第12世代インテル Core プロセッサーと
インテル Iris Xe グラフィックスが
Windows 11搭載ノートPCの生産性をレベルアップする

自宅やオフィス、カフェやサテライトオフィスなど、あらゆる場所で効率良く働くハイブリッドワークが定着している。それに伴い、いつでもどこでもオフィスと同じ環境と生産性で仕事ができるノートPCの需要が高まっている。インテルはノートPC への要望や使い方の変化に応えるために「インテル Evo プラットフォーム」を策定しているが、それを支えるキーテクノロジーとなるCPUとGPUにおいても、新しい時代に応えるための進化が実現されている。

マルチタスク環境を快適にする
第12 世代インテル Core プロセッサー

インテル
第二技術本部 部長
博士(工学)
安生健一朗 氏

 この数年間で働き方が大きく変化したことで、ノートPCに求められる要望や使い方も大きく変化している。インテルの第二技術本部で部長を務める安生健一朗氏は「ノートPCでの作業の効率性を求めてユーザーの使い方がこれまで以上にマルチタスク化しています。同時にさまざまな場所で頻繁にノートPCを使用するため、バッテリー駆動時間への要求もシビアになっています」と指摘する。

 こうしたユーザーの要求を満たすためにインテル Evo プラットフォームではノートPCが満たすべき要件を提示しており、各PCメーカーから準拠した製品が発売されている。

 またインテル Evo プラットフォームの最新版では第12世代インテル Core プロセッサーを搭載していることが求められる。この第12世代インテル Core プロセッサーが、マルチタスク環境の快適性の向上に貢献している。

 第12世代インテル Core プロセッサーの進化について安生氏は「ノートPCで仕事をする場合、例えば文書を作成しながら、バックグラウンドでデータをダウンロードしたり、定期的に新着メールを確認したりすることがあります。このときダウンロードするデータのサイズが大きい場合、文書を作成するアプリケーションの反応が鈍くなることがあります。データのダウンロードを急いでいなければ、今作業している文書作成を快適に行うことが生産性の向上につながります」と説明する。

 そして「第12世代インテル Core プロセッサーではこうした仕事、すなわちアプリケーションの優先順位に応じて処理を自動的に分担する仕組みが実現されています」と続ける。

2 種類のコアが処理を分担して
高性能と省電力を両立する

 第12 世代インテル Core プロセッサーには第11世代までのインテルCore プロセッサーとは全く異なるアーキテクチャが採用されており、コアが「P-core」と「E-core」の2種類で構成されている。

 P-coreは高性能な処理を、Ecoreは高効率な処理をそれぞれ担当する。P-core はインテルハイパースレッディング・テクノロジーにより疑似的に二つのコアを使用することで高性能化している。E-coreはP-coreよりもトランジスタ(計算器)の数が少なく、面積の小さな一つのコアを使用することで省電力化している。

 先ほどの例では、文書の作成はP-coreが行い、バックグラウンドのデータのダウンロードはE-core が行う。優先順位の低い作業を消費電力が低いE-coreで処理することで、CPUのリソース(電力)を優先順位の高い作業に割り当て、高速に処理できる利点がある。

 またユーザーが起動している複数のアプリケーションの中で、優先順位が高いのはどれか、どの処理をP-core、あるいはE-coreに振り分けるのかを動的かつ効率よく判断する「インテル スレッド・ディレクター」も第12世代インテル Core プロセッサーに搭載されている。

 安生氏は「インテル スレッド・ディレクターはWindows 11のスケジューラーと連携して動作し、Windows 11の標準APIに準拠して開発されたアプリケーションを組み合わせることで、P-coreとE-coreを持つ第12世代インテル Core プロセッサーの性能を最大限に引き出すことができます」と説明する。つまり最新のインテル Evoプラットフォームに準拠したWindows 11 搭載ノートPC が、マルチタスク環境を最も生産性が高く利用できるということだ。

内蔵GPU にCPU の処理を分散
アプリのAI 機能の高速化に貢献

インテル
マーケティング本部
ビジネス・マーケティング
ディレクター
矢嶋哲郎 氏

 インテル Core プロセッサーにはグラフィックス機能(GPU)が内蔵されており、第12世代ではさらに進化している。第12世代インテル Core プロセッサーには「インテル IrisXe グラフィックス」と呼ばれるGPUが内蔵されており、第11世代のそれに対してメモリーが高速化され、2基のハードウェアエンコーダーを搭載していることが特長だ。

 CPUにGPUが内蔵されている利点についてインテルのマーケティング本部 ビジネス・マーケティングでディレクターを務める矢嶋哲郎氏は「インテルはXPU戦略を推進しており、アプリケーションの種類に応じてそれぞれの処理を適材適所で分散させることでシステム(PC)全体の性能や効率を向上させています」と説明する。

 そして「インテル Iris Xe グラフィックスを内蔵するインテルCore プロセッサーでは、CPUの処理の一部をGPUに割り当てる機能が搭載されています。GPUはAIや機械学習の処理を得意とするため、Web会議での音声のノイズ除去や画像や映像の編集・加工などAIを利用している機能がより高速に処理でき、システム全体の性能向上につながります」と続ける。

 今後、インテルは内蔵GPUに加えて外付け(ディスクリート)GPUとなる「インテル Arc グラフィックス」も提供する予定だ。インテル Arc グラフィックスはインテル Iris Xe グラフィックスおよびインテル Core プロセッサーと連携してリソースを共有し、処理を分散できる。今後もインテルのXPU戦略が推進され、システム全体の高性能化、高効率化が進むことになる。