「良い音と暮らしたい」と思っている人は多い。「好きな音楽を聴きながら作業に没頭したい」「クリアな声でオンライン会議を円滑に進めたい」「周りを気にすることなく音に集中したい」など、良い音と寄り添っていられたら仕事もプライベートも快適になる。しかし、現実にはオフィスでスピーカーから大音量を鳴らせないし、テレワークでも周囲の生活音が耳に障る。こうした課題を乗り越えて、良い音への集中と開放を両立した画期的なオープンイヤー型ヘッドホンが、NTTソノリティの「nwm ONE」だ。
text by 森村恵一

耳蒸れが起こす外耳炎のリスク

 NTTソノリティが2023年6月に実施した「イヤホン・ヘッドホンの長時間使用と“イヤホン蒸れ”に関する調査」によれば、コロナ禍以降3人に1人の割合でイヤホンの使用時間が長時間化しているという。全体的に長時間化している中でも、リモートワークやWeb会議を多く行う20〜40代の働き盛り世代で使用時間が長くなっていると回答したのは、4割以上に上る。また、同調査にて気温や湿度が高くなる夏にイヤホン・ヘッドホンを着けているときの「耳蒸れ」が気になったことがあるか聞いたところ、約51%の人が「はい」と回答した。イヤホン・ヘッドホンの長時間利用は外耳炎につながることがあり、こうしたリスクを回避するには、開放型の耳をふさがないイヤホン・ヘッドホンの利用が推奨される。

 開放型ヘッドホンは、ハウジングと呼ばれる耳に装着する部分が密閉されていないので空気が通り抜ける。これにより、耳が蒸れてしまう可能性を下げるのだ。しかし、密閉型と比べると音漏れしやすいデメリットがある。加えて、開放型とはいえ両耳をイヤーパッドで覆っている製品が多いので、長時間使えばそれなりに負担がかかってしまう。それに対して「nwm ONE」は、両耳にスピーカーを浮かべたようなフルオープンのヘッドホンになっている。

音漏れ抑制とクリアな通話を両立

 NTTソノリティは、nwm ONEを「オープンイヤー型オーバーヘッド耳スピーカー」と表現している。その名の通り、まさに両耳の横にスピーカーが浮いているような構造になっているのだ。スピーカー部分は約15度傾けられ、自分の好みの角度に調整できる。筆者としては、耳穴に対して平行にするよりも、約15度傾けた方が耳により音が届くように感じた。

 フルオープンのnwm ONEが音漏れしない理由は、NTT独自の音漏れを最小限に抑える「パーソナライズドサウンドゾーン」(PSZ)技術にある。PSZ技術は、ある音波(正相)に対して180度位相を反転させた波形(逆位相)を重ねると音が消える原理を応用している。この技術により、装着者には高音質な音声を聞かせつつ、音漏れの抑制を実現しているのだ。実際に使ってみると、nwm ONEを外した途端に今まで聞いていた音が聞こえなくなる不思議な体験ができる。電車の中やオフィスの固定席など、隣の人へ音漏れで迷惑をかけてしまわないか不安な場面でも伸び伸びと使用可能だ。さらにnwm ONEで聞いている音声と共に周囲の声も聞こえるので、ヘッドホンをしているとき特有の孤立感もない。

 nwm ONEは聞くだけでなく、話すシーンでも活躍する。必要な音だけをクリアに取り出すNTTの特許技術「Magic Focus Voice」によって、周囲の音をカットして自分の声だけを相手に届けられるのだ。例えば駅構内といった騒がしい場所で通話するときでも、雑音で相手に明瞭な声を届けられないといったトラブルを回避できる。フリーアドレスのオフィスでも、ほかの従業員の声が入ることを気にせず、Web会議に集中可能だ。

コンパクトなデザインのスピーカーは、高音質と音漏れの抑制を両立している。
耳を密閉しない開放的なデザインで、長時間装着していても圧迫感がない。

音質を自分好みにカスタマイズ

 nwm ONEはBluetoothでのマルチポイント接続に対応しており、スマートフォンやPCなど複数のデバイスを同時に接続できる。PCでWeb会議をしながら、スマートフォンの着信音も確認が行えるので便利だ。

 またnwm ONEは、Bluetoothでの無線接続のほか、付属のType-C to Type-CのUSBケーブルによる有線接続にも対応する。利便性は無線接続に軍配が上がるが、有線接続にするとより高音質な音響体験を実現できる。さらにスマートフォン専用アプリの「nwm Connect」を使うと、nwm ONEの音質を自分好みに調整可能だ。調整した音質の設定はnwm ONEに保存されるため、スマートフォンやPCなどとのデバイスでnwm ONEを利用しても全て同じ設定で使える。Web会議のほか、音楽を聴きながら仕事をしたいユーザーは、音質にこだわってみるのもお薦めだ。

 ちなみにnwm Connectは、音質の設定のほかにボタンの操作方法も確認可能だ。左のスピーカー部の側面にある「マルチファンクションボタン」で行えるボタン操作や、マルチファンクションボタンの下に付いている「+ボタン」「−ボタン」の操作方法を参照できる。マルチファンクションボタンでは、シングルクリックで音楽再生/停止といった操作が可能なので、操作に迷った場合は見てみると良いだろう。

 バッテリーは約1.5時間の充電で最大20時間の再生が可能だ。5分間の充電でも約1時間は再生できる。本体は約185gと軽く、長時間の装着も苦にならない。開放感のあるボディで特徴的なデザインをしたnwm ONEは、装着していたら街中でもオフィスでも注目されること間違いなしだろう。