停電発生時のデータ損傷を防止

 TS-h1277AXU-RPはPBクラスの大容量を備えるNASキットだ。CPUに「AMD Ryzen 5 7000」シリーズを採用し、最大192GBまで搭載可能なDDR5対応メモリーを搭載することで高度な処理性能を備えている。

 手動または指定した時刻でファイル構成・復元ポイントを作成するブロックベースのスナップショットに対応している。スナップショットの取得は数秒で完了し、変更部分のみをリモートのNASにレプリケーション可能なため、バックアップにかかる時間とデータ転送に必要な帯域幅の縮小を実現する。

 HDDの故障に備え、複数のドライブにデータを分散して書き込みを行うRAID 5、複数のドライブへの分散書き込みに加え二重でパリティデータに書き込みを行うRAID 6に対応している。加えて、複数のドライブを1台の仮想的なハードディスクとして認識させるRAID 0とRAID 5の特長を組み合わせたRAID 50と、RAID 0とRAID 6の特長を組み合わせたRAID 60にも対応し、アクセス速度と耐障害性を強化している。

 停電時の対策も万全だ。UPSとの自動連動をサポートする機能を備える。停電が発生した際、UPSからのシャットダウン信号を受けて自動的にTS-h1277AXU-RPの電源を安全にシャットダウンさせられる。さらにM.2 SSDを追加してZIL停電保護を有効にすれば、停電から電源が復旧した後に、未完了のデータ書き込みを完了できる。作業途中のデータの損傷を防止するのだ。

バックアップの時間を短縮

 TS-h1277AXU-RPは、QNAPが提供するNASデータのバックアップ/レプリケーションを行う無償アプリケーション「Hybrid Backup Sync3」(以下、HBS3)に対応している。HBS3は、リモートのNAS・PC・スマートデバイス・外付けHDDや拡張エンクロージャーなどのUSBドライブ・サーバー・クラウドを対象にバックアップ/レプリケーションを行う。特にクラウドは、OneDriveやGoogle Cloudといった主要30社のクラウドサービスに対応している。さまざまな場所にバックアップを行えるため、データを三つ作成して、二つの異なるメディアで保存し、一つは遠隔地といった別の場所で保管する「3-2-1ルール」を容易に実現できるのだ。

 バックアップ時間を短縮するための工夫もなされている。HBS3はバックアップデータをソース側で重複排除・暗号化を行う「QuDedup」テクノロジーを採用している。データ転送に必要な帯域とバックアップ時間、バックアップ先の使用領域の削減を実現する。加えて、Googleの輻輳制御アルゴリズム「TCP BBR」に対応したことで、エクストラネットのデータ転送速度を大幅に向上しているのだ。

 停電時のデータ損傷を防止し、さまざまな場所へのデータのバックアップを容易に行えるTS-h1277AXU-RPを導入することで、企業のBCP対策を一歩進めよう。