日本生産性本部は2024年10月11日に、「第3回 生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」の結果を発表した。本調査によると、労働生産性の低下に危機感を感じるビジネスパーソンは71%となっている。こうした調査結果から見える通り、労働生産性を向上させることは急務だ。ではどのように業務を進めれば良いのだろうか。こうした悩みを解決するのが、時間管理だ。今回は、時間管理について分かりやすく解説している書籍を取り上げる。
「時間不足」解消! 誰でも目標・夢を達成できる 朝5分だけ段取り手帳術
本書では、時間管理の手法として「段取り手帳術」を紹介している。段取り手帳術の手順は、①手帳で1カ月の予定を眺める、②「やることメモ」を書き出す、③「優先順位」を問いかける、④「投入時間」を決める、⑤「時間割」を完成させるという流れになっている。それぞれの詳細は3〜6章で個別に解説されており、気になる手順から読んでも問題ない。例えば5章では③「優先順位」を問いかけるの内容が詳説されており、優先順位を決めることは段取りの肝だと著者は述べた上で、優先順位を決める手法を二つ紹介している。一つ目が、やることの重要度と緊急度の二軸でマトリクス表を作成する方法だ。二つ目が、自分が担当者である「本来業務」、本来業務を行うに当たり必要不可欠な「関連作業」、本来業務とは直接関係がない「雑件」、謝罪や手戻りの「ミス&ムダ」に業務を分類する「仕事の4分類」だ。また段取り手帳術を行う時間として、朝の5分が最適であると著者は語る。その理由として、上司に指示を出されたり、電話がかかってきたりする可能性が低く、自分の時間を確保しやすいからだ。1日のスケジュールがうまく組み立てられずに、残業ばかりしてしまう人にお薦めの一冊だ。
ムダがなくなり、すべてがうまくいく 本当の時間術
本書最大のポイントは、研究機関の論文や実験結果に裏打ちされた時間管理の法則を解説していることだ。例えば、実行性の高い計画は「IF(○○のタイミングで)−THEN(すかさず△△する)」といった構文で、IFの部分には具体的な時間と場所を入れることが重要と紹介している。その根拠となるのが、イギリスのバース大学のサラ・ミルンによる運動の習慣化についての研究だ。本研究によると、いつ、どこで運動をするかを計画した参加者の91%が翌週も継続して運動を行っていたことが示されている。また本書の見出しは、誤解している時間活用術を×、提案したい時間活用術を○といったように○×形式になっている。気になった時間活用術から気軽に読み始められる一冊だ。
先送り0(ゼロ)
やるべきことができずにいるといった経験はないだろうか。この状態を解消するために、本書ではタスクの先送りをゼロにする三つのルールを紹介している。三つのルールは、「1日の初めに今日やることを決める」「1日の終わりにその中で先送りしたものの数を数える」「1分でも手をつけたら先送りとはしない」というシンプルなものだ。このルールの裏付けには、タスク管理メソッド「タスクシュート」がある。タスクシュートは、今日の予定タスク「プラン」、タスクの実行ログ「ログ」、定期実行タスク「ルーチン」を一つのサイクルとして回すことで、タスクの整理を容易に行える。タスクシュートによって、時間管理がうまくいったエピソードも紹介されており、先人の経験を自分に生かせるだろう。