マイクロソフトが提供している「Microsoft Surface」シリーズには、キックスタンドを備え、自立可能なタブレットとして利用できることに加え、キーボードとの組み合わせによって、ノートPCとしても扱える2in1PCをラインアップしている。そんなMicrosoft Surfaceシリーズの新製品として、13インチ2in1PC「Surface Pro(第11世代)」が2024年6月に発売された。Surface Pro(第11世代)は、AI処理に適した新しいPCカテゴリー「Copilot+ PC」として提供されている。前世代と比べてパワーアップしたSurface Pro(第11世代)のAI処理性能を見ていこう。

1日使えるバッテリー駆動時間を実現

「Surface Pro(第11世代)」は、高度なAI処理性能とマイクロソフトが提供するPC「Microsoft Surface」シリーズが誇る優れた携帯性を両立した13インチ2in1PCだ。

 まずは高度なAI処理性能から見ていこう。Surface Pro(第11世代)のプロセッサーには、クアルコムのSoC「Snapdragon X Elite」または「Snapdragon X Plus」を採用している。これらSoCの採用によって、従来機種「Surface Pro(第9世代)」と比べて最大90%CPUの処理能力を向上させており、AI処理の高速化を実現している。さらにSnapdragon X EliteおよびSnapdragon X Plusは45TOPSのNPUを内蔵しており、40TOPS以上の性能を持つNPUの搭載というマイクロソフトが提唱するCopilot+ PCの最小システム要件をクリアしている。

 続いて優れた携帯性を見ていこう。Surface Pro(第11世代)の本体サイズは幅209×奥行き287×高さ9.3mmとコンパクトなことに加え、重さは895gと軽量の設計のため持ち運びやすい。

 出張など長時間の外出でPCを持ち運ぶ際に不安になるのが、バッテリーの残量だ。Surface Pro(第11世代)のバッテリー駆動時間は、Wi-Fiのみ対応モデルであれば最大10時間(Webのアクティブ使用時)、Wi-Fiおよび5G対応モデルであれば最大9時間(Webのアクティブ使用時)と、外で1日業務を行うには申し分ないバッテリー性能を備えている。さらに、充電用端子「Surface Connect」またはUSB Type-Cを介した定格出力65W以上の電源アダプターを使用した急速充電をサポートしており、急な外出の用事が生じた場合でも安心だ。

Surface Pro(第11世代)
キックスタンドを備えており、タブレットスタイルでも自立が可能だ。

設定作業なしで高度なセキュリティ

 Surface Pro(第11世代)は、ビジネスの三つの質を向上させる。

 一つ目が、Web会議の質だ。Surface Pro(第11世代)の本体正面には、1,440pの高い解像度と114度の広い視野角を備える「Surface Studio カメラ」を搭載している。鮮明な映像をWeb会議の相手に届けられるのだ。さらに本体背面には10MPのリアカメラを備えている。リアカメラを活用すれば、会議でホワイトボードの記載内容を見やすくWeb会議の相手に届けられ、Web会議の相手が感じがちな疎外感を解消できる。またモニターの解像度は2,880×1,920と高く、相手の表情の変化まで分かりやすい。

 AI機能を活用すれば、さらにWeb会議の質を向上できる。「Windows Studioエフェクト」では背景ぼかしや周囲のノイズ抑制、視線の補正などを行え、「ライブ キャプション」ではマイクやスピーカーから流れる44カ国語の音声を英語にリアルタイム翻訳し、字幕として表示できる。ライブ キャプションはオフライン環境でも利用が可能だ。

 二つ目が、セキュリティの質だ。Surface Pro(第11世代)は、マイクロソフトが提唱するセキュリティ要件「Secured-Core PC」の要件を満たしている。Secured-Core PCは、セキュリティチップ「TPM 2.0」の搭載によるハードウェアレベルの保護、ファームウェアの保護、仮想化技術を利用したVBSによる保護を組み合わせることで、多層防御を実現する。さらにSecured-Core PCの要件を満たしたPCは、キッティングなど設定作業を行わなくてもセキュリティ機能が実行されているため、箱から出してすぐに安全に使えるのだ。

