サイボウズのクラウドサービス「kintone(キントーン)」

 業務を遂行するにあたり、さまざまなアプリやサービスを使ってしていることでしょう。個々のアプリやサービスは使い勝手がいいかもしれませんが、その都度違う画面を立ち上げ、バラバラになっている情報を集約して活用・分析するのはかなり面倒。そんな面倒を一撃で解決し効率化してしまうのが、サイボウズの「kintone」です。今回は池澤あやかさんに、kintoneのカスタマイズのすごさを体験してもらいました。

取材/池澤あやか、文/飯島範久、写真/岡田清孝


タレント/エンジニア
池澤あやか
@ikeay
第6回東宝「シンデレラ」オーディションで審査員特別賞に選ばれ、タレントとして活躍する一方、慶應義塾大学 環境情報学部(SFC)在学中にプログラミングに目覚める。大学卒業後もプログラミングができるタレントという特技を活かして活動中。

中学・高校・大学と同級生だった友人と久々の対面

 東京日本橋にあるサイボウズ本社を訪れた池澤さん。今回の取材は、いつもとは違うテンションで進むことになります。というのも、対応していただいたサイボウズのビジネスマーケティング本部 kintoneプロモーション担当の山田幸さんは、なんと池澤あやかさんと中学・高校・大学と同級生だったとのこと。何という縁でしょう。大学を卒業してからはずっと会っていなかったそうで、久しぶりの対面となりました。

 このため、冒頭はkintoneの話ではなく、池澤さんの過去が明かされる!? 学生時代の話が展開されました。少しだけお付き合いください。

池澤あやかさん(以下池澤) 「(山田さんが)サイボウズに入ることは知っていたんだけど、新卒で入ったはずなので、こんなに長くいるとは思わなかった(笑)」

山田幸さん(以下山田) 「この4月で6年目ですね」

池澤 「サイボウズは働きやすい会社ということをよく聞くので、だから長いのかなと」

山田 「どんどん新しいことに挑戦できるのでやりがいがあります。私、kintoneの担当になった直後に『Rubyアイドルとしてなんか一緒にできないかな』ってLINEしたんですよ(笑)」

池澤 「いままでそんなこと(Rubyアイドル)言ったことないだろうって(笑)」

山田 「そしたら『事務所通してくれって』ってキッパリ。やっぱりそうかって(笑)。社内にもファンが大量にいるので、『私、中高大と友達ですよ、お泊り会もしたことあるんですよ』っていうと、みんなすげーって」

池澤 「一緒のクラスだった中2のときの話ですよ(笑)。でも中高大で一緒というのはなかなかいないから貴重」

山田 「中高のとき(池澤さん)は世界史マニアで」

池澤 「そうそう、レンガを削って積み重ねてピラミッドを造るという課外活動をしていた(笑)」

山田 「それが大学に入ってからプログラミングをやっていてビックリ。メキメキとRubyアイドルになっていって」

池澤 「印象適当でしょ(笑)」

山田 「中2のときにオーディションで受かって、それが朝のテレビ番組で放送されたから学校で大騒ぎになって。そのとき毎日昆布食べてて、なんで食べているのかなって」

池澤 「いや、友達にデブって言われてたんで(笑)」

山田 「そしたら痩せて、確かにすごいキレイになってた(笑)」

池澤 「……懐かしすぎる。さっkintoneの話しよ(笑)」

山田 「(笑)」

友人と久々に会って盛り上がる池澤さん(左)とサイボウズの山田幸さん

すでにkintoneを使ったことがある池澤さん

 昔話に花が咲き、デビュー当時の話とかいろいろ出てきたのですが、頭を切り替えてここから本題のkintoneについて説明していただきました。kintoneは、現在1万社以上に導入されているサイボウズのクラウドサービスで、あらゆる仕事を効率化できる業務システム(アプリ)を、必要な数だけ追加していくことができます。実は池澤さんがタレント活動をしていないときに働いているコネクティッドロック(スマートロック)の会社でも導入されていて、すでに使っているとのこと。

山田 「kintoneを会社で使いだしたとか」

池澤 「使ってる使ってる。自前でシステムを開発すると工数がかかって大変だから、kintoneを使うといいのではという話になって、じゃあお前よろしくって言われて(笑)。kintoneで作ったんだけど、わりとすべてが簡単すぎて、実は詳しくは知らないという」

山田 「どんな用途でkintoneを使ってるの?」

池澤 「コネクティッドロックのカギに関するアプリ。顧客情報やカギのこととかなどの情報をkintoneのアプリで管理してるよ! 担当者以外に、関連会社の人もkintoneを見れば内容を把握できるから、いいよねみたいな」

