現実・仮想・AIを融合するXRグラスとソリューション
Dynabookが実施したソリューション事業戦略発表会をリポートする。記事では、新たに発売する透過型XRグラス「dynaEdge XR1」や専用のXRコントローラー「dynaEdge C1」、それに付随するビジネスソリューションを紹介する。
AIでの解析が可能なXRグラス&ソリューション
現実・仮想を融合して業務効率化
3月10日、Dynabookはソリューション事業戦略発表会を実施した。透過型XRグラス「dynaEdge XR1」や専用のXRコントローラー「dynaEdge C1」発売に際しての説明のほか、今後のAR体験についての展望が語られた。AIとARを組み合わせた新デバイスとXRソリューションのビジネスへの可能性を探っていこう。
AIとARで業務プロセスを改善
多様なワークスペースを拡張
AIが急速に進む中、安心安全に生成AIが活用できる快適なオフィス、現場環境が求められている。Dynabook 代表取締役社長 兼 CEO 覚道清文氏は本説明会冒頭、こう話を切り出した。「当社は、外に持ち運べるPCをコンセプトとした世界初のノートPC『Dynabook』を世に送り出してから、昨年で記念すべき35周年を迎えることができました。今後は、ハードウェアのみならず、当社独自の生成AIソリューションで、これまで以上にお客さまの価値向上に貢献すべく、未来を見据えた革新的な提案を続けていきます」
Dynabookのソリューション事業戦略の基本方針については、同社 執行役員 ソリューション事業本部長の熊谷 明氏がこう続けた。「当社は、お客さま、企業の皆さまに安心して安全に生成AIを活用できる環境を提供します。今日は三つほどサービスを紹介します。一つ目は、生成AIと連携可能なXRグラスとPCを一緒に使うことで、目の前の空間にワークスペースを創出するという新しいPCの活用方法です。本日の主題である『dynaEdge XR1』をPCとセットで利用することで目の前の空間をワークスペースにできます。PCのディスプレイ、デスクトップの画面を、最大三つ表示可能です。新幹線やカフェでタスクを処理する際など多様な働き方に貢献します。二つ目は、オンプレミス環境での開発においてAIを活用する提案です。生成AIの導入や活用に当たっては、情報漏えいやランニングコスト、導入の難しさ、定着の難しさなどさまざまな課題がお客さまとのヒアリングを通じて見えてきました。当社はこの課題に対して、AIアプリケーションをオンプレミスサーバーの中でローコードで開発できる環境を提供します。アプリケーションの開発を支援する研修プログラムも用意し、お客さまに寄り添いながら、企業の中の生成AI活用を広げていきたいと考えております。三つ目は、AIによるPCのライフサイクルマネジメントとしてLCMサービスを提供していることです。LCMサービスを契約すると、PCの台帳管理、棚卸しといった作業を自動化するクラウドサービス『PCアセットモニタリングサービス』を活用できます。AI分析によって、PC故障の有無、バッテリーの劣化リスクのある端末のモニタリングやレポートが可能です。企業のITの管理者が、PC運用に関する依頼や進捗状況を容易に確認できる『LCM運用ポータル』も提供しています。そのほか、dynaEdge XR1の現場DX安全運転支援、ピッキング支援、そして遠隔作業支援などの領域にも展開し、AIと人とをつなぐ先進デバイスと共にビジネス拡大を図ります」

代表取締役社長 兼 CEO
覚道清文 氏

執行役員
ソリューション事業本部長
熊谷 明 氏

ニューコンセプトコンピューティング統括部
NCC ソリューション戦略部
部長
小川岳弘 氏
AI機能で視覚情報を有効活用
スムーズなコミュニケーションを支援
今回の目玉となるdynaEdge XR1とdynaEdge C1の概要については、同社 ニューコンセプトコンピューティング統括部 NCC ソリューション戦略部 部長 小川岳弘氏がデモを交えて紹介してくれた。「透過型のXRグラスであるdynaEdge XR1は、同時に発表した専用のXRコントローラーのdynaEdge C1と組み合わせてAIとARの新たな映像体験を実現します。透過によって現実空間を視認しながら情報を大型画面で表示するdynaEdge C1で『AIアシスト』機能を呼び出せます。dynaEdge XR1の中央に備えたカメラ機能によってセンシングして、そのデータをdynaEdge C1を通じてAIが解釈することで、さまざまなアシストを受けられる仕組みです。会話のアシスト機能では、dynaEdge XR1を通して相手の顔を視認しながら、画面下に映画の字幕のように相手との会話を文字に起こせます。翻訳を表示したり会話のログを遡ったりとスムーズな会話をサポートします」
デモンストレーションは、dynaEdgeのAIアシスト機能のうち、「ビューサーチ」機能などが実演された。「dynaEdge XR1で見えている風景全体からオブジェクトを抽出して、AIが風景と物体の解説を表示してくれます。dynaEdge XR1が搭載しているスピーカーを使って、AIによって解析された解説内容を読み上げることも可能です。また、『ドキュメント要約』機能も搭載しています。dynaEdgeXR1越しにドキュメントをAIが認識すると英語の文章が表示され、日本語への翻訳も即座に行えます。スマートフォンの連携も可能で、dynaEdge C1と連携させておくことで、スマートフォンに届いた通知情報を目の前の空間に表示できます。dynaEdge XR1は、AIアシスト機能によってAR映像が空間上に溶け込むため、さまざまなシーンで皆さまの業務と生活をサポートします」


生活に溶け込むAR映像
現場DXを飛躍的に推進
dynaEdge XR1に関する今後の未来展望とXRソリューションについて、小川氏はこう締めくくる。「従来は、単眼型のスマートグラス『dynaEdge DE100』などを現場DXソリューションとして展開してきました。今回、dynaEdge XR1・dynaEdge C1をラインアップに加え、さらなる現場DX領域の拡大を目指すとともに、従来の単眼のARでは実現できなかったさまざまなビジネス領域に対しても、端末とソリューションを広げます。また、さまざまなパートナーの皆さまと連携・共創し、dynaEdge XR1をはじめ現場DXソリューションの拡大、また新たなXRユースケースの創出を進めていきます」
本説明会の後方の展示ブースにて、dynaEdge XR1・dDynaEdge C1のほかXRを活用したソリューションの展示例も見学できた。製造業や物流業の物品の入出庫作業に活用可能な東芝システムテクノロジーのフィッティング支援ソリューションだ。棚に画像認識のコードを貼ることで作業すべき棚をdynaEdge XR1で認識して、入出庫の作業を効率化するものだ。動画を分析するAIによってシステムの作業の手順を動画から簡単に作成できるエピソテックのXRソリューションも展示されていた。XRで目の前に手順書情報を順次表示される様子が確認できた。
Dynabookが展開するXRグラスのAR体験や業務改善サービスの創出に今後も期待できそうだ。
