクニカ)、安否ナビゲータ(京セラコミュニケーションシステム)、安否確認サービス 2(トヨクモ)
災害時に備えて従業員の安否確認体制を整えたい
日本では地震、台風、洪水など年間を通じてさまざまな災害が多発している。企業では、そうした災害時における速やかな復旧と事業を存続していく体制を整えるために、事業継続計画(BCP)を策定する必要がある。そんなBCPを策定する上で欠かせないのが、従業員の安否確認だ。災害時における企業の存続は、従業員がいてこそ可能になる。従業員の安否が分からなければ、業務の再開目処が立たず、事業の継続も厳しくなってしまう。そうした状況を回避するため、災害時に備えて従業員の安否確認体制を整えるためのソリューションを紹介する。
命のためのBCPを考える
災害や緊急事態時であっても、企業は事業を中断させない、または中断しても可能な限り短い期間で復旧させるための対策を行う必要がある。そのために必要なのがBCPだ。
BCPを策定する目的は、緊急事態が起きても事業を継続させて企業を守ることにある。事業継続に必要なのは「人」「モノ」「金」「情報」という四つの経営資源である。この中で最も重要なのが人(従業員)だ。人の命より大切なものはなく、人がいなければ事業は動かせない。また、人はモノ、金、情報の三つの経営資源と直接的に関わっているため、BCPを策定する上でも人を守ることを最優先に考える必要がある。
災害発生時に、万が一のことが従業員に起きていないか、けがをしていないかをまずは確認することが大切だ。それが確認できたら、次は誰がいつから業務に復帰できるのかなどを明確にしていくことが、復旧計画を設定する第一歩となるのだ。自然災害が頻発化する中で、企業は従業員の安全を確保する責任が大きくなっている。それに伴って、従業員の安否確認が迅速に行える体制を整えておく必要がある。
従業員を守り早期の事業復旧を目指す
内閣府が2005年から公表している「BCP事業継続ガイドライン」においても、「従業員等の安否確認を実施、結果を集約」「避難が必要な場合、顧客・従業員の避難誘導」という災害時における実施すべき項目が挙げられており、企業への対応が求められている。
安否確認の手段の一つとして、電話やメールが挙げられる。しかし、担当者が一人ひとりに連絡を取るのは時間がかかり、すぐに安否確認が必要な緊急時には得策ではない。また災害時の緊急連絡について、休日や夜間の対応方法は定めていないケースが多く、いざという時に後手に回るリスクを抱えている。
そうした問題を解決するのが、安否確認システムだ。地震をはじめとする自然災害が発生した際に、従業員に対してメールやスマートフォンアプリなどから自動で安否確認の依頼を送信し、結果を早急に集計するといった機能を備える。企業が従業員を守り、早期の事業復旧を目指すためには、欠かせないシステムであるといえるだろう。
今回は、安否確認システムを提供するアドテクニカ、トヨクモ、京セラコミュニケーションシステムに製品を提案してもらった。
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災害時におけるBCPの初動をサポート
安否コール
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アドテクニカ
初期費用:11万5,500円
ノーマルEdition:1万9,800円/月(100ID)
豊富な機能とシンプルで使いやすい操作性を実現した安否確認システム「安否コール」を提案する。災害時におけるBCPの初動をサポートし、人命保護や地域防災力向上に寄与する製品だ。
安否コールは、「自動配信メール」「GPS位置情報の共有」「家族安否確認」「掲示板」といったBCPに求められるあらゆるコミュニケーション機能を搭載している。災害発生直後、気象庁から災害情報を取得し、震度・エリアに応じてメールの自動配信やスマートフォンアプリによるプッシュ通知を行う。従業員は情報を受信後、ワンクリックで安否情報入力画面にアクセスすることが可能だ。情報配信にかかる時間は平均54秒という早さを実現しており、安否状況を素早く確認し、救助が必要な人への迅速な対応につなげられる。
GPSで従業員の位置を取得し、「どこにいて」「どのような状況なのか」を管理者と共有する機能も、災害時の安否確認の際に大いに役立てられる。また、安否コールは従業員だけではなく、従業員の家族の安否を確認する機能も標準搭載している。家族のみがやりとりできるチャットメッセージ機能など、災害時の支えになる安心感も提供する。
パスワードレス認証を採用していることも安否コールの特長だ。携帯端末に割り当てられた固有IDを記憶する独自の仕組みによって、個人の識別を可能にしている。早急な対応が求められる災害時において、パスワードやIDが分からずログインできないといったリスクをなくし、回答率の向上に寄与する。従業員の回答状況はリアルタイムで自動集計される。管理者は「無事」「負傷」といった従業員の状態を1画面で確認可能だ。企業の事業継続の初動対応が円滑に進められる。
