アイドルエコノミー

「使用されていない」「空いている」「遊んでいる」を意味する「Idol」と、経済「Economy」を組み合わせた造語。ヒト・モノ・場所・情報など、使われていないリソースを有効活用して、新しい経済的な価値を生み出す「フレームワーク」のこと。経営コンサルタントの大前研一が提唱した概念。

日本には「モノ」があふれている。しかし、余っているモノは有効に活用されていない。使われていないモノと、それを必要とする人を結びつけ、そこから利益を得る経営戦略がアイドルエコノミーだ。マッチングはインターネットやスマホアプリを介して行われる。アイドルエコノミーのビジネスは、すでに様々な分野に広がっている。

例えば、個人宅や事業所の空きスペースを駐車場としてネット上に登録し、利用したいユーザーに提供する。オーナーは設備投資することなく駐車場を貸し出し、ユーザーはオンラインで簡単に予約し格安で利用できる。自社は設備を持たず、印刷会社の稼働していない印刷機を利用し、チラシや名刺などを印刷するネット印刷のサービスもある。

専門家の「時間」と「スキル」もアイドルになる。「クラウドソーシング」は、必要なスキルを持った専門家に必要な時だけ仕事を依頼できる業務委託サービス。低予算でスピーディーな発注が行える。フードデリバリーの宅配ドライバーも空き時間を活用したアイドルエコノミーの一種だ。

アイドルエコノミーのサービスを賢く利用すれば、出費を抑えながら、質の高い暮らしを実現できる。その反面、アイドルエコノミーが広がることで、人は新しいモノを購入しなくなり、経済規模が縮小する危険性がある。また、新型コロナウイルスの影響で、タクシーや家、オフィススペースなど物理的な接触があるサービスは、大きな打撃を受けた。そのため、アフターコロナ時代のアイドルエコノミーは、物理的資産から、デジタル的資産に移行していくのではないかと考えられている。
(青木逸美)

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