会社と出先の垣根をなくすリモートアクセスがスタンダードに

テーマ:5G内蔵PCが仕事を大変革する

今回は、5Gを内蔵したPCの魅力を紹介していこう。実は、5GはPCとの組み合わせが、仕事のあり方を大きく変えると確信している。数年後の予測を含めて考えていこう。

i5G普及後のアフターコロナの姿

VAIO「VAIO Pro Z」
14インチの高速なモバイルノートVAIO Pro Zはヘビーなビジネスユースにぴったりだ。

 今回は、PCに5Gが内蔵されると、仕事の在り方にどのような変化が訪れるのか紹介していこう。言うまでもないが、5Gを使う意義は主に外出先での利用にある。残念ながら記事執筆時点では、コロナ禍の真っ最中で、出先で仕事をするのははばかられる。ということで、記事の内容は主に「アフターコロナ」を踏まえてのことと理解して読み進めていただきたい。

 はっきり言って、5Gの普及度合いはお粗末のひと言だ。CMは盛んに流されているが、僕を含む多くのユーザーは「ほとんどつながらない」と感じているだろう。キャリアにもよるが、2022年の春ごろになって、大きな駅の周囲では、ホドホドにつながるようになるだろう。2022年の年末か、2023年の春ごろには、かなりつながると実感できそうだ。もちろん、これは予想であって、新型コロナウイルスの状況などによっては、後ろ倒しになる可能性もある。

 どちらにしろ、満足に使えるようになるまでには1年はかかると予想している。地方ではさらに数年かかるだろう。

 ところが、その後には素敵な未来が待っているのだ。ちょうどその頃に、新型コロナウイルスも落ち着いているといいのだが……。

スマホよりPCに価値がある

 僕自身、すでに5G対応のスマホを利用している。サービス開始当初には電波状況の良い羽田空港などに出向いて、その速度を実感した。200~1Gbpsくらいのスピードが出るのだ。もちろん、環境や場所にもよるが、4Gより数段高速だ。

 ちょうど僕の事務所のWi-Fiが400~800Mbps程度でつながるので同じような速度だ。

 ところが、このスピードで何をするかと考えても実はあまり変わった使い方はしなかった。スマホはスマホなので、メールやLINE、Teamsなどのやりとりなどが中心だ。動画や写真を撮影した際のアップロード時間が速いのはとても嬉しいが、その位の恩恵しか感じない。つまり、5Gが広く普及してもスマホの使い方はあまり変わらないと思う。同じ使い方が快適になるのだ。

 だが、PCは大きく違ってくる。

 そもそも、PCは会社や自宅のWi-Fiや有線LANで利用している。その環境が外出先に持ち出せるのだ。

 最初に感じる最大のメリットは、Web会議が快適なことだろう。通信が速くなると映像や音声もクオリティがあがる。

 さらに恩恵があるのは、クラウドストレージの同期だ。OneDriveやDropboxなどのクラウドストレージを利用してる方は多いだろう。クラウドストレージを使うことで、データの保全ができてとても安心だ。ローカルストレージと連動しておけば、勝手にファイルが同期されてバックアップが取れる。

 5G環境なら、通信が高速なので同期が遅くてイライラすることがなくなる。OneNoteにあるはずのメモが読めなくて困った経験のある人は少なくないはずだが、そんなこともなくなるのだ。今回は、例として、VAIO Pro Zの5G対応モデルをご紹介するが、出先ではこんな軽快なモバイルノートを使っていても、ストレージの容量不足を心配する必要がないわけだ。

 さらに、5Gが普及するとデータ容量は無制限になるはずだ。逆に言うと、無制限でなければ使う意味がないからだ。

 そうなれば、デバイス側のストレージは128~256GB程度で十分だろう。ファイルはイメージだけをローカルに置いておき、使う際にダウンロードするOneDriveの「オフラインで表示」機能を利用すればいい。

ボディはカーボン製で、剛性が高くて軽量だ。
キートップを皿状に若干くぼませた打ちやすいキーボードを採用。配列も上々だ。

リモートアクセスの時代に

 5Gが普及して数年経つと、テレワークでも通信で困ることがなくなるはずだ。普通の家でも5Gが使えれば、会社支給の対応PCを普通に使うだけで良い。家のWi-Fiが遅くて仕事にならない――という苦労は解決する。

 今の4G(LTE)と同じように5Gが使えると、いよいよリモートアクセスが普及するだろう。つまり、手元のPCにはデータどころか、アプリもインストールせず、会社のPCにアクセスするようになるのだ。

 こうなると、モバイルノートの処理能力はあまり関係なくなる。会社に置いてあるPCが高速なら、巨大なデータベースにアクセスしてデータを分析したり、8K動画の編集・書き出しも快適にできるはずだ。

 5Gが普及すれば、場所を問わずにオフィスと同様の仕事環境が手に入るようになる。

 さらに進むとクラウドOSの時代がやってくる。すでにリリースされているWindows 365がその先駆けだ。

 手元のPCではなく、サーバーにあるWindowsを利用するのだ。もちろん、そこにはアプリをインストールでき、ファイルも全部サーバーにあり、5Gでアクセスして利用するスタイルだ。

 こうなると、手元のPCの処理速度は並以下でも問題ないし、ストレージの容量不足も心配ない。

 それよりも大きなメリットはセキュリティ対策が万全にできることだ。自分でセキュリティ関係のパッチを当てる必要がなくなり、全部サーバー上で自動処理される。万一ウイルスに感染しても、仮想マシンを隔離してしまえば問題ない。

 5Gの普及によって、会社と出先の垣根がなくなる。さらに、PCの運用が圧倒的に楽になるわけだ。

 PCの利用年数は5年以上が当たり前になっている。そう考えると、企業ではそろそろ5G対応モデルの導入を検討するべきだろう。クラウドOSまでは来ないとしても、クラウドストレージやWeb会議の快適さは大きく違うはずだ。

長時間出先で使うので、バッテリー駆動時間の長さやUSB PowerDeliveryでの充電に対応しているのが嬉しい。

Profile
Toda Satoru
1963年生まれのビジネス書作家。株式会社アバンギャルド/戸田覚事務所代表取締役。著書累計100冊以上。企画やプレゼンに関する著書も多数。連載もついに40本を超えてさらに活躍中。