【テーマ】音声メモを使いこなす
テキスト化や要約も可能なスマホの音声メモで効率をアップ
今回は、スマートフォンを利用した音声メモについて紹介する。思いついたことや必要な情報を記録するには、音声メモがかなり有力な方法だ。しかも、最近ではテキスト化や要約までできるようになっているので、実用性も抜群なのだ。
話す速度でメモを取ろう
毎日仕事をしていると、つくづく記録が大事だと思い知らされる。僕は年齢を重ねているので、記憶がしづらくなっている側面もあるだろうが、若い方でも「この前思いついたアイデアはなんだっけ?」と、つい忘れてしまうことは少なくないだろう。
昔、ある有名な作家にインタビューした際、枕元にノートとペンを置いておき、思いついたことを常に書けるようにしているとおっしゃっていたのが記憶に残っている。誰でも不意に降りてきたアイデアや人から聞いた情報などを忘れてしまうことは多い。そこで重要なのが記録しておくことだ。
一昔前まではひたすら書いて記録していた。ところが、スマホが急速に進化し、最近では音声メモが一番のお勧めだ。いつでも、どこでも持ち歩いているスマホにメモを記録するというのは理にかなっている。紙とペンを探す必要すらないのだ。
スマホにメモを記録する——というと、入力するのが面倒だという方が少なくないが、そんな必要はない。音声で話していけばそのまま情報を記録できる時代なのだ。
当然だが、話す速度で記録できるわけで、書くよりも絶対に速い。しかも、両手を使う必要がなく、片手で持って記録できる。その気になれば、マイク内蔵のイヤホンを使うことで両手を使わない記録も可能だ。もちろん、最初のタップなどは必要だが……。


音声メモの限界を突破
実は、20年程前のICレコーダーの時代から、僕は音声メモをお勧めしてきた。1980年代の映画を見ても刑事がテープレコーダーに所感を録音している姿さえ見かける。だが、従来の音声メモには限界があった。そもそも、いちいち聞き直さなければ内容が把握できなかったし、検索ができないのでメモを探すことすら大変だった。
ところが、現代では音声で録音したメモが目の前でテキスト化できる。しかも、皆さんがお使いのスマホでも対応しているアプリは数多い。有料のアプリもあるので、気に入ったものを利用すれば良いのだが、とりあえず試してみたいなら「Google Keep」(以下、Keep)がお薦め。Google純正のアプリなので気軽に使える(Googleのアカウントで利用できる)。
アプリを起動したら、新規のメモで録音を選ぶ。あとはスマホに向かって必要な情報を話せばいい。目の前で音声がテキストに変換されるので、非常に便利だ。
認識率が悪いと思ったら、なるべく滑舌よく話してみよう。また、「あー」とか「えー」などと言わず、話す内容を考えている間は無言でいい。
おそらく、想像よりも良い認識率でテキスト化できるはずだ。しかも、入力したテキストは修正できるのでミスがあったら直せばいい。
ただし、僕は内容が間違って伝わるような致命的なミス以外は直さない。分かればいい——と割り切ることで、メモを記録する時間が大幅に短縮できるからだ。しかも、録音した音声は聞き返すことができるので、テキストを完成させる必要もない。
少し使っていると、その便利さに気付くだろう。不意に思いついたアイデアはどんどん記録すればいいし、展示会などの情報記録でもメモとペンが不要になる。人と話していて聞いた社名や担当者名なども、音声入力してしまえば手っ取り早い。そこには、何のために紹介してもらったかを吹き込んでおく。


所感をどんどん入れておこう
メモを録音してテキスト化する際には、所感を必ず入れておこう。例えばアイデアなら、なぜ思いついたか、また、考えられる課題や相談するべき人など、頭に浮かんだ情報を全部入れておけばいい。後で使わないとしても、話す時間は数分なので無駄にはならない。
特に音声メモでは、感情まで記録できる。テンションの上げ下げや悩ましさなどを声色で吹き込めるのが、テキストのメモに対する優位点だ。有効なメモは後で、必ず音声を聞き直して確認したい。
Keepは、iPhone、Androidスマートフォンどちらでも利用でき、PCでもWebブラウザーで簡単に使えるのが便利だ。
利用してみて便利だと思ったら、さらに素晴らしいメモツールを利用したい。例えば、「Galaxy S24 Ultra」のボイスレコーダーアプリは、オフラインでも音声をテキスト化できる。ローカルで処理されているので、非常にレスポンスが良く、いつでもどこでも快適に使える。ばーっとしゃべってその内容をまとめてテキストにしたいなら、かなり使いやすい。ちなみに、Keepはオンラインでしか使えず、電波が悪いと反応も悪くなる。
さらに、Galaxy S24 Ultraのボイスレコーダーは、要約にも対応する(こちらはオンライン利用)。頭の中が整理されていない状態でも、思いついた内容をどんどん話していき、最後に要約すると自分が言っていた内容がきちんと整理されて把握できるだろう。AI時代の便利な使い方だ。
なお、情報を何らかのアプリにまとめている場合には、どの方法でも共有してしまえばいい。僕の場合は、思いつきは片っ端から音声でメモにしておき、後で使うような重要なものを拾い出して、メインで使っているノートアプリの「OneNote」に転記している。コピペしてもいいし、スマホの送る(共有)機能を利用してもOKだ。
OneNoteにまとめておくことで、PC・スマホどちらでも整理した情報をいつでも扱えるようになるからだ。最終的にはアプリを1本化しておかないと、どこに保存したか分からなくなりがちなので注意してほしい。
今回は、二つの方法で音声をテキスト化した。ほかにも手段は数多く、対応するアプリも多数登場している。また、スマホで録音しておき、PCに取り込んでからテキストしてもいい。
重要なのは、いつも手に持っているデバイスで利用できることだ。メモアプリはOneNoteなどにしておき、音声入力をする手もあるが、声のデータとテキストを両方記録できる方法がベストだ。
なお、人前でしゃべるのが恥ずかしいと思う方は、スマホのマイクに口を近づけて小声で話せばいい。周囲に全く聞こえない程度のボリュームでも十分メモを記録できる。

