健康経営を導く睡眠テック
睡眠で世界平和をつくることを目指す
NTT東日本グループのスリープテック事業
世界一睡眠時間が短い国、日本。そんなニュースを目にした人も少なくないはずだ。これは年代や性別を問わないが、中でも有職者は非常に短い傾向にあるという。そうした短い睡眠時間に対して、厚生労働省も「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」の中で推奨睡眠時間を設けたり、シフトワーカーの睡眠課題への対処策をまとめたりしている。そうした国の動きに先んじて、スリープテック事業に取り組んでいるのがNTT東日本グループだ。
睡眠専門コミュニティ
ZAKONEで共創を図る
世界一睡眠負債があるということは、世界一睡眠に伸びしろがある。そういった視点から、「睡眠で世界平和をつくる。」ことを目指して、NTT東日本は2019年から睡眠市場に参入している。
NTT東日本は、これまで通信を中心に人々のインフラを支えてきた。そうした視点から同社は、人々の生命活動の根幹である“睡眠”を生活インフラと捉え、そのインフラを整えるために、同社やパートナー企業が持つ最先端テクノロジーを生かしたスリープテック事業を進めている。
NTT東日本が2022年1月31日に設立し、共にスリープテック事業を推進しているNTT DXパートナーのスリープテック事業部 ビジネスプロデューサーの梅田貴大氏は「メインとして取り組んでいるのは、質の良い睡眠のための手段を増やし、価値を高めていくための取り組みです。良い睡眠を取ることで、健康になるだけでなく仕事の生産性や学力が上がったり、美容に良かったり、とさまざまな価値が生まれる可能性があります。ひいては世界平和につながるかもしれませんよね。そうしたビジョンをテクノロジーを介して実現していくのがスリープテック事業です。代表的な取り組みとして、『ZAKONE』という、企業や個人をつなぐ睡眠専門コミュニティを提供しています」と語る。
ZAKONEは2022年9月3日にグランドオープンした共創コミュニティで、165社が参画している(取材時点)。参画している企業は、出版社や日用雑貨メーカー、幼稚園、寺院、宿泊施設など実に多彩だ。これまでハードルの高かった睡眠市場への参入障壁を下げ、企業同士で共創することで睡眠に対する新たな価値を生み出している。
従業員の睡眠状態を
定量的アンケートで可視化
スリープテック事業の中で、現在注力しているのが「健康経営ソリューション」だ。NTT東日本グループのスリープテック事業では、テクノロジーを駆使しさまざまな企業とコラボレーションすることで、従業員の睡眠改善をサポートする。
梅田氏は「今の睡眠市場の多くはBtoCマーケットです。しかし、企業においても従業員の睡眠習慣が悪かったり、睡眠障害があったりすると、生産性の低下や、安全、健康を損ねることにつながります。そのため、健康経営の一環として従業員の睡眠改善を行いたい企業が増えているのです。そうしたBtoB、BtoBtoCに向けて、『事業者向け睡眠改善プログラム』で睡眠改善のサポートを行っています」と語る。
事業者向け睡眠改善プログラムは2020年からローンチしたサービスで、従業員の睡眠状態を評価し、その人の課題や悩みにあった睡眠習慣の改善を、さまざまなコンテンツや専用コミュニティを使って継続的にサポートしていく。
プログラムは企業の要望によってカスタマイズが可能だが、基本的なフローではブレインスリープが提供する睡眠可視化サービス「睡眠偏差値for Biz」を利用する。「本サービスは1人300円程度で睡眠に関する主観的なデータが取得できます。全従業員に実施してもそこまで高価にはならないため、睡眠偏差値for Bizによる定性的なアンケートで一次スクリーニングを行い、会社全体の睡眠傾向や睡眠の課題を特定します。その上で、正しい睡眠知識を身に付けてもらうため、睡眠専門医や睡眠有資格者によるセミナーを実施します。その後、各々で睡眠改善を図ってもらい、2週間後くらいに2回目のアンケートを実施します。正しい睡眠知識を身に付けたり、睡眠課題を可視化することで、一定程度の睡眠改善の効果が得られます」と梅田氏。
