金融機関向けのAWSジャパンの事業戦略
事業戦略
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(以下、AWSジャパン)は2月25日、自社が行う金融機関向けの事業戦略に関する説明会を開催した。同社は四つの取り組みを軸に戦略を推し進める。
一つ目が、戦略領域への投資拡大だ。生成AIなどの開発ツールを活用し、金融機関におけるIT資産のモダン化を加速する。金融機関では現在、COBOLで開発されたレガシーシステムが多く稼働している。こうした現状に対しAWSジャパンは、ソフトウェア開発を支援する生成AIアシスタント「Amazon Q Developer」を提供する。COBOLで書かれたコードをJavaのコードに変換できるため、レガシーシステムの刷新につながるのだ。
二つ目が、新規ビジネスの迅速な立ち上げだ。生成AIアプリ構築サービス「Amazon Bedrock」をはじめとする240以上のクラウドサービスによって、金融機関のサービス開発を支援する。
三つ目が、「イノベーション人財」の育成だ。組織の成熟度に対応した実践的なデジタルスキルの支援に加え、同社の技術者がシステム開発などの伴走型支援を行う。
四つ目が、レジリエンシーのさらなる強化だ。インフラストラクチャとサポートによるレジリエンシーの向上と、脅威インテリジェンスとサービスによるセキュリティ対策の強化を行う。代表的な取り組みとして、セキュリティと可用性を備えたシステム構築のためのフレームワーク「金融リファレンスアーキテクチャー(日本語版)」の提供が挙げられる。
同社 常務執行役員 金融事業統括本部 統括本部長の鶴田規久氏は「四つの取り組みを推進し、日本社会・経済の安定した基盤を提供していきます」と展望を語った。
基幹システムにAWSを採用
本記者会見ではAWSを利用する金融機関として、みずほ銀行の事例が紹介された。みずほ銀行では2024年から基幹システム「MINORI」の一部機能と開発環境をAWSに移行している。
みずほ銀行が基幹システムの移行先にAWSを採用した理由は二つある。一つ目が、メンタルモデルの合致だ。AWSジャパンでは、障害が起きる前提でいかにしてエンドユーザーに迷惑をかけないシステムを構築するかという考えの下、レジリエンシーの強化を進めている。みずほ銀行はこの考えに賛同を示したのだ。
二つ目が、外部リソースの確保だ。自社技術のみでシステムを構築・運用していると、IT人材を確保できなくなる恐れがある。そこでみずほ銀行は、オープンプラットフォームであるAWSを利用することで、開発エンジニアをはじめとした外部のIT人材を確保しやすくした。
最後にみずほ銀行 副CIO執行役員 山本健文氏は「AWSジャパンさまと協力して、AI活用によるビジネスのアジリティ向上やIT人材の確保に取り組み、経営基盤を強化していきたいですね」と意気込みを語った。

シャープ、議事録作成支援ソリューションを発表
新製品発表
シャープは2月18日、議事録作成支援ソリューション「eAssistant Minutes」を2025年3月中旬に発売予定だと発表した。本ソリューションは、議事録作成端末とオーディオアダプター、コントロールアプリ、議事録閲覧用Webアプリ、設置・保守サービスで構成されている。議事録作成端末とオーディオアダプター、そしてコントロールアプリをインストールしたホストPCを接続することで、会議の文字起こしが可能だ。
eAssistant Minutesの特長は二つある。一つ目が、セキュアに利用可能な点だ。独自のエッジAI技術「CE‐LLM」によって、外部ネットワークに接続せずに議事録を自動作成できる。音声やテキストデータは会議終了後にホストPCに送信されるので、議事録作成端末にデータは残らない。会議の内容をクラウドへアップロードすることに対し、情報漏えいの懸念を抱いている企業でも導入できるのだ。
二つ目が、リアルタイムの文字起こしが可能な点だ。文字起こしに加え、話者分離もリアルタイムで行える。さらに文字起こしデータが一定量に達すると自動で要約を生成するので、議事録作成者の負担軽減につながる。
同社 ワークプレイスイノベーション事業部 ソリューション企画部 部長 古川勝康氏は、今後の展望について以下のように語る。「さまざまな議事録テンプレートの提供や、導入先企業で使っているフォーマットに合わせた議事録生成機能、翻訳機能といった議事録機能の充実化を図っていきます。さらにAIを活用した会話のデータベース化や会議Botによる会議ファシリテーション機能を提供することで、お客さまの業務効率化を実現していきたいですね」