安否コールは直感的で分かりやすいUXデザインが評価され「2020年度グッドデザイン賞」を受賞した実績を持つ。操作性のみならず、今後も機能強化などを図り、企業の災害対策を支援する。
避難場所を確認できる
安否ナビゲータ
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京セラコミュニケーションシステム
初期費用:22万円(2025年12月末までに契約の場合は無償)
プラン1(LINEへの自動送信なし)月額費用:44円〜/月(1ID※)
プラン2(LINEへの自動送信あり)月額費用:55円〜/月(1ID※)
※10〜990IDまで
「ヒト」を守ることをコンセプトに、有事の際の従業員の安否確認と企業の事業継続をサポートするサービス「安否ナビゲータ」を提案する。
安否ナビゲータは、地震/気象/津波/土砂災害などの緊急情報を基に、従業員の現在地に即した安否確認連絡を自動で送信し、安否状況を素早く把握できるクラウドサービスだ。各種予報情報の自動送信も行える。情報は専用のスマートフォンアプリやメール、LINEといったさまざまな伝達手段で自動発報できる。
安否ナビゲータは、安否回答時に端末からGPSで位置情報を取得し、管理者が従業員の被災状況と位置情報を地図上で確認できる機能を搭載している。管理者は複数のユーザーの情報を地図上で視覚的に把握することで、従業員の安全確保を支援するとともに、迅速な救助要請や救助活動に役立てられる。
災害発生時における従業員同士のコミュニケーション手段となる「掲示板」機能も搭載している。メッセージだけではなく、ファイルの添付にも対応しており、情報のやりとりを的確かつタイムリーに行える。
安否ナビゲータの特長は、安否確認だけではなく、従業員を安全な場所へと避難誘導するという命を守るための機能を備えていることだ。スマートフォンアプリから近隣の避難場所を探したり、ハザードマップを確認したりできる。出張や外出先など土地勘のない場所で被災した際も安心だ。
安否ナビゲータは、スマートフォンの位置情報を基に安否確認が行える特長を強みに、全国各地に拠点を持つ企業での導入も多い。連絡が漏れる心配もなく、各地で働く従業員の安否を素早く確認できると好評だ。安否ナビゲータは利用者からの要望に応え、今後のさらなる機能強化も検討しているという。従業員の安全確保を第一に考えた機能の充実を図り、企業のBCP対策に貢献していく。
一斉訓練で自社の防災意識を高める
安否確認サービス 2
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トヨクモ
初期費用:0円
ライト:7,480円/月(50ユーザーまで)
災害時の安否確認だけではなく、緊急対策の議論や指示まで含めて活用できる「安否確認サービス 2」を提案する。企業の存続および従業員の生活基盤となる災害後の早期事業復旧に重きを置いた製品だ。災害発生時、気象庁の災害情報と連携し、自動でメールを送信して即座に安否確認を実施する。休日や夜間に自然災害が発生した場合でも迅速な対応を実現できる。また、一斉送信の回答状況や怪我の有無、家族の安否、出社の可否、交通手段などを集計結果で確認が可能だ。集計は自動で行われるため、人的ミスを防げる。
安否確認サービス 2は指定した相手と限定的にメッセージのやりとりが行える「メッセージ」機能も搭載している。災害対策メンバーや役員など宛先を限定し、緊急対策の議論をするといった活用も可能だ。
安否確認を行う際、アクセスの集中によるサーバーダウンは最も避けたい事態だ。安否確認サービス 2は、そうした事態を防ぐため、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウドサーバー上にシステムを構築している。さらに、国内の大規模災害を想定し、データサーバーを国際分散させている。アクセスが集中しても安定稼働する仕組みが採られているのだ。
トヨクモでは、安否確認サービス 2を契約している企業を対象に、毎年9月1日の「防災の日」に全国一斉訓練を実施している。訓練は、実施日と時間帯のみを公開し、詳細な開始時刻は管理者にも通知していない状態で行われる。安否確認サービス 2から一斉送信の通知を受け取って初めて管理者も事態を把握することになるため、実践に近い状態で参加企業も訓練の実施が可能となる。
訓練終了後には、参加企業に回答率の時間推移や訓練全体の平均回答時間などの内容をまとめた結果レポートを送付する。訓練結果を全体と比較しながら振り返ることで、自社の防災意識を高めるきっかけとして活用できる。