日本は地震や台風といった自然災害に見舞われることが多い。加えて、ランサムウェアによる攻撃を受ける可能性もある。これらの事態で企業のデータを失うと、多大な金銭的損失を被ったり、信用の失墜につながったりしてしまう。こうしたことを防ぐために、データのバックアップや保護を行うことは企業存続において不可欠だ。そこでSynologyのNAS「XS+/XSシリーズ」を使うと、適切なバックアップシステムの導入を実現する。組み込むHDDには同社の純正HDDを採用すれば、安心・安定したNAS運用が可能だ。

RS3621xs+
Synology HAT5300 HDD

高い信頼性と性能を担保

 多くの企業は、データを複数のデバイスやサービスに保存しているだろう。従業員個人のPCやファイルサーバー、仮想マシン、Google Workspace/Microsoft 365といったクラウドサービスなど、多様な場所で管理していると、バックアップ対応も各デバイスやサービスごとに行わなくてはならない。しかしIT担当者の人手が不足していると、データ保管場所全てのバックアップを行うのは非常に負担になってしまう。そこでXS+/XSシリーズを活用すると、散在したデータを1台のNASにまとめられるので、効率的なバックアップを実現する。

 XS+/XSシリーズは、信頼性を追求して設計されたビジネス向けの高性能NASだ。ストレージ容量や性能を拡張できるため、企業の成長に合わせた柔軟なカスタマイズに対応する。ラインアップは、3Uラックマウント型ストレージキットの「RS4021xs+」、2Uラックマウント型ストレージキットの「RS3621xs+」と「RS3621RPxs」と「RS3618xs」、1Uラックマウント型ストレージキットの「RS1619xs+」などをそろえる。

 XS+/XSシリーズは、バージョン、プラットフォーム、デバイスを跨いで、データの圧縮とグローバル重複排除に対応している。さらに、最初のバックアップより後は変更されたブロックのみを転送する「永久増分バックアップ」により、バックアップ時間の短縮を実現しているのだ。許可された従業員がファイルレベルのリカバリーを実行できるセルフサービスポータルも提供するため、スピーディーな問題解決にも貢献する。

 そしてライセンス費用は無料なので、TCOの削減も可能だ。加えてハードウェアだけでなく、XS+/XSシリーズと一緒に提供するソフトウェアもSynology製品となっている。従ってサポートを受けたい際は、ハードウェア/ソフトウェア共に同一の窓口に連絡すれば良いのだ。

 XS+/XSシリーズに組み込むHDDは、Synologyシステム向けのエンタープライズストレージドライブ「Synology HAT5300 HDD」をはじめとした、Synologyの純正HDDが良い。SynologyのエンタープライズクラスのNASは純正HDD、もしくは互換性の確認があるHDDをサポートするため、Synology HAT5300 HDDなどの純正HDD、もしくは互換性の確認があるHDDを使用していれば、Synologyのテクニカルサポートが提供されるのだ。NASに技術的な問題が発生した際、専門家から問題解決のための支援が受けられるので、安心したNAS運用を実現できる。

 ちなみにSynology HAT5300 HDDは、50万時間超の社内検証試験による信頼性を担保していたり、最大281MB/秒のデータ転送を維持可能な性能を備えていたりする特長を持つ。さらにSynologyのNASに搭載されたオペレーティングシステム「Synology DiskStation Manager」による自動ファームウェア更新にも対応するため、高い信頼性の中で効率的に高性能なNASを使うことに貢献する。

RS1619xs+
1Uラックマウント型ストレージキットのRS1619xs+は、ビジネス向けのファイル管理用途に最適なNASキットだ。

多様な環境のデータを一括管理

 それでは、XS+/XSシリーズでどのようなデバイスやサービスがバックアップできるか見ていこう。

 まず一つ目は、従業員のPCだ。XS+/XSシリーズで使える、エンドポイントやサーバーのバックアップを行うアプリケーション「Active Backup for Business」は、Windows PCとMacのバックアップや管理を同一のコンソールから実行できる。IT担当者はOSごとにコンソールを変えなくて良いので、管理の手間を削減可能だ。

 二つ目はファイルサーバーだ。WindowsサーバーとLinuxサーバーはシステム全体をバックアップでき、そのほかのファイルサーバーもファイルのバックアップが可能だ。バックアップしたWindowsサーバー/Linuxサーバーのシステムデータは、VMware vSphere、Hyper-V、Synologyの仮想化ツール「Virtual Machine Manager」(以下、VMM)上で復元できる。

 三つ目は仮想マシンだ。VMware vSphereとHyper-Vを無制限にバックアップできる。仮想マシン上で実行されているMicrosoft Exchange、Active Directory、SQL、SharePointといった、ボリュームのバックアップコピーを作成できるWindowsのストレージ管理機能「ボリュームシャドウコピーサービス」(VSS)対応アプリケーションの整合性も確保が可能だ。さらに、Active Backup for Businessの画面上でVMMの仮想マシンをシミュレーションすることにより、バックアップの信頼性の検証が行える。

 四つ目はSaaSだ。XS+/XSシリーズで使用可能な、Google Workspaceのデータをバックアップできるアプリケーション「Active Backup for Google Workspace」と、Microsoft 365アカウントのバックアップが可能なアプリケーション「Active Backup for Microsoft 365」を用いれば、それぞれGoogle WorkspaceとMicrosoft 365のメールや連絡先、カレンダー、ドライブなどをバックアップできる。バックアップされたGmail/Exchange Onlineのメールや添付ファイルは、検索やプレビューが可能だ。復元が必要なデータかどうかを確認できるので、無駄なアイテムを復活させてしまうことがない。そのほか、連絡先やカレンダーなども、必要なファイルだけを選択してエクスポートが可能だ。

 XS+/XSシリーズは、今挙げた4種類のデバイスやサービス、そしてサードパーティー製のNASのデータを一括で管理できる。

Synology製品を使用したバックアップ

クラウドもローカルも保護

 一部のXS+/XSシリーズでは、最新機能の一つである、指定された期間内のデータの変更と削除を制限する「Immutable Snapshot」(不変スナップショット)を、データのバックアップと復元が可能なツール「Snapshot Replication」を使用して作成できる。管理者アカウントでも編集不可能なスナップショットを作ることで、ランサムウェア攻撃で管理者アカウントを乗っ取られた場合もデータ保護を継続できる。

 万が一XS+/XSシリーズがランサムウェア攻撃を受けてしまっても、XS+/XSシリーズのデータをクラウドや別のSynology NASにバックアップ可能なアプリケーション「Hyper Backup」を使用していれば、データを完全に失うことがない。クラウドからローカルまで全てのデータの安全性を確保可能だ。

 さまざまな特長を持つXS+/XSシリーズは、「三つの異なるバックアップコピーを取る」「バックアップコピーを二つの異なるメディアに保存する」「少なくとも一つのバックアップコピーをオフサイトに保存する」という三つの戦略を実行する「3-2-1バックアップ戦略」の実施に大きく貢献する。3-2-1バックアップ戦略の実施により、ユーザー企業はバックアップデータの分散が行えるのだ。自然災害やサイバー攻撃でデータを失っても、バックアップデータを含めた全てのデータを失ってしまう危険性を回避し、どんな状況下でも企業存続を実現する。

 XS+/XSシリーズと純正HDDのHAT5300シリーズを活用し、盤石なデータ保護環境を整備しよう。