勤怠管理やスマートロックと連動
顔認証システムが業務の効率化に貢献
ロジテックINAソリューションズ
LTC-T80TS
ロジテックINAソリューションズの顔認証コネクトデバイス「LTC-T80」シリーズは、AIサーマルカメラ。人の表面温度やマスク未着用の検知と顔認証を、非接触で高速かつ高精度に行う。同社の資料によれば、顔認証率は99.5%で、認証速度は0.2秒と速い。顔認証に加えて、AIサーマルカメラの機能も備え、アフターコロナを見据えた入退管理デバイスとしても有効だ。
text by 森村恵一
非対面で熱検知&顔認証
本シリーズでは、テーブルスタンドモデルの「LTC-T80TS」とフロアスタンドモデル「LTC-T80FS」の2種類を展開している。今回は、LTC-T80TSを検証した。非対面での人の表面温度検知と顔認証が可能な本製品は、安全で効率的な入退室管理を実現する。温度測定距離は、0.3〜1mで、温度測定精度は±0.3度。顔認証の精度は最高で99.5%、測定速度は0.2秒程度とされており、実際に測ってみても1秒足らずで測定・認証できた。素早く検温可能だ。
温度測定は登録なしでもできるが、「登録されていないユーザーです」と表示されるので、事前の顔画像の登録をお薦めする。登録できるユーザーは3万人までで、マスク着用の有無も識別可能だ。最初の起動時にユーザー名とパスワードの登録を行っておけば、以降は登録したユーザー名とパスワードでログインして、各種設定を変更できる。無線LANまたは有線LANなどでネットワークに接続されたら、あとはPCやタブレットなどのWebブラウザーから、プリインストールされている顔認証アプリ「HL365.Face」の「Access Control System」で管理する。そして、必要な登録を完了したら、最後に「端末運用モード」に切り替える。端末運用モードでは、「顔認識モード」と「防疫モード」をそれぞれ設定できる。顔認識モードは、顔認証を行うかどうかの設定に加えて、アラームなどのオン/オフも指定可能だ。防疫モードでは、検知する温度やマスクの有無などを設定できる。商業施設などでは、防疫モードだけを活用している例も多いという。必要な設定を終えたら準備は完了だ。顔認証や検温によるアラームが鳴らない限りは、円滑に運用が進められる。本体の台座部分に、USB Type-A、有線LAN、USB OTGなどを備えている。ほかのデバイスと連携することで、アラーム以外の動作も可能になる。Webブラウザーが利用できる環境さえ用意すれば、直感的な操作で管理設定や記録データを操作・確認できる。
Android 7ベースで設計
OSにAndroid 7.1.2を搭載している。CPUはARM系ハイエンドSoCのRK3399 Cortex-A53/A72で、4GBのRAMと16GBのeMMCを内蔵。解像度1,280×800の8インチタッチパネルで、2MピクセルのRGBカメラとIRカメラを装備する。2.5Wのスピーカーからは高温検出時の警告などのアラーム音を鳴らせる。熱検知は、32〜42度までの測定が可能で、0.5mの距離と25度の室温に湿度60%が推奨されている。上部にランプを備え、登録済みのユーザーで、平常値であれば緑色に点灯。設定値よりも高く検出された場合は警告音を発してランプを赤色に点灯する。
認証用の顔画像登録は、本体に搭載されたカメラで撮影できる。撮影のほかにも、本体のモニターから管理画面を開けば画像データを登録できるので、PCを開く手間がなく容易だ。実際の顔登録には、Access Control Systemを利用する。最大3万人まで登録できるシステムで、LTC-T80シリーズと接続したPCのWebブラウザーから利用できる。Access Control Systemは、クラウドなどを利用せず、本製品とローカルネットワーク内で完結するので、顔画像を含めた社員データが漏えいするリスクは低い。保存されているデータは暗号化され独自のフォーマットで保護されるので安心だ。
スマートロックや勤怠システムとも連携
ロジテックINAソリューションズが提案する外部機器の活用例として、スマートロックプロダクト「Akerun Pro」との連携がある。一般的な電子錠では、ドアそのものや鍵の部分を対応する機器に入れ替える必要があるため、工事やドアの交換など、コストも時間もかかる。それに対して、Akerun Proはパネルドアの鍵のつまみ(サムターン)にかぶせるように取り付けるだけで、ドアを直接制御できる。さらに、冒頭で紹介した打刻申請など勤怠管理製品を含む「奉行シリーズ」への組み込みサービスや、「ジョブカン」のような勤怠管理システムとのAPI連携などに対応。これらによって、PCやスマートフォンから打刻する手間さえなくし、よりスマートな出退勤を実現する。
ウィズコロナの考え方が浸透して行動制限が解除され、移動も自由になっているだけに、これまで以上にオフィスに出社して働く機会は増えるだろう。そうした状況から社員を守るためにも、本製品のような顔認証にも防疫にも利用できるコネクトデバイスは、効果的な商材となる。