DX推進に取り組む日本企業は年々増えているものの、大企業で約4割、中小企業ではわずか1割程度に留まっています。企業規模によって予算の付き方が違う上に、最近の原材料の高騰や人件費の上昇により、中小企業にとってはより厳しい状況なのかもしれません。とはいえ、DXを推進して業務プロセスを改善しないことには、厳しい状況を脱するのは難しくなるでしょう。

アナログな業務というと、稟議や届け出、報告書などといった申請を、紙を使って社内で回覧するワークフローがあります。Microsoft 365やGoogle Workspaceといったグループウェアにはワークフロー機能が備わっていますが、実は日本の商習慣に照らし合わせると、使いづらかったりします。

そんなワークフローを日本の商習慣に合ったものにするクラウドサービスがサイオステクノロジーの「Gluegent Flow (グルージェントフロー)」です。今回は、サイオステクノロジーに伺いGluegent Flowのよさについて話を聞きました。

聞き手はエンジニアでありタレントの池澤あやかさん。なお記事中の発言は個人の見解で所属企業を代表するものではありません

いままで使っていた帳票そのままにクラウド化

サイオステクノロジー Gluegentサービスライン エグゼクティブマネージャーの三井直人さん

三井直人さん(以下、三井) 「まずは、サイオステクノロジーという会社について簡単に紹介いたします。サイオステクノロジーは、元々1997年にテンアートニという会社名で設立した会社で、オープンソフトウェアやJavaなどをコアテクノロジーとして、当時としては結構とんがったことをやっていました。2004年にマザーズに上場後、2006年にサイオステクノロジーに社名を変更し、2017年には事業会社として分割してから、グループ会社を吸収合併し、いまに至っています」

池澤あやか(以下、池澤) 「26年ほど前からある会社なんですね」

有馬大介さん(以下、有馬) 「今回紹介したい『Gluegent Flow』は、当時グループ会社の1つであるグルージェントが開発したサービスで、2014年からスタートしています。もともと『Gluegent』シリーズは、SSOが中心のサービスでしたが、2021年からは、以前から考えていたワークフローサービス『Gluegent Flow』に注力しています」

サイオステクノロジー 上席執行役員の有馬大介さん

池澤 「SSO中心からワークフローにシフトチェンジしたんですか」

三井 「そうですね、これまで培ってきた技術があったので、こうした単体のクラウド型ワークフローサービスを完成させることができたと思っています。そのGluegent Flowというサービスですが、企業運営・業務において、どうしても申請という業務が発生します。こうした申請業務は日本独特の商習慣であるため、お客様の方でMicrosoft 365やGoogle Workspaceといったビジネスツールやグループウェアを使っていても、こういった申請業務や承認、決裁というワークフロー機能は備わっていません」

池澤 「申請業務って日本独特な文化なんですね」

三井 「もちろんMicrosoft 365やGoogle Workspaceも一応ワークフロー自体はあるのですが、いずれも外資ということもあり日本の企業が業務で運用するにはなかなか難しいところがあります。そこで、いまあるグループウェアはそのままに、日本の商習慣であるワークフローの部分を補完するためのサービスを開発しました」

池澤 「なるほど、申請業務を欧米のようなワークフローに合わせるより、現状の業務に対応するワークフローに移行するほうが楽ですよね」

三井 「そうなんです。さらにMicrosoft 365やGoogle Workspaceなどのアカウントやドキュメントとの連携が可能になっているため、業務をより円滑にできるというのも特徴になっています。もちろん、グループウェアを導入しておらず、紙ベースでやってきた企業にも、さまざまな申請業務を電子化したいというお客様のニーズに対応しており、クラウド型で単体のワークフローシステムとして使っていただけるエディションも用意しております。

Gluegent Flow では、1つのワークフローのことを『モデル』と呼んでいますが、そのモデルで回覧する帳票を作成し、経路などを指定します。非常にシンプルな画面になっていますが、ワークフローというのは本来の業務を行っている間に入ってくる作業なので、ごちゃごちゃした画面にならない配慮をしています。どういった申請内容なのかがすぐわかるよう、1つの画面で運用できる形になっています」

