2023年3月時点で約27万台が提案対象
大きなビジネスチャンスをつかむのは今だ

迫るWindows Server 2012/2012 R2のサポート終了

今年10月、Windows Server 2012/2012 R2のサポートが終了する。国内では2022年12月末時点で30万台弱※のWindows Server 2012/2012 R2を搭載する物理サーバーが稼働しており、サポート終了が迫る2023年3月末時点でも約27万台※が稼働していると予測されている。この約27万台に対して移行を促進すれば大きなビジネスチャンスにつながる。ではどのように移行を促進すればいいのだろうか。

※出所:MM総研「Windows Server 2012稼働台数調査」(2021年12月実施)

日本マイクロソフト
デバイスパートナーソリューション事業本部
チャネルセールスエグゼクティブ
吉川賢太郎 氏
日本マイクロソフト
業務執行役員
デバイスパートナーソリューション事業本部
事業本部長
佐藤 久 氏

隠れサーバーは 社会全体にとって迷惑な存在

 ICT市場専門の調査会社であるMM総研が2021年12月に実施した調査の結果によると、2021年末時点に国内で稼働するWindows Server 2012/2012 R2を搭載する物理サーバーは41万台あり、2021年末時点の稼働ユーザーに移行検討状況を尋ねた調査結果では14万台がサポート終了に向けて移行を進めている最中で、12万台が移行に向けた調査を進めているという。つまり残りの15万台はサポートの終了以降も稼働を続ける可能性があるということになる。

 言うまでもなくサーバーではアプリケーションが稼働していたり、データが管理されていたりするなど業 務や事業、経営を支える、いわば生命線である。サイバー攻撃が高度化し、頻度が高まっている昨今、サポート終了に伴って最新のセ キュリティ更新プログラムを適用できない無防備なサーバーは、サイバー攻撃の格好の的となることは言うまでもない。

 攻撃の被害を受けたサーバーは運用する企業だけではなく、取引先や顧客など広範囲にわたって被害を及ぼすことになり、サポート終了を迎えたOSが稼働を続ける隠れサーバーは社会全体にとって迷惑な存在だ。この隠れサーバーを減らすことはビジネスや社会のサイバーリスク対策となる一方で、ITビジネスのプレーヤーにとっては大きなビジネスチャンスとなる。

 日本マイクロソフト 業務執行役員 デバイスパートナーソリュー ション事業本部 事業本部長 佐藤 久氏は「サポート終了が迫る2023年3月時点で約27万台のWindows Server 2012/2012 R2搭載の物理サーバーが稼働していると予測されており、とても大きなビジネスチャンスと言えます」と強調する。

今後はハイブリッドが主流となる
オンプレミスも引き続き成長を続ける

 Windows Server 2012/2012 R2のサポート終了に伴うビジネ スチャンスとして、多くの人がクラウドを思い浮かべることだろう。もちろんクラウドシフトの潮流は今後も継続する。ただしクラウド一辺倒ではないことも理解しておかなければならない。

 佐藤氏は「今後のITインフラはクラウドとオンプレミスを適所適材で選択するハイブリッドが主流となります。実際にクラウドのビジネスが伸びている一方で、オンプレミスのビジネスは減少するどころか増加を続けているというデータもあります」と説明する。

 さらにWindows Server 2012/2012 R2搭載サーバーの移行先としてオンプレミスを選択する割合がクラウドに対して圧倒的に多いという実態がMM総研「Windows Server 2012稼働台数調査」(2021年12月実施)に見られる。その理由についてWindows Ser ver 2012/2012 R2搭載サーバーの用途の傾向が挙げられる。

 佐藤氏は「Windows Server 2012/2012 R2搭載サーバーの用途はファイルサーバーが最も多く、タワー型のサーバーで運用されています。またデータベースサーバーとアプリケーションサーバーも多く、ファイルサーバーと合わせた三つの用途が全体の約60%(出所:MM総研)を占めています」と説明する。

 運用中のファイルサーバーの規模や設置場所、例えば地方の拠点 や部署で利用しているファイルサーバーならばクラウドへ移行するよりもオンプレミスで運用した方が管理やコストの面で有利という場合も少なくないだろう。こうした観点から移行先としてクラ ウド一辺倒の提案ではなく、オンプレミスを継続する提案も有効であることが分かる。

Windows Server 2022とWindows 11で
リモートワーク環境の生産性が向上する

 サポート終了が目前に迫っても稼働を続けるとみられている約27万台のサーバーに対して、どのように移行を促せば良いのだろうか。Windows Serverを最新バージョンにすることで全体的なセキュリティを強化でき、ハードウェアインフラを更新することでパフォーマンスアップに伴う業務効率や生産性の向上に寄与することは言うまでもない。加えてWindows Serverの最新バージョンであるWindows Server 2022を導入するメリットを理解して顧客に明示する。

 例えばWindows Server 2022ではネットワーク経由での転送時にファイルを圧縮できるSMB圧縮転送が利用できるほか、民間で最も強固な「Advanced Encryption Standard」(AES)と呼ばれる暗号化方式で、256ビットの暗号鍵が使用できること、GUIベースで記憶域を簡単に移行できる移行ツール「Storage Migration Service」が提供されることなど、最も多い用途であるファイルサーバーの機能強化がメリットとして挙げられる。こうしたWindows Server 2022の導入メリットを生かした提案のシナリオや戦略を組み立てる必要がある。

 日本マイクロソフト デバイスパートナーソリューション事業本部 チャネルセールスエグゼクティブ 吉川賢太郎氏は「ネットワーク経由でのファイル転送においてWindows Server 2022と、SMB圧縮転送に対応しているWindows 11を組み合わせることで、SMB圧縮転送に非対応の環境に対して最大約2倍(出所:MKTインターナショナル 2021年調査)の性能向上が図れます。しかも設定は一切不要で高速かつ、AES 256ビット暗号化による強固なセキュリティ環境でファイル転送が行えます」と説明する。

 そして「リモートワーク環境でのファイルサーバーの性能向上による生産性向上をうたい、Windows Server 2022とWindows 11を組み合わせた移行シナリオの提案でビジネスを伸ばすことも可能です」とアドバイスする。

 新しいバージョンへの移行期限は今年10月だが、人材の確保やサーバーの在庫を勘定すると、今すぐにWindows Server 2022への移行を働きかけなければ間に合わないかもしれない。日本マイクロソフトではWindows Server 2022への移行に伴うアプリケーションサーバーの動作検証をはじめ、各種の問い合わせや相談への対応などパートナー支援サービスを豊富に提供している。これらをうまく活用してより多くの顧客にWindows Server 2022への移行を促して、ビジネスを伸ばしていきたい。