ペーパーレス化ソリューション導入のススメ - 第2回
ペーパーレス化をスムーズに推進できるソリューションはこれだ!
ただ紙をなくすだけではない、ビジネス手法ががらっと変わる一手
官民ともに「ペーパーレス化の推進」という流れが起きていることを前回お伝えした。2019年度予算の概算要求においてもICT化調査費用が計上されている。当然、この波は民間企業にも波及するだろう。今回は、スマートワーク総研のソリューションファインダーからペーパーレス化を強力支援してくれるソリューションを紹介したい。
文/陣武雅文
紙をなくすことだけが目的ではないペーパーレス化
これまで日本では議案を印刷して配布するという規則があり、国会運営においてペーパーレス化は実現できませんでした。2018年度の国会の印刷関連費は、衆参両院合わせて年間約12億円です。そうした不合理を払しょくする仕組みが前回お話しした「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」。実際、衆議院の臨時国会ではインターネット上で報告書などを掲示、関係者のみが閲覧するといった形でペーパーレスを進めています。
民間にもこの潮流は波及しており、2019年は腰を据えてペーパーレスに取り組む段階といえるでしょう。しかし、ひと言でペーパーレスといっても様々な企業から数多くのソリューションが提供されており、どれを選ぶべきか、どれが自社に合っていてビジネスに恩恵をもたらすのかと迷っている企業が大半です。
そこで今回は、スマートワーク総研のソリューションファインダーから、ペーパーレス化を支援するソリューションをいくつか紹介しましょう。
様々な職種や業種に合わせたテンプレートが用意されているkintone
すでに1万社で採用されているサイボウズ社のkintoneは、仕事をする上で必要な業務システムを個別に開発することなく、クラウド上で簡単に実現するソリューションです。これまでメールや紙の書類で共有していたデータのほか案件管理、日報といった業務上で必要だった仕組みをWebブラウザのみで共有・活用できます。
システムはマウスでのドラッグ&ドロップで簡潔に操作できるほか、タブレット端末での利用にも対応しています。業種や職種に合わせたテンプレートが50種類以上も用意されているので、企業がシステムに合わせるのではなく、各企業の事情に寄り添ったシステムとして作成・利用できます。
多くの企業で使われているExcelのファイルを取り込んでアプリ化したり、用意されている豊富なサンプルアプリをダウンロードして使ったり、繰り返し使いたいアプリをテンプレート化するといった手軽さが売りです。もちろんスマートフォンやタブレットでも活用できるので、場所を問わず、いつでもどこでも社内の情報を共有し、チームでの業務にも役立ちます。
また、ゲストとして社外の人と情報を共有できるポータルが用意されており、広い範囲で情報を取得できます。もちろんゲストが閲覧できるスペースの制限や他社のゲストとの区分けもできるので、社内の情報が漏洩したり、取引先の情報を他社のゲストが見てしまうといった恐れもなく、セキュリティも万全。
さらに、API連携を使って、他のシステムと連携したりJavaScriptやプラグインなどを用いて、高度なカスタマイズができるのもkintoneの特徴。シンプルなシステムから、高度なシステムまで、フレキシブルに対応できます。
手書きのアイデアやメモをデジタル化して活用できるBamboo Folio
打ち合わせや会議などで記したメモを後で活用したり、他者と共有したいという需要は大きいのですが、それには案外手間がかかります。スマートフォンやタブレットなどを使って書き留めるという手段もありますが、思いついたときにさっと書ける手書きの便利さにはかないません。完全ペーパーレス化が難航する理由の1つと言ってもよいでしょう。
そこで試してほしいのがワコムのBamboo Folio。パッドにセットした紙に書いたメモを即座にデジタル化してくれるツールです。
