「スマ研・ニュース解説」の第7回で深堀するニュースは思い当たる人が多そうな「職場でのストレス原因調査」と「段取り力を要請する研修用ゲーム」「近づく会計年度任用職員制度」をピックアップしました。

文/狐塚淳


【NewsPickUp-1】

職場でのストレス原因の第1位は「仕事量が多すぎる」、次点は「コミュニケーションが足りていない」 

プロジェクト管理ソフトウェアおよびオンラインコラボレーションソリューションを提供するWrike株式会社は、日本国内の会社員の働き方とストレス・生産性との関係を調査し、職場でストレスを感じる人は約6割で、ストレス原因の第1位は「仕事量が多すぎる」などの結果を発表した。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000041519.html

仕事上のストレス原因については、第1位は「仕事量が多すぎる」、次いで「コミュニケーションが足りていない」

【解説】

 仕事とストレスは切っても切れない間柄だが、職場で常にストレスにさらされ続ければ仕事の生産性にも影響があるだろう。Wrikeが職場でのストレスについて調査を行った対象は全国18~64歳の会社員1,034名(男性442名、女性592名)。職場でストレスを感じるかとの問いに62.0%が感じると回答している。また、労働時間が長いほどストレスを感じる割合が高く、経営・役員層のストレスは他より低いことがわかった。

実労働時間が長いほど、仕事上のストレスを感じる傾向にある

 平均的就業日にどれくらい効率的に働いていると感じているかの質問については、実労働時間が週60時間以上の人の4割が「全く効率的でない」と回答し、これも労働時間が長いほど非効率に感じている結果が出た。また、職場でストレスを感じている人の約3割も「全く効率的でない」と回答し、ストレスを感じていない人と16.4%の差が出ている。

 仕事上のストレス原因については、選択肢を1つ選ぶ形では、第1位は「仕事量が多すぎる」(14.5%)、次いで「コミュニケーションが足りていない」(11.4%)、第3位「上司が威圧的で細かいことまで指示を出す」(9.4%)となっている。3つ選択してポイントを集計する形では、1位2位は同じ順番だが、第3位には「業務の責任が不明瞭である」が入っている。

 これらからわかるのは、仕事の多さによって長時間労働が発生することが、仕事のストレス原因として深刻だということだ。また、そうなる原因として、コミュニケーション不足があり、仕事の責任所在などが不明確になることも多い。生産性の向上が叫ばれ、仕事量増大に悲鳴を上げている職場は少なくないようだが、働き方改革の進展が待たれるところだ。

 また、同調査では仕事上のストレスと生産性についても聞いており、全体の33.8%が「多少のストレスには対処できるが、仕事のクオリティが損なわれる」と回答し第1位になっているが、僅差の第2位は「ストレスによって個人的な影響はあるが、仕事への影響はない」(31.3%)が続いている。

マネジメント層は仕事に影響がない層を基準にすることなく、同数以上の会社員が仕事のクオリティに影響が出るという意見を持っていることに注目し、ストレス軽減による生産性の向上を考えていくべきだろう。

なお、Wrikeはこの調査の続編を公表しており、そちらでは従業員規模が大きい会社ほどストレス度が高く、働き方改革に関する制度は充実はしているが、その理解度は低いという結果が出ている。