コロナ禍で危機に直面している中小企業を
オンラインのセミナーやサービスで支援する
[Case-05] 公益財団法人 大阪産業局
大阪産業局は府内の中小企業を対象に経営や成長を支援する目的で、数多くのセミナーやワークショップなどのイベントを開催しており、さまざまな相談にも対応している。ところが新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出によって、イベント開催や相談対応を自粛せざるを得なかった。しかし大阪産業局には危機に直面している中小企業を支援するという務めがある。そこでシスコシステムズの「Cisco Webex」を導入して、オンラインで中小企業を支援する仕組みを構築した。
コロナ禍でセミナー開催を自粛
中小企業の支援ができなくなった
大阪産業局では経営力強化事業として少人数制の研修プログラムとなるワークショップをはじめ人材育成を支援するセミナーやマッチングイベントなどを開催している。また販路開拓支援事業では交流会や展示商談会を、創業支援事業では創業希望者向けのセミナーやワークショップなど、数多くのイベントを開催している。このほか各社の経営課題に対応するコンサルティング事業や海外展開支援事業、インキュベーション施設の運営など、さまざまな事業を展開する。
そのため大阪産業局の主な拠点となる「大阪産業創造館」や「マイドームおおさか」には、毎日大勢の人たちが大阪産業局のサービスを利用しに来館していた。
ところが今年2月、新型コロナウイルスの感染が国内でも拡大し始め、4月には緊急事態宣言が発出された。政府および大阪府の感染対策措置に従い、大阪産業局はイベントの開催など対面・集合型のサービスの提供を当面自粛せざるを得なかった。
大阪産業局でITを担当する統括室 総務二部の部長を務める角谷昭宏氏は「緊急事態宣言下で中小企業の経営者も従業員も非常に厳しい状況に直面しています。こうした状況だからこそ、我々が中小企業を支援しなければならないと考え、イベントや相談対応を非対面・非接触で実施する方法を検討しました」と当時を振り返る。
オンラインでの実施を模索し始めた角谷氏だが、コロナ禍以前よりセミナーやワークショップのオンライン化を考えていたという。角谷氏は「参加したいが予定が合わず参加できない、講師をお願いしたい人の日程が合わず講演を依頼できないといった場合に、オンラインなら参加、実施しやすくなると考え、いずれオンライン化を検討しようと思っていました」と語る。
大阪産業局では年間に約1万5,000件の相談に対応し、イベントやセミナーも年間600件以上実施してきた。それらがほとんど実施できない状況に陥っており、中小企業の経営や成長を支援するという役割を果たすにはイベントのオンライン化を早急に実施しなければならなかった。
角谷氏はテレワークで多くの人に利用されるようになったWeb会議サービスがセミナーなどの大人数でのコミュニケーションにも利用できることを知り、インターネットを通じて主要なWeb会議サービスの情報を収集した。そして角谷氏が選んだのがシスコシステムズの「Cisco Webex」だった。
Web会議サービスでセミナー開催を検討
セキュリティと実績を評価して選択
角谷氏は「参加者が安心して利用できるよう、セキュリティの高いサービスを求めました。そして主要なサービスを比較、検討した結果、シスコシステムズのCisco Webexを選びました」と説明する。
角谷氏がCisco Webexを選んだ理由は、各国の政府機関や金融機関などセキュリティに対する要求が厳しい業種や組織で利用されている実績と、ネットワークのグローバルブランドであるシスコシステムズが提供するサービスであることなどを評価し、信頼できるサービスであると判断したからだ。
利用するツールは決まったが、それをどこから買えばいいのか、利用料金はいくらなのか、想定する用途に適したサービスや機能はあるのかなど、多くの疑問が生じた。そこでシスコシステムズのホームページからどこに相談すればいいのかを問い合わせ、シスコシステムズから数社の販売パートナーが紹介された。
すぐさま紹介された販売パートナーに連絡を取った角谷氏は「レスポンスが悪く話が進まない、質問をしても適切な回答が得られないなど、導入決定後の運用イメージに不安を抱きました」と話す。そこで再びシスコシステムズのホームページにアクセスして自ら販売パートナーを検索して連絡を取った。その販売パートナーの一つがディーアイエスソリューション(DSol)だった。
角谷氏は「DSolはシスコシステムズの製品やサービスの実績が豊富にあり、安心して任せられそうだったので、さっそく相談することにしました」と語る。
スピーディーかつきめ細やかな対応で
セミナー開催の早期再開に貢献
大阪産業局には自粛しているセミナーなどのイベントをオンラインで早急に再開し、コロナ禍で危機に直面している中小企業を支援したいという思いが強くあった。角谷氏は「DSolに最初に連絡したときから質問や問い合わせにすぐに対応してくれて、話がスピーディーに進みました。数社の提案を比較検討していましたが、DSolの対応に信頼感を持てたので、価格を含めて総合的に判断して決めました」と語る。
角谷氏から連絡を受けたDSol 大阪営業部の三原雄輔氏は「大阪産業局さまが開催するイベントの形式をヒアリングし、Cisco Webexのラインアップの中からセミナー向けに『Cisco Webex Events』を、参加者同士で文書を共有したり共同作業したりするワークショップ向けに『Cisco Webex Training』を提案させていただきました」と説明する。
続けてDSolはトライアルライセンスを用意し、大阪産業局でイベントを担当する人に参加してもらい社内の会議室で説明会を開催して模擬セミナーを体験してもらった。
マーケティング支援チーム プランナーの倉田慈満氏は「Cisco Webexを実際に利用しながら説明を聞けたので、オンラインでのセミナーのイメージがつかめました」と話す。また産創館事業部 マーケティング支援チーム プランナーの佐藤 大氏も「操作や機能について分からないことを問い合わせると、すぐに教えてくれたおかげで早期にセミナーを再開できました」と喜ぶ。
現在、大阪産業局ではCisco Webexを利用したオンラインセミナーの開催数を徐々に増やしており、今後はワークショップもオンラインで実施する予定だ。さらにコンテンツ配信サービスの提供も検討しているという。
角谷氏は「開催済みのセミナーをオンデマンドで視聴できるサービスの提供を検討しており、DSolにもコンテンツ配信と実費徴収の仕組みを提案してもらっています。さらに導入したCisco Webexの保守サービスもDSolに提案してもらっており、今後もいろいろと相談したいと思っています」と期待する。
DSol 大阪営業部の岡田祐樹氏は「ネットワークやサーバーなどのインフラの更新時にクラウド化を提案するなど、幅広く大阪産業局さまのITを支援させていただきたいと考えています」と意欲を語った。