安否確認システムには「信頼感」が重要
災害時に従業員の無事を把握するための安否確認システムは、災害大国の日本ではニーズが高く、多種のサービスが提供されている。基本的な機能としては、災害情報を受信すると従業員にメールなどで安否を問い合わせ、返信をまとめたり、返ってこないものをピックアップしてアラートを出すというものだ。インターネット以前には電話確認くらいしか方法がなかったが、現在の安否確認システムなら、手間をかけずにスピーディーな処理が可能だ。以前は就業時間中なら多くの社員の安否がオフィス内で確認できたが、新型コロナの流行以来、在宅テレワークの増加で従業員の働く場所も多様になり安否確認の手間が増えている。そして、安否確認を担当する部署にとっては、最後の1人まで確認が取れないと仕事は終わらない。よりスピーディーで信頼のおける安否確認方法が必要になっている。このため、安否確認システムの新規導入を検討する企業も多い。
しかし、多数存在する安否確認システムからどんなサービスを選択すればいいのだろう? 緊急通報・安否確認システムのSafetylink24(https://www.safetylink24.jp/)をサービス提供するイーネットソリューションズ(https://www.enetsolutions.co.jp/)に選定のポイントを聞いてみた。
同社執行役員営業統括部部長の浅田清史氏は「安心感・信頼感のある継続して利用できるサービスが必要です」と語る。いつ降りかかってくるかわからない大規模災害時にきちんと作動するサービスであることは重要だ。何年後かの災害時にもサービス提供が続いており、災害の規模や種類に影響されずに、稼働するインフラや体制を持っている必要がある。選定にあたっては、サービスとしての信頼性が第一となるだろう。
「Safetylink24は2005年に大使館向けの危機管理システムとしてスタートし、その後法人向けのSaaSとして提供、発展してきた自社開発のアプリケーションです。13年間の歴史があり、現在では600社、50万人以上にご使用いただいています」(浅田氏)
また、同社では本社のある石川県と東京に自社データセンターを保有し、アプリケーション開発からデータセンター管理、システム運用、そしてサポートまでを自社で一貫して行っている。開発や運用が別会社に委託されていたりデータセンターが海外にあったりすると、障害時などに原因を探すのに時間がかかることがあるが、ワンストップの運用ならばクイックレスポンスが可能だ。この体制を元に、同社はSLA99.5%を保証(稼働実績がこの数字を下回ると返金される)している。ポリシー的に海外クラウドに個人情報のデータを置くことを禁じている場合でも、国内データセンターを基盤とするサービスなら安心して利用できる。
安否確認システムに必要な機能とは?
もちろん、選定にあたっては必要な機能を備えていることが必須だ。まず、確認しなくてはならないのが、どんな災害の情報に対応しているかだろう。安否確認というと、日本では大地震が真っ先に頭に浮かぶだろうが、それ以外にも台風や噴火など様々な災害がある。自社の支店や従業員の所在地などが広範であれば、注意しなければならない災害の種類も増える。多種の防災気象情報に連動しており、その情報を元にスピーディーな安否確認メールを自動で飛ばせることが重要だ。
「Safetylink24では昨年秋より、業界最多7つの気象情報と自動連動しており、メッセージ画面から自動通報のパターンや連携する気象情報の種類、住所判定パターンなどを設定できます」と、同社プロダクトサービス部部長の長谷川康高氏は説明する。同システムで連携しているのは、津波情報・注意報・予報、噴火警報・予報、土砂災害警戒情報、記録的短時間大雨情報、指定河川洪水予報、竜巻注意情報、気象特別警報報知で、ほぼすべての天災を網羅している。
導入の容易さや使い勝手も大きなポイントだ。安否確認システムは総務部や人事部などが担当することが多い。情報システム部の手を借りずに、導入・運用できる簡単さが求められる。
Safetylink24は導入も容易だ。基本は管理画面から従業員マスターなどを使って登録するだけでいい。
