BCP対策に最適な構成を実現

 Arcserve Japanではデータ保護のためのバックアップ手法として、ディスク上にあるデータを別のディスク装置にバックアップし、さらにクラウドへもバックアップする「Disk to Disk to Cloud」(以下、D2D2C)を提唱している。D2D2Cではオンプレミスとクラウドそれぞれにバックアップデータを保管するので、通常時はオンプレミスのバックアップデータで素早くリストアし、オンプレミスのバックアップデータが使用できない災害発生時はクラウドのバックアップデータでリストアが行えるのだ。

 D2D2Cの最たる例として挙げられるのが、Arcserve Japanが提供する「Arcserve UDP Appliance 9000 v2シリーズ」(以下、UDP Appliance 9000 v2シリーズ)と「Arcserve UDP Cloud Hybrid」(以下、UDP Cloud Hybrid)を活用したシステム基盤のバックアップ構成だ。UDP Appliance 9000 v2シリーズとUDP Cloud Hybridはそれぞれどのような特長を持ち、どのようにD2D2Cの実現に貢献するのか。各ソリューションの詳細を見ていこう。

多数のサーバーを統合管理

 まずは将来的な統合バックアップ運用が可能で、BCP対策も担えるUDP Appliance 9000 v2シリーズを紹介しよう。UDP Appliance 9000 v2シリーズは、Arcserve Japanのイメージバックアップソフト「Arcserve Unified Data Protection」(Arcserve UDP)をインストール済みのバックアップサーバーアプライアンスだ。

 バックアップやリカバリーに必要な管理コンポーネントは全てインストール済みのため、ウィザードに従って基本的な設定をするだけですぐに使い始められる。その上重複排除機能用のSSDを標準搭載しているので、メモリーやSSDのサイジングの必要がない。ストレージ容量は8〜80TBまで用意されており、自社の環境に合わせて最適なものを選定可能だ。さらにUDP Appliance 9000 v2シリーズ専用の「Arcserve UDP Advanced Edition」のライセンスが搭載されており、このストレージに収まる範囲内であれば、対象サーバーやクライアントの台数に関係なくバックアップができる。加えて、アプリケーションのオンラインバックアップやテープへの2次コピーも可能だ。

 UDP Appliance 9000 v2シリーズが企業の適切なバックアップソリューションとして役立つ特長はほかにもある。まず一つ目は、簡単にバックアップやリカバリーが行える点だ。UDP Appliance 9000 v2シリーズはソフトウェア版のArcserve UDPと同じプログラムがインストールされているため、ソフトウェア版のArcserve UDPと全く同じ操作性となっている。Arcserve UDPの特長である初心者でも分かりやすいUIで、手軽かつシンプルなバックアップを行えるのだ。

 二つ目は、遠隔バックアップに対応する点だ。UDP Appliance 9000 v2シリーズは、災害に備えたバックアップデータの遠隔転送を少ない回線負荷で実施できる。プライマリーストレージと同等の高価なストレージが複数台必要だった遠隔バックアップも、UDP Appliance 9000 v2シリーズを用いればシンプルかつ安価に実現可能だ。

 三つ目は、大容量環境を短時間でバックアップできる点だ。初回にフルバックアップをした後は増分バックアップのみを繰り返すため、効率的かつ短時間でバックアップが行える。バックアップの世代数が設定された保持数を超えた際は、最も古い増分とフルバックアップを合成させてフルバックアップの世代を更新する。ちなみに保持数は初期設定では7個であり、最大1,440個まで設定可能だ。

 四つ目は、多数のサーバーを統合管理できる点だ。WindowsやLinux、VMware、Hyper-V、Nutanix AHVなど、混在するシステム環境を共通の画面で管理可能だ。システム別に異なるバックアップサーバーを用意する必要がないので、手軽な管理を実現する。今までサーバーごとにバラバラに行っていたバックアップを一元化でき、担当者の作業負荷の軽減と作業時間の短縮が可能になるのだ。