池澤 「よく目にする帳票と同じような画面なので、わかりやすいし違和感なく利用できそうですね」

三井 「この帳票は、お客様の方で作っていただくこともできますが、よくある申請帳票のテンプレートを61個ほど用意しているので、デザインにこだわらないのであれば、すぐに運用できるメリットもあります」

池澤 「かなりの量のテンプレートなので、ほとんどカバーできそうですね」

三井 「お客様にもよりますが、例えば、営業日報や業務日報、交通費の精算なども、特にこだわりがなければ、ちょっとお高いシステムを入れずに申請業務として、使っていただけるのではと思っています」

池澤 「テンプレートを使わずにお客様独自で作られるときは、どのように作成するのでしょう」

三井 「テンプレートをベースにして、カスタマイズしていくこともできます。例えば、インフルエンザ予防接種の申請用テンプレートがあるのですが、これを使ってコロナワクチン予防接種に変えるみたいなことは、簡単にできます。また、いままで使われている申請帳票のイメージをそのままに、ノーコードで新規に作ることもできます」

モデルは入力フォームを選択して設定するだけで簡単に作れます

池澤 「システムエンジニアでなくても作成できるということですね」

三井 「ウェブブラウザー上の操作だけで、基本的に JavaScriptを書くこともなく3ステップで自動的に生成されます。この手の申請帳票は、WordやExcelなどで作られていると思いますが、それをツールで取り込むだけで作成できる仕組みになっています」

池澤 「紙の帳票をスキャンするとかではなく、作成したファイルを読み込むということですね。でもそれで、従来と同じ帳票ができるなら楽ですし、違和感なく回覧できますね」

ストレージ容量が無制限という安心感と利便性

三井 「ここからは、Gluegent Flowの特徴を少し掘り下げていきます。まず1つ目として、紙ベースだったものをデジタル化して業務を行うということで、ワークフローで複数の添付ファイルを付けられます。添付されたファイルはすべてクラウドサーバーへ保存されますが、容量無制限でご利用いただけるので、容量が一杯になって追加で費用がかかるということはありません」

池澤 「え、それはすごいですね。大丈夫なんですか(笑)」

三井 「大丈夫です(笑)。やはり申請業務は資産として残したいと思いますので、ライセンス費用の中で提供しています。情報の機密性・完全性・可用性の3つをバランスよくマネジメントし、情報を有効活用するための組織の枠組みを示す ISO27001 認証を取得しており、お客様の大事なデータを安心してお預けいただけるサービスとなっています」

池澤 「クラウドへデータを預けるとなると、企業としては機密性や安全性が気になりますよね」

三井 「Gluegent Flowは、ウェブブラウザーだけでなく、スマホのアプリも用意しているので、いつでもどこでも手軽に利用できるようになっています。スマホのアプリはiOS用とAndroid用があり、それぞれ最適化されているので操作性がよく、通知をオンにしておけば、スマホへ通知が来てすぐ確認できます」

有馬 「工事現場や製造業などでは、日報に撮った写真を添付して報告するケースが多いので、スマホアプリなら撮影してそのままGluegent Flowで報告という一連の流れで報告できます」

池澤 「パソコンでしか申請できないとなると、1回会社に帰って、写真を転送してと手間暇がかかりますよね」

三井 「たとえ動画ファイルであっても、ストレージ容量無制限なので、たくさん添付したり、何年も保管しても問題ないという点もお客様に喜ばれています。ある企業が、クルマを運転する前にアルコールチェックをしていて、その結果を写真で撮影しGluegent Flowで毎日保存していて、そうなるとチリツモでどんどんストレージ容量が逼迫してしまいます。Gluegent Flowではそのようなことはないので安心して利用できます」