「1~2週間のリード期間で利用が可能です。大企業だと、むしろ社内の周知の方に時間がかかるでしょう。無料のトライアルサイトで試用してから契約することも可能です。管理者訓練のサービスも実施していて好評です」と、同社Webインテグレーション部部長の眞鍋大夏氏は説明する。
使用端末も幅広い選択肢を持つ。PCはもちろん、AndroidやiPhoneなどの社給スマホ、個人スマホに加え、ガラケーでも安否確認の通知が可能なため、導入のために新しい端末を購入する必要はない。
「特にスマートフォンはアプリもあるので、確認率が向上するというデータがあります。アプリだと、返信に写真や音、位置情報を添付できるため、安全確認のレベルも上がります。理想はPCとの併用です」と、ユーザー対応にあたっている営業統括部の伊藤晴香氏は説明する。
Safetylink24が提供するその他の機能としては、無制限のグルーピング設定が挙げられる。全体向けと部署内に分けたり、組織別とロケーション別に分けるなどして、企業のニーズに合った運用が可能だ。
また、従業員1人あたり、6人まで家族のアドレスを登録できるので、利用者は家族の安否確認にも使える。掲示板機能を使用した家族間での災害時のやり取りも可能だ。単身赴任や、子供が地方の大学に通っている場合にも安心だ。
そのほか、名刺大の安否カードを印刷できる機能もある。QRコードでURL読み込めるので、持ち歩いていれば、自分のスマホが電池切れだったり、壊れた場合でも、他人のスマホを借りて会社に安否連絡できる。
コストパフォーマンスももちろん大切
安否確認システムは、情報セキュリティ対策と似ている部分がある。どちらも万が一への備えであり、役に立つ機会がなければそれに越したことはない。日本は災害大国で危険性は常に考えなければならないが、投資はできるだけ押さえたいというのが、企業としては偽らざるところだろう。
Safetylink24は一本化されたシンプルな料金設定が特徴だ。他社のシステムではライト版と高機能版があったり、従業員の家族へのメールは追加料金というケースもあるが、Safetylink24は人数規模で料金が変わるだけで、すべてのサービスが含まれている。
「コストパフォーマンスに優れたサービスだと自負しています」と、浅田氏は自信を見せる。
平時にも活用できるサービス
安否確認システムはいつくるかわからない災害に備えての投資であるため、導入をためらう企業もあるかも知れない。しかし、企業と従業員がメッセージのやり取りをするという安否確認システムの機能を、平時に活用することも可能だ。
例えば、社内アンケートに使うなら、質問項目の制限なくアンケートの送信ができる。ISMSの更新などでも、定期配信を全社員に通知し、読んだかどうかチェック可能だ。Safetylink24を使って、1万名にコロナ対策のための検温チェックを促すという使い方をした企業もあるという。
関係者が全員つながっているのに、社内システムではないというところがポイントだ。本業とは切り離してシステムを構築するほどではないが、セキュリティには留意したいという場合に賢く使っていきたい。
安否確認システムはBCPのためだけではない?
大規模災害時、従業員のスピーディーな安否確認はBCPのためにも欠かせない。災害に備えてデータやシステムの保全に取り組んでも、復旧に当たる人がいなければ、ビジネスの継続性を確保できない。スムーズな安否確認こそが、災害時にもビジネスを続けられるカギになる。Safetylink24の問い合わせでも、BCPがらみは半分近いという。
しかし、それ以前に、企業は雇用契約を結んでいる従業員の安否が当然気になる。災害時に従業員が無事であってほしいと願わない経営者はいないだろうし、従業員は安心して勤められる職場を望んでいる。従業員はその安心感を持てるシステムを提供してくれる自分の勤める会社に信頼感を抱けるのだ。
なお、イーネットソリューションズでは、Safetylink24のOEM提供も対応しており、ネットプロバイダーやSaaSベンダーは、自社サービスに組み込んでの提供も可能だ。OEMユーザーにはカスタマイズにも柔軟に対応しており、画面デザインでラベルの色を変えたいなどのニーズにも応えられるという。