ふとひらめいたアイデア、会議でのメモ、電話の内容などをその場で紙に書き込み、ボタンを押すだけで、スマートフォンやタブレットにデジタル化して保存できます。デジタル化したメモはアプリを使っての編集、ファイルへのエクスポート、DropboxやEvernote、OneNoteなどクラウドサービスへの保存が可能。いつでも利用できます。
一時的に本体の内蔵メモリーへ最大100ページまで保存できる本格派ですので、業務への活用も余裕な記録容量といえます。デジタル化した複数のメモを結合させることはもちろん、後からラインを引く、ハイライトを追加するといった装飾も可能。また、メモはJPEGやPNG、PDF、txt、Wordファイルでの出力が可能です。
建設現場での煩雑な情報をデジタル化して効率化を図るeYACHO for Business
いつも机に向かっているビジネスマンなら業務のデジタル化やペーパーレスについて様々な手段がありますが、外で活躍するような業種はなかなかITの恩恵を受けづらいもの。そうした中で注目されているのがMetaMoJiのeYACHO for Business。建設業界の現場に特化したうえで、業務効率をアップさせるペーパーレス化ソリューションです。
建設業界では、現場での状況や測量・測定した結果を記録するための「野帳(やちょう)」と呼ばれるノートが存在し、紙の図面や黒板と合わせて情報を共有していますが、それらをまとめてデジタル化し、タブレット1つでまかなえるようにしたアプリがeYACHO for Businessです。
しかし、デジタル化することで便利になるとはいえ、操作が難しかったり、直感的に使えないようでは意味がありません。eYACHO for Businessでは、従来の紙の野帳同様、手書きでメモなどを書き込めるほか、カメラで撮影した写真や動画、現場での音声の録音などをまとめて記録できます。
また、遠隔地との連携もできるので、問題が起こった際に社内スタッフと相談しつつ画面に複数人で書き込む、といった形で情報共有できるのも特徴です。
建築現場に特化している分、ユーザーインターフェイスも現場使いを意識したものとなっており、効率的に情報を取り扱えます。
PCレスで書類を電子化し共有できるスキャナーimageFORMULA ScanFront 400
なんといってもペーパーレス化の難敵は過去・現在の紙書類。スキャナーを使って電子化する場合もパソコンからの制御が大前提です。ところがキヤノンのimageFORMULA ScanFront 400は、パソコンを介さずデジタル化にまつわる煩わしい作業を軽減し、より迅速にペーパーレスを実現するドキュメントスキャナーです。
たとえば複数の営業拠点に蓄積された紙の書類をデジタル化して本部でまとめたいとき、各拠点にimageFORMULA ScanFront 400が1台ずつあれば、ネットワークを活用してスキャン後に自動データ転送・共有までこなしてくれます。
また、同じ体裁の書類をスキャンする際、その都度設定する面倒をなくすジョブボタン機能を搭載。定型の書類であればワンタッチでスキャン・OCRが可能なので、業務の効率化が図れます。さらにA4の紙であれば毎分45枚というスピードでスキャンできる基本性能の高さも魅力です。
セキュリティ面ではユーザー認証機能を備えており、社員ごとに使える機能を制限することが可能。もはやスキャナーというよりも、コンピュータにスキャン機能が搭載されているといってもいい充実ぶりで、実際にWebサーバー機能とWebブラウザー機能を持っています。また、SDKを用いて開発されたWebアプリで業務システムの連携を図ることもできます。
貴社の「ペーパーレス化」を促進するソリューションは
「ソリューションファインダー」で見つけられます!
貴社に必要なソリューションを簡単に検索できる「ソリューションファインダー」なら、文書電子化や日報/現場報告などペーパーレス化に適したソリューションを発見できます。
筆者プロフィール:陣武雅文
元デザイナーながら、MS-DOS時代からパソコン書籍編集者を務める。インターネット黎明期からコンピュータネットワークにおけるコミュニティに興味を持ち、制作した書籍もネット関連やグループウェア関連が多い。現在は働き方改革と最新テクノロジーの関わり方に注目している。