トレーサビリティ

追跡を意味する「trace」と能力を意味する「ability」を組み合わせた造語。原材料や部品の調達、加工、組み立て、流通、販売の各工程で製造者や仕入先、販売元などを記録し、履歴を追跡可能な状態にする品質管理方法。製品に問題が生じた際、原因の究明や回収が容易になる。製品やサービスの品質を高め、消費者の信頼を失わないためには、トレーサビリティの確立が必須だ。

トレーサビリティには「チェーントレーサビリティ」と「内部トレーサビリティ」の2種類がある。チェーントレーサビリティとは、流通の各段階における製品の移動を把握すること。一般的に言われるトレーサビリティはチェーントレーサビリティに該当する。一方、内部トレーサビリティは、企業や工場など、特定の範囲に限定して製品の移動を追跡する。

また、トレーサビリティには、部品・製品の移動を追跡する「トレースフォワード」と、ある時点まで遡る「トレースバック」という2つの考え方がある。例えば、工場のトラブルで製品の不備が判明した際、出荷経路を追跡して、ピンポイントで製品を回収するのがトレースフォワード。トレースバックは、出荷した製品に不備が見つかった場合、製造時に遡って原因を特定する。

トレーサビリティには「情報の蓄積」が重要。あらゆる情報が収集できるようにインフラや環境を整備しなければならない。時系列でデータを管理する「ブロックチェーン」などを導入し、それぞれが管理している記録台帳を全体で共有すれば、流通でトラブルが発生した場合でも容易かつ迅速に原因を特定できる。
(青木逸美)

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