 またCPUには、セキュリティプロセッサー「Microsoft Pluton」が組み込まれており、資格情報やID、個人データ、暗号化キーを保護できる。Microsoft Plutonは、Windows Updateを介してファームウェアがアップデートされるため、常に最新の脅威に対応することが可能だ。

 さらに内蔵NFCリーダーとWindows Helloの顔認証に対応したカメラを搭載しているため、ログインに当たってパスワードを入力する必要がない。パスワードの流出による不正ログインを防げるのだ。

 セキュリティの質を向上させるこれらの特長によって、機密情報を扱う社員でも、情報漏えいの心配もなくSurface Pro(第11世代)を利用できる。

Surface ProフレックスキーボードはCopilotキーをはじめとした専用キーを備え、Surfaceスリムペンを置くだけで充電できる。
Surfaceスリムペンを用いれば、コクリエイターを利用しやすい。

頭の中のアイデアを形にできる

 三つ目が、業務の質だ。Surface Pro(第11世代)のモニターのアスペクト比は3:2と、一般的なモニターのアスペクト比である16:9に比べ、縦方向の情報をより多く表示できる。Webページの閲覧や文書作成の作業が行いやすいことに加え、複数のウィンドウを並べて作業することも容易だ。

 さらに、PC上で行われたドキュメントやWebサイトの閲覧、アプリの操作といった過去のアクティビティをスナップショットとして保存し、検索可能にする「リコール」機能によって、これまで行っていた操作や閲覧したコンテンツに素早くアクセスでき、スムーズな作業再開を実現する。

 また別売りの「Surfaceスリムペン」と「Surface Proフレックスキーボード」を活用すれば、さらに業務の質を向上させられる。Surfaceスリムペンは4,096段階の筆圧検知に対応し、ペン先の動きに応じて微細な振動を発生させる触覚モーターを内蔵しているため、紙のような書き心地を実現している。WordやOneNoteなどへの手書きも快適に利用可能だ。加えてSurfaceスリムペンを活用すれば、ペイントに搭載されるAI機能「コクリエイター」を利用しやすくなる。コクリエイターとは、手書きのラフスケッチとテキストのプロンプトを基に画像を生成する機能であり、業務の生産性向上に加え、発表資料などのデザインの質を容易に向上させられる。Surfaceスリムペンは最長15時間のバッテリー駆動時間を備えており、バッテリーが切れた場合はSurface Proフレックスキーボードの収納部に置くだけで充電が可能だ。

 Surface Proフレックスキーボードは、従来のモデルよりも14.3%大きな高精度触覚タッチパッドを搭載し、快適な操作を実現している。またバッテリー駆動時間は約41時間と長時間稼働できるため、外出先でもバッテリー切れを気にする必要はない。充電が必要な際はデバイスに装着するだけで充電が開始されるので、充電忘れを防げる。キーには、容易にスクリーンショットや切り取りが可能な「切り取りキー」や画面の明るさを調整するキーといった専用キーを備えている。中でも注目したいのが、押下するだけでマイクロソフトの対話型AIアシスタント機能「Copilot in Windows」を立ち上げられる「Copilotキー」だ。Copilot in Windowsでは、文章の作成・翻訳・要約やWeb上の情報の検索、画像の読み取り・描写などが行える。さらにSurfaceスリムペンを用いてOneNoteなどに手書きした文字を要約することも可能だ。Copilotに業務を代行してもらうことで、ユーザーは重要な業務にかける時間を増やせるのだ。

 長時間稼働に対応し、最新のAI機能を活用できるSurface Pro(第11世代)は、業種を選ばずに利用可能な端末と言えるだろう。