戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第27回】
うっかりミスや遅刻が激減するタイマー活用術
働き方改革推進と上司からはっぱをかけられるが、具体的なノウハウは自分で会得するしかない。これを自分働き方改革(自働:ジバラ)と読んでいる。時短など効率的な仕事のコツを紹介していく連載をお届けする。今回は、タイマーの活用術だ。
文/戸田 覚
タイマーとアラームを使う
今から20年程前の取材で、ある大手オフィス機器メーカーの役員から興味深い話を聞いた。彼は、会議を時間通りに終わらせるためにタイマーを使っていたのだ。当時は、スマホなどない時代なので、なんとキッチンタイマーを使っていた。いくつかの課題はあったが、確かに効果は絶大だ。今回はそんなノウハウをアレンジしたタイマーの活用術を紹介しよう。
タイマーを使うのは、仕事に夢中になっているときのうっかり忘れ防止だ。例えば、顧客に電話をかけたら「1時間後にかけ直して欲しい」と言われたのに、夢中で書類を作成しているうちについつい忘れてしまう……。あと1時間で出かけなければいけないのに、見積作成も佳境。何度も時計を確認しながら作業している……。
こんな時には、タイマーを使うのが手っ取り早い。ポイントは、自分で時間を意識する必要がないことだ。時間を意識するのを忘れていたり、逆に意識したくないときにも助けてもらえる。
今さら言うまでもないが、タイマーと同じような機能にアラームがある。その使い分けも重要だ。アラームは指定した時刻に鳴らすことができる。タイマーは時間の長さを指定して鳴らせる。
「14時に出かけよう」「15時に来客だから20分前に準備しよう」これは、アラームの役目だ。「今日は残り4時間。2時間書類作成し、2時間はメールの処理をしよう」「あと20分経ったら、顧客に電話しよう」これは、タイマーの役目だ。
ベルが鳴るという結果は同じことだが、このように、うまく使い分けるとセットする操作が楽になる。
ひっそり使えるのが素晴らしい
前記のキッチンタイマーは、「ピッピッピ」と大きな音が鳴る。会議の終了を告げるならとても重宝するのだが、仕事中にこまめに使っているとうるさくて仕方がない。
ところが、スマホを使えばアラームやタイマーの音は自由に調整できる。例えば、iPhoneの場合は、ボリュームボタンを押しても調整はできない。設定の「サウンド」で「着信音と通知音」を調整すればいい。もし、ボタンで変更したいなら「ボタンで変更」をオンにしておけばいい。
音量とともに本体が震えるので、ポケットに入れておけば最低の音量で周囲に聞かれなくても自分にはわかるはずだ。さらに便利なのがApple Watchで、こちらは手首に付けていると振動でアラームやタイマーが把握できる。
タイマーやアラームを便利に使うには、設定を簡単にしておくのがポイントだ。「15時に鳴らそう」と思っても操作が複雑だと面倒でセットする気になれない。iPhoneではアラームを30分おきにセットしておけばスライドでオンにするだけで利用可能なのでおすすめだ。Apple Watchでは、ウォッチフェイスの「インフォグラフ」などを使うことで、2タップでタイマーを実行できる。
個人的に気に入っているのがスマートスピーカーで、音声でタイマーやアラームがセットできるので、手が離せないときにも重宝している。
例えば、会議をどうしても14時に抜け出して客先に出かけたい場合には、アラームのセットをおすすめする。その上で、会議の冒頭で「客先に出かけなければならないので14時に失礼します」と伝えておく。時間が来て音が鳴ると上司は「君早く行った方がいいよ」と急かせてくれるだろう。自分で「そろそろ時間なので失礼します」と、上司の発言を遮るような形にならないのがとてもいい。
シンプルで、今さら感もあるのだが、タイマーとアラームの活用はジバラにはマストだ。
筆者プロフィール:戸田 覚
1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。