コミュニケーション能力を社員に求める企業が増加している。コロナ禍を経たことで、テキストでは伝わりにくい微妙なニュアンスを伝えられるコミュニケーションの重要性が高まっているのだ。そうした背景の下、自分の思いを適切な言葉と伝え方で相手に届ける「言語化力」を高めるのに役立つ書籍を紹介する。
言いたいことが1分でまとまる 言語化のコツ
考えをうまく言葉にできず、モヤモヤした思いを抱えたことはないだろうか。そんな人に最適な一冊が本書だ。本書では言語化力を高める基本メソッドを紹介している。基本メソッドは、導入、中身、締めを六つの文にまとめて1分で伝えることだ。まず導入では伝えたいことの全体像を話すことで、相手は話のポイントを理解しやすくなる。次に中身では相手が誤解しないように、5W(When、Where、Who、What、Why)・2H(How、How much)を明確にした客観的な事実を伝える。そして締めでは自分の意見と相手への要望を伝える。客観的な事実と主観的な意見を分けてどちらも伝えることで、相手の理解を得られやすい。この基本メソッドは、頭の中のモヤモヤをスッキリに変えてくれる。
言葉にする習慣
自分の思いを自分の言葉で伝えたい人に向けた一冊。そのためには、自分の価値観を知り、言葉にすることが重要だと著者は語る。第1部では、周囲の状況を詳細に観察する、思ったことを全て口に出す、自分がなぜその感情を抱いたのかを考えるという三つの行動を習慣化することが、自分の思いを言葉にする方法だと紹介している。第2部では、伝えたいことが自分の中で明確に言葉にできている人向けに、自分が言いたいことを相手に伝わる言葉に変換する方法を解説。相手の言動や行動をよく観察して、相手を理解しようとすることで、自分が言いたいことを相手に伝えられると著者は語る。本書は相手に伝える方法だけでなく、自分の価値観を自覚するのにも役立つ。
リーダーの言語化
本書は、リーダーにとって必要な言語化スキルを紹介している。リーダーが言語化する目的は、リーダー自身の思考とメンバーへの依頼や指示を明確にすることで、メンバーの正しい行動を引き出すためである。それを前提に、第2章ではゴールの言語化として、「お客さまを笑顔にする」「いい感じでやっておいて」といった定性的なゴールを明確にする手法を解説。定性的なゴールを「○○が○○できる状態」と言い換えて定義することで、リーダーとメンバーが同じ認識を持つことができ、チームのメンバーはゴールに向けて具体的な行動を起こせるようになるのだ。著者の経験を基にして具体的に言語化できている例/できていない例が多数紹介されており、イメージをつかみやすい一冊だ。