 企業が仮想化基盤を運用するに当たり、ランニングコストが上昇してしまうケースが増加している。物理サーバーから仮想サーバーに移行する場合でも、UDP Appliance 9000 v2シリーズは物理も仮想もバックアップ設定がほぼ同じであるため、簡単に仮想サーバー用のバックアップを設定できる。その上、移行元サーバーと移行先サーバーが同時に稼働する移行期間中であっても、追加のライセンス料は発生しない。

 最適なITリソースの割り当てができなかったり、IT人材の確保が行えなかったりする企業が増えている中で、UDP Appliance 9000 v2シリーズは担当者の負担を軽減し、バックアップを最適化するソリューションとして活躍する。

※DRaaSを希望する場合は、新規契約時に一つ以上のコンピュートリソースサブスクリプションの購入が必要。

遠隔地へのバックアップが可能

 次は、クラウドを活用した災害対策サービスのUDP Cloud Hybridを紹介しよう。本社所在地での災害の発生を想定すると、遠隔地へのデータ転送はBCP対策として必ず検討しなければならない課題だ。しかし自社拠点が存在する遠隔地にIT人材がいなかったり、そもそも遠隔地に自社拠点を持っていなかったりする企業は、データ転送を実施できない。そこで災害対策の縮退運用として最適なのが、UDP Cloud Hybridだ。

 UDP Cloud Hybridでは、Arcserve UDPが持つ復旧ポイントサーバー(Recovery Point Server:RPS)間のレプリケート(複製)機能を活用し、Arcserveが運用する遠隔地のクラウドにあらかじめ構築されたRPSへ、バックアップデータを転送できる。顧客自身での災害対策サイト構築の手間や時間を省ける上、オンプレミスでの利便性の高いバックアップと災害に備えた遠隔バックアップのハイブリッドな運用を実現可能なサービスだ※1。

 UDP Cloud Hybridの構成は2種類から選択可能だ。まず一つ目の構成が、UDP Cloud HybridにRPS内のバックアップデータを複製する「BaaS(Backup as a Service:バックアップ サービス)」だ。BaaSの構成では、災害などにより顧客サイトのバックアップデータが失われた場合、UDP Cloud Hybridからバックアップデータを逆向きにレプリケートしてシステムを復旧する。

 二つ目の構成は、バックアップデータの複製に加えて本番システムの代替仮想マシンを起動できる「DRaaS(Disaster Recovery as a Service:惨事復旧サービス)」だ。DRaaSの構成では、顧客サイトでサーバーに障害が起きた場合、クラウド上の代替仮想マシンにVPN経由でアクセスして業務を継続可能だ。なお、DRaaS構成にする場合は、UDP Cloud Hybrid契約時に最低一つの代替仮想マシン用コンピュートリソースのサブスクリプションを購入※2する必要がある。

 また通常、バックアップ先でトラブルが起きた場合、オンプレミスとクラウドそれぞれのサポート窓口に連絡しなければならない。しかしオンプレミスとクラウドでサポート窓口が分かれると、各窓口によって対応が異なるなどの思わぬ弊害が起こる可能性がある。しかしUDP Cloud Hybridであれば、オンプレミス/クラウドの一次切り分けが不要なので、サポート窓口が一つで完結するのだ。複数箇所へ連絡する必要がなくなる上、窓口が異なることによる対応の混乱が発生せず、迅速な問題解決につながる。

 UDP Appliance 9000 v2シリーズとArcserve UDP Cloud Hybridを活用してD2D2Cのバックアップ体制を取ることで、通常時の迅速なリストアと災害時の業務継続を両立できる。BCP対策に欠かせない要素を持つこれらの製品を提案し、顧客の災害対策を支援しよう。


※1 UDP Cloud Hybridの契約・利用に当たっては、有効なArcserve UDPの契約とRPSが必須となる。
※2 既存のBaaS環境にコンピュートリソースのサブスクリプションを追加することはできない。DRaaS環境へ変更する場合は、新しく環境を作り直す必要がある。