スマートワーク関連のニュースを深掘り! 今回は気になる「正社員1,000人に聞く副業意識調査」、IoT税制ともいわれる「コネクテッド・インダストリーズ税制」、TISが導入する「給与・評価の変わらない65歳定年制」の3本です。
文/狐塚淳
【NewsPickUp-1】
副業に関する正社員1,000人意識調査と企業側の意識差
マクロミルは働き方改革の一環として注目を集める「副業」に関する意識調査を行い、2018年10月に結果を発表した。対象は全国1,000名の正社員。調査からは「副業を認めない企業」には魅力がないとする声が8割以上を占める一方、「副業をしたい理由」として、6割以上が、生活費の足しにするためと答えるなど、現在の働き手の「副業」への意識が明らかになった。
【解説】
リサーチ会社のマクロミルが行った「副業」に関する意識調査(対象:正社員1,000名)から、働き方改革のための手法として注目される「副業」の企業における現状と、従業員の副業に対する意識が明らかになった。
「副業が認められている」企業は2割弱だが、企業規模が大きくなると「副業禁止」の割合が高くなる傾向があり(5,000人以上の企業では多少減少)、逆に従業員数50人未満の企業では半数弱が「副業規則がない」など、大企業の副業への拒否反応と中小企業の取り組みの遅れが見られる。
また、副業未経験者に今後の副業希望を聞くと、「副業をしたい」44%、「副業はしたくない」30%、「わからない」26%となり、半数近くが副業を希望していた。副業をしたい理由は「生活費の足し」や「本業の給与が安い」など経済面がメインで、「スキルアップ」「キャリアや人脈の拡大」は少数だった。まだ、副業をワークスタイルの問題ととらえている従業員は少数派のようだが、一方、副業を禁止する企業については「魅力がない」という回答が8割を超え、副業希望者の41%が副業を禁止する企業に「就職・転職したくない」と答えているように、今後、「副業」が働き方の中で重要性を増していくだろうと考えている会社員の割合が高いことがうかがわれた。
一方、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が2018年9月に発表した「多様な働き方の進展と人材マネジメントの在り方に関する調査」(https://www.jil.go.jp/press/documents/20180911.pdf)では、従業員への調査では今後5年先を見据えて副業に積極的な者は37%と、マクロミルの調査をやや下回っているが、4割に近い数字だ。一方、企業調査では副業許可は1割、許可検討も8.4%で7割が副業許可の予定なしだった。許可予定なしの理由としては「過重労働となり、本業に支障をきたすため」が最多で82.7%、「労働時間の管理・把握が困難」も45.3%に上った。
どうやら、企業の働き方改革への取り組みの中で、今のところ「副業」のポジションは確立されていないようだ。まだ、働き方改革に取り組み始めたばかりの企業も少なくないだろうから、この段階では従業員の意識と企業の制度のアンマッチは仕方がないのかも知れない。今後の働き方改革の進展によって、この差が縮まり、多様なワークスタイルが実現されていくことを期待したい。