インクルーシブデザイン

インクルーシブデザインとは、従来の商品・サービスの利用に制約があるユーザーが使いやすいように工夫されたデザインのこと。「inclusive」には「全てを含んだ」「包括的な」という意味がある。インクルーシブデザインは障がいの有無だけではなく、国籍や性別、言語、文化など多様性を考慮したアプローチを目指している。

インクルーシブデザインは、1994年に英国王立芸術大学院(RCA)のロジャー・コールマン教授が提唱した。車椅子を使う友人から自宅キッチンのデザインを依頼されたことがきっかけだった。ユーザーと話し合うことで、ハンディを考慮した機能性のみを追求するのではなく、「利用者と同じ目線で考えること」の重要さを実感したという。

混同されがちな言葉に「ユニバーサルデザイン」がある。ユニバーサルデザインは7つの原則に基づいて、誰にでも使いやすい汎用性の高いデザインを考える。

<ユニバーサルデザイン7つの原則>

  1. 公平性:誰にでも公平に利用できる
  2. 自由性・柔軟性:使う上で自由度が高い
  3. 単純性・直感的:使い方が簡単でわかりやすい
  4. わかりやすさ:必要な情報がすぐに理解できる
  5. 安全性:ミスや危険を最小限に抑える
  6. 省体力:無理な姿勢や力を必要とせず、疲れないで使える
  7. スペースの確保:使いやすいサイズとアクセスしやすいスペース

インクルーシブデザインとユニバーサルデザインはアクセシビリティと多様性を尊重するという目的は同様だが、アプローチが大きく異なる。

インクルーシブデザインは、特定のユーザーグループのニーズを具体的に取り入れて、一緒に作り上げていくことを重視する。ニーズを把握するため、ワークショップやアンケート調査などを行うこともある。一方、ユニバーサルデザインは、特定の調整を必要とせず、原則に基づいて最初からすべてのユーザーを考慮してデザインする。

(青木逸美)

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