池澤 「容量無制限は神ですね」

三井 「2つ目は、やはりクラウド型のワークフローはいつでもどこでも確認できるというメリットがあるのですが、逆にいつでもどこでもどんどん皆さんが申請できるため、共有しにくいのではと不安になるお客様が結構いらっしゃいます。その点では、申請の見逃しを防止するための機能を設けており、例えばウェブブラウザーの通知機能で、拡張プラグインを組み込むと、通知をクリックするだけでご自身のワークフローのステータスが確認できるようになっています」

池澤 「申請帳票が回ってくる数が多い人ほど、忙しくて見落としそうですよね」

三井 「Gluegent Flowにログインせずとも、ウェブブラウザーさえ立ち上げていれば、いつでも確認できる仕様になっていたり、あとはSlackのようなチャットや、最近LINE WORKSを導入する企業も増えてきており、申請があった時にLINE WORKSへ通知を飛ばすこともできます。もちろん、Microsoft 365を利用しているお客様の場合はPower Automateを経由してTeamsへ通知を飛ばせます」

有馬 「SNSツールは、お客様の方で多様化されており、これにしか通知できないとなると、見逃してしまうという話があり、さまざまなツールへ通知できるようにしています」

池澤 「よく使うツールに通知を飛ばせれば、それだけ見落としが少なくなります」

三井 「3つ目は、さまざまな経路でワークフローが設計できることを重視されるお客様が多く、組織ツリー型のような形で表示できるようになっています。アカウント情報も合わせて表示する仕様なので、視覚的に経路を決めやすくなっています。組織ごとに組織図を表示して選択できるので、会社全体を見ずとも経路設定ができるようになっています」

池澤 「組織図から選べるのは非常にわかりやすいですね。名前から選択だと大変そう」

三井 「もちろん、帳票ごとにルートを事前に決めて運用したり、条件分岐も可能で、例えば5万円以上は部長決裁、5万円未満は課長決裁ということもできます」

池澤 「結構、複雑なことができるんですね」

三井 「経路が自動的に変わるので、一度設定してしまえばミスすることもなくきちんと回覧されるため非常に便利だと思います。また、利活用促進ということで、専門のカスタマーサクセス部門を設けており、初期設定から運用支援、ヘルプデスク、オンラインによるレクチャーなど、長く有効活用いただくためのサポートをしております」

池澤 「いくら簡単だといえども、新たに導入したサービスを使い始めるのは、やはりハードルが高いと思うので、その点では別途料金も取られずありがたいですね」

三井 「この手のサービスは意外とほかでは行っていないことが多く、お客様からご評価いただいているポイントとなっています。正直Q&Aによるサポートだけでは、かなり不安だと思います」

Microsoft 365やGoogle Workspaceとアカウント連携可能

三井 「あとは、先ほど少しお話したグループウェアとの連携ですね。グループウェアをお使いのお客様に対し、さらに利活用を図っていただきたく、例えば我々のワークフローで起票いただいた内容を、分析用にExcelファイルやスプレッドシートへ出力したいといった場合、承認や決裁などのボタンを押すと自動的に出力する自動処理機能があります。経費精算であれば、よく使う部署とか、よく使う経費などの傾向を把握したり、受注計上であれば、よく売れている製品やよく売れる月などを把握するということが簡単にできます」

池澤 「ボタンがトリガーになって自動処理されるというのは、わかりやすいですね」

三井 「自動処理には、ボタンをトリガーにしてOutlookと連携してメールを飛ばすことも可能です。先ほどの見逃し防止とは若干違うのですが、例えば通達したい内容を回覧したとき、最終決裁の方がその内容でOKであれば、承認ボタンを押したのと同時に、その内容も一緒にみんなへメールで通達するといった使い方もできます。稟議が通ったら、即申請者へ通達するということもできるので、業務が円滑化されて作業コストの削減にもつながります」

池澤 「ちょっとしたことでも自動的に行われれば、時短にもつながりますし、ミスもなくなりますね」

三井 「最後の特徴としてはMicrosoft 365やGoogle Workspaceとアカウント連携できることで、グループウェア側で設定している組織階層情報をそのままGluegent Flowに取り込んで活用できます。グループウェア側のみメンテナンスするだけで済むのでムダも省かれます。Gluegent Flow側では、その情報を元にツリー型の組織図で見られます」

