今回のMicrosoft AzureによるAIとクラウドの未来では、「Azure AI Agent Service」について説明します。マイクロソフトではAIに注力した製品を展開しています。今年度はエージェント機能の拡充、エージェント化の加速を掲げており、まるで人がいるような感覚で、AIと関わる世界の実現を目指しています。そのような“Agentic World”の幕開けとなる1年として、Azure AI Agent Serviceの機能を見ていきましょう。


日本マイクロソフト
パートナー事業本部
コーポレートソリューション統括本部
パートナーソリューション本部
パートナーソリューションマネージャー
大北崇人

自動的にコード実行や管理を実現

 2025年はマイクロソフトにとって生成AIの取り組みを始めて3年目となります。AIによってパートナーさま、お客さまへの貢献できる領域は急激なスピードで拡大しており、2023年にリリースした「Microsoft Copilot」は今やAIのUIとなってあらゆる製品に組み込まれています。例えば、Microsoft 365やGitHub、セキュリティソリューションである「Microsoft Security」などのアプリケーションにとどまらず、早いレスポンスや機密性を備えたエッジでのAIを実現するためのPCにも実装されています。マイクロソフトは今後も責任あるAIを提供し続けることで、日本中のパートナーさま、エンドユーザーさまがAIの力でより多くのことを達成できるように支援します。

 では、「Azure AI Agent Service」はビジネスにおいて具体的にどのようなことが実現できるのでしょうか。企業や組織は、現在、アプリケーション開発・運用などの面で複雑化しており、手作業で時間のかかるワークフローの中で最小限の自動化を目指すという非常に大きな課題に直面しています。効率が悪いにもかかわらず運用コストが高い、欠如している可視性と制御機能、ヒューマンエラー、スケーラビリティへの課題などが代表的な例として挙げられます。

 そのような中、Azure AI Agent Serviceでは、AIを使用してビジネスプロセスをほぼ自律的にかつ自動的に実行します。AI活用の基になるコンピューティングおよびストレージのリソースの管理も不要です。マイクロサービス(複数の独立した小規模なサービスを組み合わせて一つの大きなアプリケーションを構築する開発手法)として機能する「AIエージェント」を安全にビルド、デプロイ、スケーリングできるように設計されたフル マネージド サービスとなっています。「Azure OpenAI Assistants」と同じワイヤプロトコルを使用しているため、「OpenAI SDK」または「Azure AI Foundry SDK」を活用して、わずか数行のコードでエージェントを作成して実行できます。例えば、Azure AI Foundry SDKを使用して AIエージェントを作成するには、AIが使用するモデル、タスクを完了する方法の手順、およびほかのサービスへのアクセスと操作に使用できるツールを設定するのみとなります。以前はクライアント側の関数呼び出しをサポートするために何百行ものコードを必要としていましたが、本製品を使用することで、数行のコードで実行できるようになりました。

 AIエージェントは、新しい情報に対する計画、適応、タスクの実行を独立して行えるため、複雑でダイナミックな環境、意思決定、自律的な処理が可能です。フィードバックから学習するため、戦略を調整し、最小限の人的監視で運用できるでしょう。個々のエージェントの基になるインフラストラクチャのスケーリング、セキュリティ、管理についての考慮は不要で、ワークフローとその機能を強化するエージェントの構築を集中して進められます。

自律性&目標志向のあるAIエージェント

 AIエージェントの特長は三つあります。まずは、自律性です。通常のAIチャットサービスは、ユーザーの指示に基づいて動作するのに対し、AIエージェントは、与えられた目標に基づいて独立して行動し、パートナーさまやユーザーさまの介入を最小限に抑えられます。そして、次の特長はAIエージェントが目標指向である点です。通常のAIチャットサービスは、ユーザーの質問に答えることに主眼を置いているのに対し、AIエージェントは特定の目標やタスクの達成に向けて計画を立てて行動が可能です。そして最後に推論です。通常のAIチャットサービスは、シンプルな一問一答に限定されることが多いですが、AIエージェントは、複雑で連続した対話の中からタスクを処理する能力を持ち、必要に応じて複数のエージェントを用意して協調し問題を解決することもあります。

 今回はAzure AI Agent Serviceを紹介しました。AIを取り巻く環境では、より用途に特化しAIに任せられる範囲を拡張させたサービス作りがトレンドになっています。そのような環境でAIエージェントを活用することで、効率性・価値・優位性を向上できます。

text:日本マイクロソフト 大北崇人 氏