リクルートが提案する新しい働き方「ZIP WORK」って何!?
育児・介護をしながら自分の能力を活かせ、見合った収入を
文/花茂未来
育児・介護をしながらキャリアアップを目指せる
育児・介護などの理由で離職したがやはり働きたい、両立したいという人は多い。しかし、自身のスキルや専門性を活かせる仕事となると、時間や場所の制約から、フルタイム勤務が主流の日本ではまだまだ見つけにくいのが現状だ。
そこで注目したいのが、リクルートホールディングスが提案する「ZIP WORK」だ。専門的な知識やスキルを持つ人が、限られた時間で働き、高い専門性に見合う報酬、昇給、キャリアアップの機会がある働き方の概念こと。ZIPとは、迅速・速やかという意味の英単語で、元気・活力的にというニュアンスも含んでいる。
9月20日の広報発表後から、リクルートはZIP WORKの有効性を検証すべく、人材を受け入れる取り組みを開始しているということで、その狙いを聞いてみた。
「私はジップワーカー」という考え方、働き方が社会に広がることを期待
ZIP WORKの発案は、同社が育児と仕事の両立を支援するプロジェクト「iction!(イクション)」の事務局長である二葉美智子氏。2015年7月に発足したこのプロジェクトは、「育児と仕事の両立によるストレスを減らす」、「妊娠・出産時に辞めなくてすむ」、「無理なく始められる仕事をつくる」の3つを柱に、賛同する方々と協働しながら取り組んでいる。
広報部に経緯を伺ったところ「スタッフ募集に応募いただいた方との面談などを通じて、出産をきっかけに退職をしたものの、退職までに培ってきた専門的なスキルやキャリアを活かして活躍したい。しかしその職が限られている、という方が多いことを実感したことがきっかけです」(広報部談、以下同)とのこと。
ZIP WORKは事業やサービスにすることを前提としたものではなく、あくまでも働き方の概念・考え方。これを社会に浸透させるべく、まずは自社でZIP WORKの有効性を検証し始めているというワケだ。
「ZIP WORK」を満たす働き方の定義
- 時間が限定されている(1日5時間、週3日など)
- 専門的な知識やスキルを活かせる
- 高い専門性に見合う報酬を得られ、昇給などのキャリアアップの機会がある
勤務地については「リクルートグループ内で受け入れの状況を検証していく段階を経る必要があるので、当面は東京周辺」とのこと。就業先はリクルートグループ各社で、雇用形態は派遣社員、もしくはアルバイトのどちらかになる。
派遣社員の職種は人事・労務、広報・PR、規格・マーケティング、資料作成・分析など。アルバイトは住宅総合情報サイトSUUMOなどを手がけている株式会社ニジボックスで、Webサービスの設計や内部統制スタッフを募集している。アルバイト時給は1600円から2200円までと職種によって異なるが高めの設定になっている。
今回、残念ながらジップワーカーの方々の声は聞けなかったが、すでに10名弱の受け入れを決定しており、引き続き募集中とのこと。今後は「年内から年明けにかけてZIP WORKに共感いただける他社さんを募っていく予定です。リクルートグループ内での受け入れで蓄積したノウハウを、他社さんにも共有することでZIP WORKを広げていきたいと考えています」。
がんばりたい人が報われるためのワークライフバランス
人が生きることと社会で生きていくことが分断されてしまっている印象がいまの日本にはある。育児、介護の時間的制約のために、その人のスキルや働きたい意欲を仕事で生かせないのは、社会的にも損失だ。ZIP WORKの概念が広まれば、人々の、そして社会のためにもなるだろう。現在の募集職はZIP WORKのキャンペーンページから参照できるので、過去の経験を活かせる職種があれば検討してみてはいかがだろうか。