グループウェアのアカウント情報を取得できるので、Gluegent Flowのために新規に登録する必要はありません

有馬 「申請されていて回覧が終わっていないものは、一度自分のところに戻して、新しい上司へ承認してもらうように再申請するか、人事はわかっていますので、期限を切って決裁処理してもらう感じです。新たにモデルを作成したら、新しい上司へ回覧されますし、以前の申請書は前の上司へ回覧されます」

池澤 「以前の申請で新しい上司へ申請してとなったら」

有馬 「そのときは一度引き戻して、再申請すれば勝手に経路を変えてくれるので、ユーザー側は特に設定の必要はありません」

三井 「情報は1日1回更新・同期を取るようになっていて、常に最新の状態になるようになっています」

池澤 「それは賢いですね」

1ユーザーあたり年額3600円(税別)という低価格

三井 「さまざまな企業様や自治体様で導入されていますが、特に自治体は紙で保管する文化があるのですが、そうなると当然保管場所のお金もかかりますし、処分する際もお金がかかります。クラウド上に保管するだけで検索してすぐ欲しい文書が出てきますし、保管場所も必要なくなるので管理しやすくなります」

池澤 「帳票などの検索機能も用意されているのですか」

三井 「管理者が設定することで利用できます。個人で申請したものはマイページで確認できますし、全体についてはタスクデータ一覧として確認できます」

池澤 「過去に遡って、確認できるわけですよね」

有馬 「帳票などのデータだけでなく、過去の申請者や決裁者も確認できます。他社のサービスだと、お客様で組織改編したら何年も前の帳票データなのに、今の部長が決裁したことになっていたというケースがあったそうで、会社としてのガバナンスが適切に運用されたのか信用ができないそうです。Gluegent Flowでは、過去のものを全部その時のデータとして取っていますので、そういったことは起きません」

池澤 「それは酷いですね。Gluegent Flowなら、そのあたりもしっかりしていると。料金体系はどうなっているのでしょう」

三井 「年間契約のサブスク扱いなのですが、Microsoft 365連携とGoogle Workspace連携エディションなら、1ユーザーあたり年額3600円。連携なしエディションの『Gluegent Flow Plus』の場合は、1ユーザーあたり年額4800円(いずれも税別)となっています。ほかに追加料金は発生しないので、かなり低コストで利用できるかと思います」

有馬 「もともとはSSOやアクセス制限といったセキュリティ認証に重点を置いていたGluegent シリーズですが、その部分はグループウェアの方にお任せし、それに足りないワークフロー機能を提供しようと方向転換しました。そこから売上が一気に伸びて昨年は142%増となっています」

池澤 「今回お話を伺って、思った以上に歴史が長く、さまざまなプロダクトを提供しつつも、今大成長しているプロダクトもあるというのはスゴイと感じました。Gluegent Flow自体も、さまざまな企業で導入できる汎用性を兼ね備えつつ、日本の商習慣に合わせたたくさんのテンプレートも用意されており、日本企業にとってはこういうものが欲しかったと思われるのではないでしょうか。DXが遅れている企業だと、LINE WORKSが導入しやすいと言われていますから、より連携するとさらにターゲットが広がりそうです」

有馬 「LINE WORKSはスタンプで送れるというのが便利で、Gluegent Flowと一緒にご利用いただいている企業もあります。また、GMOサインやクラウドサインといった電子契約との連携もしていますので、契約書系もすべてクラウドで完結できるようにできます」

紙やメールでの稟議・申請の業務をデジタル化、効率化し、業務プロセスを最適化するクラウド型ワークフロー。これまでの帳票そっくりのレイアウトでワークフロー業務が行え、組織図をみながら経路を指定できます。Microsoft 365やGoogle Workspaceと連携することで、アカウント活用だけでなくデータの活用なども行えます。サポート体制も充実しており、導入後に利活用するための支援をします。

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