山田 「顧客情報や担当者などとを紐づけて管理しているんだね。いいね!」

池澤 「イェーイ(笑)」

 いつもの取材とはちょっと違い、かなりリラックスした雰囲気で話が進んでいきます。

山田 「ほかの用途には使ってる?」

池澤 「使ってない(笑)」

山田 「(笑)。今日の私の担当は、kintoneは顧客管理以外にも使い方あるよという話をすることなんだ」

 ここで、ようやく話の輪に入ってこられたのが、テクニカルエバンジェリストの大竹遼さん。今日のために池澤さんのアカウントを用意してセッティングしてました。

ここまではずっと話に入ってこられなかったテクニカルエバンジェリストの大竹遼さん(左)

池澤さんがカレー好きだと聞いて、大竹さんが背景をカレーにカスタマイズしてセッティング。背景は会社ごとに変えられる

大竹 「コネクティッドロックの会社で使われているアプリはどうやって作られたんですか?」

池澤 「なんか表みたいなところから作りました」

大竹 「自分で1から作るモードから始めたんですね」

山田 「実は、よく使われるサンプルアプリが100個ぐらいあって、顧客管理だとか交通費申請とか……」

池澤 「ホントだ! 全然見ていない(笑)」

 池澤さんは、サンプルアプリの存在を知らなかったようです。ほかにも、エクセルを読み込んでアプリを作ることや、ドラッグ&ドロップでアプリを作ることもできるそうだ。

kintoneアプリストアには、あらゆる業種や業務の用途に合わせたアプリが用意されている

ドラッグ&ドロップで簡単に項目を追加・修正できるので、この程度ならエンジニアでなくても組めるのが特徴

山田 「とりあえず、サンプルアプリを追加してみましょう」

 アプリを選択して「追加」をクリックすると、サンプルデータが入った状態でアプリが利用できるようになります。

山田 「設定画面から項目を自由に編集できるので、この項目必要ないなとか、あの項目追加したいなとか、運用しながらでも環境の変化に合わせていつでも柔軟に変えていけます。集計方法も自由に変えられますよ」

設定画面からアプリの項目は自由に変更できる

アプリに溜めたデータはグラフで見える化して、分析に活用することも可能だ

池澤 「この画面は見た!」

山田 「仕事の数だけアプリを用意できるんですよ。あと、アプリは1個でも100個でも月額費用(1人1,500円)は変わらないので、1個だと1,500円だけど、100個追加したら1個あたり15円のアプリということになるんです」

池澤 「確かに。私は1個しか使ってない(笑)」

大竹 「それはもったいない!」

山田 「だから、会社内のいろいろな用途で使ったほうがお得なんです」

池澤 「うぇーい! 何かあるかなぁ」

山田 「それこそ、すでに使っているアプリと問い合わせ管理アプリは、顧客名で紐づけて管理するのがオススメ! 顧客ごとに関連する情報を1箇所にまとめて管理できるから、担当者が変わったとしても、過去のやり取りごと引き継げるので便利なんです」

池澤 「なるほどね」

大竹 「会社のためだけでなく、もっと個人利用してもいいと思うんですよ。たとえばタスク管理とか」

池澤 「えー、どうやってやるんですか?」

大竹 「サンプルアプリに『ToDoアプリ』があるので、それを追加してもらえば」

 ここでToDoアプリを起動して、試しにタスクを設定して入力。

ToDoアプリで、ToDo、担当者、〆切、ステータスなどのタスク管理ができる

山田 「『プロセス管理』という機能があって、これを有効にすると、データにステータスを付けられるんです」

池澤 「すごい。タスクの処理開始で“処理中”に、完了したら“完了”にすると」

山田 「個人でも使えるし、チームのタスク管理としても使えます。見える化できるので『池澤さんの仕事が溜まっているなぁ』とかがチーム全体でわかる」

大竹 「ステータスを更新されたらすぐに反映されて確認できるんです」

山田 「そう。だから『あぁ、池澤さんタスク完了したんだ』ということがすぐにわかって、コメントを入れたりできます」

 大竹さんのPCから池澤さんにねぎらいの言葉が送られました。

メッセージが届いたことは、別のアプリを使っていても通知機能でわかるようになっている。もちろんスマホにも通知可能だ

池澤 「ホントだ!」

山田 「kintoneはデータベースとコミュニケーションが一緒になっているので、メールにエクセルを添付して『添付のエクセルをご確認ください…B列にある…』みたいな煩雑なやり取りもすべてkintoneのアプリの中で完結させることができます。すべてのデータをkintoneで一元管理できるので、複数のエクセルを1つのエクセルにまとめるような集計作業も不要になり、日付をキーにしてリマインド通知もできます。『コネクティッドロックの保守に行ってください』とか『そろそろ設置に行ってください』といったコミュニケーションもできますよ」

