戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ【第35回】
付せんやフローチャートで発想する(1)
働き方改革は自分で行う「自分働き方改革(ジバラ)」を推奨する連載。今回から2回連続で、発想やアイデアの整理方法を紹介していく。企画書やプレゼンの内容整理にも使える方法なので、色々とアレンジして活用してほしい。今回は、入門編として簡単ですぐに使える部分を取り上げる。
文/戸田 覚
思いつくことを取り出して整理する
新しい製品を作る際には、開発部門が知恵を絞るが、そんな大それた発想はさておき、我々も日々新しいアイデアを求められる。たとえば、新しい売り方、セールス文句、企画書のコンセプトなど、自分で考えなければならないことは少なくない。
そんな時に、多くの方が必死に知恵を絞るのだが、ほとんどが漫然と考えているだけだ。実際には、まったく新しいアイデアはほぼ枯渇している。新しいアイデアの多くが、既存の情報の組み合わせやアレンジなのだ。そこで重要になってくるのが、まず頭の中を整理することだ。
思いつくことを頭の中で考えるだけでなく、取り出して整理するのだ。まずは、わかりやすいように付せんを使って説明しよう。
今回は、例として「お茶」の新製品を考えるとする。まずは、自分が知っているお茶を並べる。サンプルなので4種類にしているが、実際にはもっとたくさん並ぶはずだ。もちろん、この段階でも必要なら検索するなどして情報を探してもいい。ただ、自分が専業にしているなら、検索などしなくても情報は頭に入っているはずだ。
連想できるアイデアを並べる
次にそれぞれのお茶をアレンジした商品を並べていく。例えば「コーヒー」のアレンジ品には「カフェラテ」「カフェオレ」「アイスコーヒー」などがある。紅茶にも「ミルクティー」「レモンティー」などが並ぶはずだ。
実は、最初の段階でこんなアレンジしたお茶が混じっているかもしれないが、自由に情報を並べてから整理してもかまわない。重要なのは、整理する段階で階層を意識することだ。ここまでは、ほぼ頭の中にある情報で作業できるだろう。
重要なのは、頭の中で考えているだけよりも多くの情報が取り出せることだ。整理して書き出しながら考えてみることで、情報の量が圧倒的に増えていく。すべて知っていることばかりかもしれないが、書き出すのと出さないのとでは違いが大きい。
抜けている部分を見直していく
さて、ここからが肝心だ。それぞれのお茶をアレンジした商品があるなら、その組み合わせがもうないのか考える。つまり、階層ごとに見直すと新しい商品が生まれていくのだ。この例で言うなら、黄色が2階層目、オレンジが3階層目になる。それぞれの商品の黄色に対してオレンジの付せんがある。次に、他の商品のオレンジが応用できないのか横に見て考えていけばいい。これで新しいアイデアが生まれる。今回の例で言うなら、「ウーロンミルクティー」というわけだ。
もちろん、これはあくまでも考え方の例で、実際には鉄観音ミルクティーがすでにヒットしはじめている。
さらに、この整理の仕方をさまざまな角度から応用することも可能だ。例えば、同じお茶でも飲む温度や飲み方で整理していく方法もある。砂糖、ミルク、香辛料など添加するものから発想してもいいだろう。自分が仕事にしている製品なら多くの角度から検討できるはずだ。
次回はフローチャートを使って、製品を売るためのキーワードを整理する方法を紹介する。
筆者プロフィール:戸田 覚
1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。