池澤あやかの 体験!スマートワークテクノロジー - 第6回

思わずカワイイを連発! 自由度の高い人の役に立つロボット「タピア」はノリから生まれた!?―後編



MJI「プレゼンテーションタピアセット」

さまざまな働き方改革を実現するソリューションに触れ、体験する、池澤あやかさんの連載。今回は、かわいいロボットの形をしたデジタルサイネージ、MJIの「タピア」です。前編では、「タピア」が生まれるまでや活用法、実際に池澤さんが体験したお話でしたが、後編では、タピアをより認知してもらうための施策「タピアプレイ」の話を中心にお伝えします。

取材/池澤あやか、文/飯島範久、写真/岡田清孝


タレント/エンジニア
池澤あやか
@ikeay
第6回東宝「シンデレラ」オーディションで審査員特別賞に選ばれ、タレントとして活躍する一方、慶應義塾大学 環境情報学部(SFC)在学中にプログラミングに目覚める。大学卒業後もプログラミングができるタレントという特技を活かして活動中。

認知度を高める新たな取り組み「タピアプレイ」

永守 「続いて、われわれがいま力を入れてるのが、タピアを使った幼児・児童向けのプログラミングソフト『タピアプレイ』です。ブラウザ版は6月15日に公開されたのですが、結構楽しいので、ぜひ池澤さんにも触ってもらいたいです」

池澤 「ありがとうございます」

永守 「ブラウザ版とタブレット版があり、最終的にこのタピアの実機と連携できるサービスになります。もちろん実機がなくても遊べます」

池澤 「ターゲットが、これまでシニア世代やイベントや販売を行なう企業だったりしたと思いますが、子供向けのソフトを出したのはどうしてなんですか?」

永守 「最初はシニア向けでスタートしたんですが、シニア向けだけだと正直あんまり売れないんですよ」

池澤 「そうなんですね。そもそもロボット欲しいっていうハイテクなお年寄りは少ない」

永守 「結局、デバイスばっかり買っているような人が買うわけです。なので40代ぐらいの世代だと、ご両親に買われたり。お子さん用に買われるので。ちょうどその人たち向けにターゲットを絞ったわけです」

池澤 「なるほど」

永守 「無料でいいので始めたのがこのタピアプレイです。ギーク女子って言われる方だと、ちょっと簡単過ぎると思いますが、小学校3年生ぐらいの子を対象にした、あくまでもプログラムのスタートとして、使ってもらいたいですね」

 このタピアプレイはこちらのサイトから無料で体験できますので、タピアがなくても楽しめます(Google Chrome推奨)。

タピアプレイはブラウザ上で動作し、タピアと連携も可能

池澤 「Webにはすでに作品がいっぱいあるんですね」

永守 「イベントで作られた作品を載せています。実際に作る画面は、音楽の五線譜に載せて、音符を置いていくようなイメージになってます。せりふや顔、動き、音っていうものがあって、それぞれ同じ形のとこに持っていき、タピアに話させたい言葉を入力していきます。顔というのは、タピアの表情が「にこにこ」とか「まばたき」、「大好き」というように動かせるので、よろしければ実際に組んでみてください」

 さっそく池澤さんは組み始めました。なんだか不安そうな音楽が流れてきます。

タピア 「おなかすいた(不安になる音楽が流れる)」

池澤 「怖い曲にしたんです(笑)」

ちょっとだけプログラミングしてみました

 時間もないのでサクッと作っただけですが、ほかにも社員の方が作った作品を紹介してくれました。なんでも社長に有給申請をするときに言いづらいから、タピアにお願いしようと作ってみたものだそう。

タピア 「トニー社長、こんにちは。ゴールデンウィークに頑張る私から、有給申請のお願いです。なんと、5月14日の月曜日が私の誕生日なのです。お休みをいただいてもいいでしょうか」