池澤 「(会社の人は)それ、やりたいって言ってた」

山田 「よく会社で使われているのが、顧客管理や営業管理、日報管理、交通費申請、契約者管理、ToDo、採用管理などですね。管理したいデータならなんでも項目を組み合わせるだけで、どんな用途にも使えます。社内のメンバーとのやりとりに限らず、それこそ外部の人とも」

池澤 「わりと技術者じゃない人でもシステム開発できるということ?」

山田 「そうそう、いい言葉引き出した(笑)。あとあるのは、私はマーケティング部なので、『Webサイトを更新してください』とか、『イラストを作成してください』などの、Webデザイナーチームへの依頼もkintoneアプリでやっています。依頼をアプリに登録後、コメント欄で詳細を確認したり、作業が完了すると“完了しました”とステータス変更の通知ががくるから、それを見て『ありがとうございます』ってコメントしたり。作業の依頼から完了まですべてがアプリ内で完結されます。あと、検索すると似たような依頼がヒットするので、過去の依頼を参考にしつつ『これと同じ感じで作業してください』というノウハウの共有も同時にできちゃいます」

山田さんが実際にサイボウズ社内で行っている『Web公開依頼』のやりとり

池澤 「これって一人ひとり勝手にアプリを追加できるんですか?」

大竹 「追加できる人の権限はあって、基本的にアプリを追加するとみんなのところにも反映されます。もちろん特定の人にだけ見せるということもできます」

さらにカスタマイズすることで何にでも連携できる

山田 「ここまでが標準機能で、特にカスタマイズしなくても、実現できる範囲のものです。ここからはカスタマイズの話をしようと思います」

池澤 「でも標準機能でいろいろなことができますよね。これだけでも十分な気がする」

山田 「実は、ユーザーさんの半分以上がはJavaScriptやAPIでカスタマイズして機能拡張できるスタンダードコースをお選びいただいています。APIドキュメントやJavaScriptプログラムなどの技術情報を公開している 『cybozu developer network』というコミュニティーサイトを用意していて、初心者向けの学習コンテンツや簡単なサンプルコードも公開されているので、コピペすればエンジニアじゃない私でもkintoneをカスタマイズできちゃうんです。たとえば私がよく使うのが“いいね"プラグインですね」

大竹 「標準機能だとコメントに“いいね“は付けられるのですが、これはデータ自体に“いいね”が付けられるというプラグインです。たとえば、日報登録でこの日報はよかったから“いいね”を付けたり、アンケート投票の代わりに“いいね”を使ったり」

山田 「条件書式プラグインもよく使います。条件によって、書式を設定できるのですが、売上予測金額が100万円以上のものは、背景を赤くするとか、〆切が近いタスクはフォントサイズを大きくして目立たせるとか、そういう使い方ができます」

池澤 「ほんとだ。こういうのって便利だよね。あ、ガントチャートもある。これ面倒くさいよね。(作るには)最も面倒くさい仕事だと思う(笑)」

“いいね"プラグインでデータ自体に“いいね"がつけられるように

条件書式で表示方法を変えて目立たせることも

1から作るとなると面倒なガントチャートも用意されている

山田 「今ご紹介したような画面上の色を変えたり、ボタンを配したりすることに使う“JavaScript API”を使って、今回いくつか面白いネタを仕込んできました」

大竹さんが仕込んできた音楽プレーヤー。音楽ファイルを引っ張ってきて、再生機能をもたせたもの

タブで区切りにカスタマイズすることで、フィールドがたくさんありすぎて永遠とスクロールしなければならない状況を改善できる

池澤 「タブで区切るやつは便利ですね!」

大竹 「もう1つ、“顧客リスト(?)”をクリックしてみてください」

池澤 「うわっ、画面の中で虫がウヨウヨ動いてる!」

大竹 「ネタ系なのですが、これはJavaScriptで画面の中に虫を表示させるようにプログラムしています。虫の数や動くスピードもkintoneの中で設定しています」

池澤 「kintoneの中でもJavaScriptファイルを編集できるんですね」

画面をたくさんの虫が動き回るネタ系スクリプト

こんなのが現れたら、うわっとなりますよ誰でも

kintoneの画面上から直接JavaScriptを編集できるプラグインも用意されている

池澤 「なぜこんなのを作ろうと?」

大竹 「上長に申請しているのに無視され続けると、申請が回らないじゃないですか。そういうとき、申請を無視する上司に、虫の制裁を下す、みたいな。ネタですけどね」

池澤 「ダジャレなんですね(笑)。この虫は画像なんですか?」

大竹 「そうですね。画像自体はバイナリでJavaScript内に書き込んでいます。こうしたカスタマイズは、全員にも反映できますし、特定の人にもできます」

池澤 「自分だけのために作って、業務の効率化をすることもできるわけですね。それは魅力的!」

山田 「みんなで効率化しようよ!(笑)」

池澤 「一人だけ効率化させたい。一人だけ仕事が早い人になりたい(笑)」