凹凸が特長的なボンネット構造 新製品ではシンプル化に挑戦
レッツノートと言えば、ほかのノートPCとは明らかに異なる凸凹が強調された筐体デザインだろう。レッツノートの天板に採用されている「ボンネット構造」はデザインに独自性をもたらすだけではなく、筐体の頑丈さを強化する役割も担っている。
これまでのレッツノートは比較的大きな凹凸を備えたボンネット構造が採用されてきたが、2022年6月に発売された14インチモデルの『レッツノート「FV」シリーズ』(以下、FV)や、同年11月に発売された12.4インチモデルの『レッツノート「SR」シリーズ』(以下、SR)の天板は非常にスマートなデザインに変わっている。
こうしたレッツノートの進化についてパナソニック コネクトのモバイルソリューションズ事業部でレッツノートの商品企画を担当する佐藤敬太郎氏は「ごつごつしたデザインで頑丈にする技術は当社が確立しています。しかし働き方など世の中が大きく変化している現在、レッツノートを進化させる上で、これまでとは異なる新しい方向性で頑丈さを追求しようと考えました。そこで可能な限り凹凸と線をなくしてシンプル化することに挑戦しました」と説明する。
また筐体のカラーリングも変えた。これまでは明るいシルバーがレッツノートの特徴だったが、SRでは落ち着いたシルバーを採用している。その理由についてパナソニック コネクトのモバイルソリューションズ事業部 テクノロジーセンターで開発を担当する中尾周平氏は「これまでの明るいシルバーによってレッツノートが輝いて見えましたが、ハイブリッドワークの普及によって働く環境が多様化し、ノートPCを利用する頻度が高まり、SRではユーザーが映えるカラーリングを採用しています。男性向けでもなく女性向けでもないデザインエッセンスとカラーリングで、より広くさまざまな人に使っていただきたいと考えています」と説明する。
削ぎ落されたインターフェースを必要とする人のために採用し続ける
レッツノートにはずっとレッツノートを選び、使い続けるファンが多くいる。多くのユーザーに支持され続けるのはなぜなのか。その理由の一つに「他社が捨ててきたものをあえて続ける」という商品開発における変わらぬ精神が挙げられる。例えば現在の多くのノートPCに搭載されなくなったイーサネットポートやVGAポートなど、レガシーなインターフェースをレッツノートは可能な限り多数装備し続けてきた。またかつては全てのメーカーが採用していた取り外し可能なバッテリーパックを、レッツノートは今も採用し続けている。
その理由について佐藤氏は「多くのノートPCが進化の過程で削ぎ落してきたものであっても、今もユーザーの役に立つと信じています。例えばプロジェクターを長期にわたって使い続けるユーザーにとって、VGAポートは現在も必要なインターフェースです。一つのものを長く使い続けたいと考えるユーザーに対して、それが使える環境を提供し続けるメーカーも必要だと考え、パナソニック コネクトとレッツノートはそれを美学だと思っています」と強調する。
中尾氏も「10人のうち8人が不要だと言っても、2人にとってそれがないと致命傷だったらどうするのか、こうした考え方を大事なことだと捉えています。我々はこの2人に納得いただけることがビジネスだと思っています」と話す。
レッツノートの進化によって新しい使い方を提案したい
独自の特徴や魅力を備えるレッツノートは、その進化に伴って新たなファンも獲得している。これまでレッツノートは12インチモデルが圧倒的に支持されてきた。ところがハイブリッドワークの浸透によって、14インチモデルを選ぶ新たな顧客が増えているという。
佐藤氏は「この1年~2年でレッツノートの出荷量において14インチモデルが12インチモデルに追い付きつつあり、現在は12インチモデルと14インチモデルがレッツノートの二本柱になっています。14インチモデルによって新たなユーザーを獲得していると見ています」と説明する。
現在のレッツノートの二本柱を担うのが14インチモデルの新製品であるFVと、12.4インチモデルのSRだ。いずれもCPUに第12世代インテル Core™ プロセッサーを採用し、5G搭載モデルもラインアップするなど、あらゆるシーンで快適な仕事環境を提供する。またいずれの法人向けモデルにはインテル® vPro® プラットフォームが採用されている。さらにFVにはインテル® Evo™ プラットフォームに準拠したモデルもラインアップする。
インテル® Evo™ プラットフォームについて中尾氏は「インテル® Evo™ プラットフォームの認証ではインテルと密接に技術連携を行っています。またインテル® Evo™ プラットフォームの認証で培った技術や対策を他の製品に横展開して、ラインアップ全体のレベルアップも図っています。これは社内に開発センターを持つ当社の強みであり、他の機種で行ったことを別の機種で情報共有できる利点があります」とアピールする。
最後に佐藤氏は「当社はずっとモバイルの領域でビジネスをしてきました。レッツノートの進化によってモバイルの領域で新しい製品を生み出すとともに、ノートPCの新しい使い方を提案していきたいと考えています」と語った。