池澤 「すごい! 選択肢が『休んでいいよ』しかないですね(笑)」

タピア 「やったー。ありがとうございます」

池澤 「いい使い方(笑)」

永守 「お願は1個だけじゃなく、さらにタイムラインを続けて作品を作ることができます」

タピア 「社長、実はもう1つあるんですよ。5月23日の午後に、半休をいただきたいです」

 今度の選択肢は「ももクロのライブにどうしても行きたい」、「ももクロならしょうがない」、「社長もももクロに行こうかな」。どれを押しても結果は同じ。

タピア 「やったー。ありがとうございます」

池澤 「すごい、いい使い方ですね」

選択肢がすべて「休んでいい」に。こういう遊び心も簡単にできます

永守 「作品はリンクをメールで送れるんですよ。公けにはしたくないけど、誰かに作品を送りたいとか。お誕生日おめでとうとか。そんなときに、限定URLを発行して相手に送れば、その作品が再生できます」

池澤 「これはどんな感じで書いてあるんですか」

永守 「作品の編集を押すと、どのように組まれているか見られます」

池澤 「ああ、なるほど。選択肢で分岐していてもすべて同じ回答になるようになっているんですね」

楽譜の五線譜のようにコマンドを並べていく簡単なプログラミング方式

永守 「いままで、クリスマスカードや年賀状は、Web上でもよくありますが、音楽を付けたり文字を表示するぐらいしかできません。このようにプログラムしてメッセージを送れるサービスはなかったので、『お誕生日おめでとう』とか、『実は好きでした』といったような使い方をしてもらえると嬉しいですね」

池澤 「確かに。おばあちゃんへこれ使って送ったら、喜ばれそうです」

永守 「ほかにも、たとえばあるお店とコラボして、お店の背景とかお店のロゴとかを付けて、そのお店に置いていただいて再生するとか。キャンペーンと一緒に絡めて何かやるというようなこともできるかなと思っています」

池澤 「確かに。それこそ、ホテルのチェックインのやつとか。ホテルの説明とかもこれでできたら便利そう。子供だけでなく大人にとっても」

永守 「われわれは、ロボットというものを売り出していますが、世界中の人たちはいまいちロボットの使い方が分かっていないと思うんです。『スター・ウォーズ』みたいな世界を思い描いてる方が多くて。ただ、そこまではいってませんが、試行錯誤してる段階です。その試行錯誤の中で生まれたのが、こういうプレゼンタピアやホテルでのコンシェルジュだとか、受付だったりなんです。『こんなことできるんじゃない?』というアイデアがあれば、すぐご連絡いただけると、形にできることであれば、すぐに対応したいと思っています」

「スタバで自慢できるロボット」を目指した「Tapia Q」

永守 「タピアは、大きいっていうのもありますし、もっと小さいものを作るのもいいんじゃないかと思ってたんです。とくに綿密なマーケティングのもとで作っているわけではなく、ある日、朝起きたときに思い出したことがあって」

池澤 「思い出した(笑)」

永守 「これはベンチャーあるあるなんですが、そういう湧いてきたときに、トニーと話をしたら、小さいタピアを作るということになって。だったら、あのときのアイデアもと詰め込んで、できあがりつつあるのが『Tapia Q』というものなんです」

池澤 「コンセプト画像はあるんですね」

サイトでも概要は紹介されている「Tapia Q」。どんなものに仕上がるのか楽しみ

永守 「コンセプト的には、『スターバックスで自慢できるロボット』で、何をするかはこれからなんです」

池澤 「ほんとだ。何かスタバに持っていけそう」

永守 「傾けたりひねるだけで機能が変わるような、いままでなかったようなデバイスにしたいですね」

池澤 「どんな機能をもたせたいんですか?」

永守 「夢で湧いてきたロボットで、テキストでもなく音声でもないコミュニケーションを取りたいと」

池澤 「テキストでも音声でもない?」

永守 「スタバで音声はちょっと嫌ですよね。テキストだったらスマホやPCでもいい。まあ、タッチとかひねるとか、そういうことですね」

池澤 「ツートンツートントントントントン」

永守 「そういうのも面白いですね。パソコンとして使えたり音楽を再生したり、コミュニケーションできたり。いままであったものを詰め込んで、スタバでも出張先でも使えるようにできれば。家庭では、目覚まし時計だったり、カレンダーだったり、見守りだったり。いろんな機能が付けられるように考えてます」

池澤 「タピアのような目とかは?」

永守 「実は、あえてちょっとオールドファッションな形の目や表情をもたせる予定なんです」

池澤 「おしゃれですね。おしゃれ、おしゃれ」

永守 「値段もぐっと抑えてですね。3万4800円」

池澤 「おお、確かに3分の1の価格。サイズ感はどのぐらいなんですか?」

永守 「いまのところ1辺が75ミリですね」

池澤 「確かに、それならスタバに持っていける。何か、ガジェット好きには、お財布のひもが緩くなりそう。ガジェット好きって、何も考えずにボタンを押してしまう価格帯ってありますよね。9万だとちょっと躊躇してしまうけど、3万円だったら『あ、3万か』って(笑)」

永守 「よりおしゃれになるように、いま一生懸命作り込んでるところです」

ノリのよさはMJIの社風から生まれた?

 今回、いろいろとお話していると、池澤さんのアイデアやひらめきは、永守さんもヒントになったようで、今後、暮らしを見守るパートナーロボットのようなコンセプトのタピアが登場するかもしれません。いろいろと話しは尽きないのですが、今回お話を伺っての感想は?

社内にあったアイデア募集の箱。さっそく池澤さんはアイデアをしたためて応募していました

池澤 「ノリでいろいろと生み出されているというところが非常に面白いですね」

永守 「ノリのすごさは、社内にさまざまな国籍の人がいるからなんです。25名いて12国籍になります」

池澤 「なぜそんなに多国籍なんですか?」

永守 「気が付いたら、そうなってました(笑)。日本語で人材募集したんですが、日本人よりも海外の人のほうが、受けが良いんだと思います」

池澤 「そうですよね。自由さを感じます。たとえばタピアの中身の空間。ガジェットだと普通コンパクトにしがちじゃないですか。むしろ、余剰がある」

永守 「ビジネス的にいうと、こういうものって、大企業だと稟議が通らないし、ベンチャー過ぎてもお金が集まらないので、難しいポジションなんです。どこかノリとか、『えいや』っていうのがないと、できなくなりますね」

池澤 「えいや力はんぱない(笑)。ハードを作ってから、あとからソフトや展開を考えたり」

永守 「ノリで考えてるから、こういうことになるんでしょうね。逆に綿密に考えていたら、まだできていないと思います」

池澤 「でも大量生産するためには、綿密に設計を考えなければならない」

永守 「もちろんそうです。マイクロソフトから認定いただいたのも、拡張性の広さと品質なんですよね。マスプロダクションの品質に関しては、多分日本最高レベルだと思っていますので、そのへんのベンチャーとちょっと違うかもしれません」

池澤 「なるほど。あとタピア君はかわいいですね」

永守 「『タピアちゃん』なんですね。女の子の設定です」

池澤 「そうなんですね。これは意図したのか、ノリなのか分かんないですけど、どこに置いても、なじむデザインっていうのがすごいなと思いました。ロボットには、ロボットロボットしたものもありますけど、こういう何か家になじむロボットは結構重宝がられるんじゃないかなと」

永守 「いろんなメディアの方に、『永守さん、あんまりロボット好きじゃないですよね』って言われるんですけど、皆さんが考えていらっしゃる日本のロボット像とはちょっと違うんですよね」

池澤 「あと拡張性をアピールできるのも、結構いろんな層の方が楽しめそうですよね。自分でアプリケーション作っちゃったり、どんなことができるんだろうって、わくわくしながら手に取る方とか。そういう層にも受けそうですし」

永守 「タピアは、ファンがついてもらえればいいと思っています。たとえば、展示会のブースで、コンパニオンとしてしゃべらせてもらったりしていて、タレント的な活動もしていてウケもいいと思ってます」

池澤 「タレント活動! 私の仕事が1つ減るかも(笑)」

 タピアは、その外観のかわいらしさと、拡張性の高さから、さまざまな業種や職種に活用されるのではないでしょうか。自らカスタマイズせずとも、MJIにお願いすれば、できる範囲で目的にあったものに仕上げてくれるのもありがたいところです。「デジタルサイネージ」と紹介されていますが、インタラクティブ性がありカメラやFeliCa機能も備えていてOSはAndroidなので、アイデア次第でいろいろなものに化けそうです。今後発売されるTapia Qも気になるところ。MJIの今後の活動から目が離せません。