多様なデバイスで
客観的な睡眠計測も
睡眠課題改善に向けて、デバイスを活用した個別の睡眠改善提案も行っている。「睡眠障害の疑いが高い層には、睡眠障害のリスクが判定できる機械を調達して、個別に自身の睡眠状態を客観的に可視化してもらいます。例えばNTT西日本グループのNTT PARAVITAが提供する『ねむりの応援団』でマット型センサーを活用した測定や、筑波大学の柳沢正史教授が立ち上げたS’UIMINが提供する脳波による睡眠検査サービス『InSomnograf』などによって、高精度な睡眠検査と睡眠改善を図ります」と梅田氏。
予算や課題に応じてこれらのセンサーデバイスや脳波を活用した睡眠検査サービスは変更できる。例えば前述のブレインスリープが提供している「ブレインスリープ コイン」などは、コストを抑えつつ精度の高い計測が手軽に行える。顧客の予算感や睡眠に対する課題を持っている層の人数割合に応じて、パートナー企業のデバイスを柔軟に提案している。
実際に健康経営推進の一環として、睡眠改善プログラムを導入した札幌トヨタグループでは、睡眠偏差値 for Bizとブレインスリープ コイン(希望者のみ)を組み合わせた睡眠状態の可視化と、セミナーコンテンツによって、睡眠時間の平均値の向上や、睡眠週間の改善が確認されたという。
上記で紹介されたS’UIMINやブレインスリープも、NTT東日本が運営するZAKONEコミュニティの一員だ。梅田氏は「ZAKONEコミュニティでは複数の企業がタイアップしてイベントを実施するなど、1社では難しい新しい価値創造に取り組んでいます。そうしたイベントに行くと、自分の睡眠習慣の課題に気が付き、睡眠を改善しようと思える。そういった気付きになれば良いと思いますし、ひいては日本の睡眠課題解消につながってくれればうれしいですね。我々の事業はあくまでインフラだと思っているので、まずはこのZAKONEの取り組みを通じて、企業が健康経営に取り組みたい場合の一歩目のサポートをしていきます」と語った。
健康経営を導く睡眠テック
AIアルゴリズムと専用デバイスで
微弱な覚醒も検知する「SLEEP COMPASS」
睡眠の質や量を可視化したい場合、スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスを活用するケースもあるだろう。しかし、一般的なウェアラブルデバイスは睡眠障害を発見するのに適した精度でない場合が多い。そこでACCELStarsが提供しているのが、中途覚醒を含めた覚醒を正しく検知できる独自のウェアラブル端末を活用した精度の高い睡眠測定サービス「SLEEP COMPASS」(スリープコンパス)だ。
脳波の睡眠計測に近い精度で
わずかな中途覚醒も検知
——睡眠を解明し、新たな医療を創造する。
そうしたビジョンの下、東京大学医学部の上田泰己教授が2020年8月に設立したのがACCELStarsだ。同社が提供する睡眠測定サービスSLEEP COMPASSは、独自開発したウェアラブルデバイスを睡眠時に装着し、腕の動きを捉えることで覚醒や睡眠状態を測り、Web問診の回答と組み合わせて精度の高い客観的な睡眠データを簡単に計測できる。
SLEEP COMPASSの優位性について、ACCELStarsの代表取締役CEO 宮原 禎氏は「いわゆる睡眠計測は脳波で行うことがゴールデンスタンダードです。当社のSLEEP COMPASSでは、独自開発の腕時計型デバイスを用いて、睡眠を計測します。これは加速度センサーによって体の動きを検出する機能を有しており、睡眠障害の評価に用いることが可能な医療機器です。このデバイスと、AI技術で脳波を予測するアルゴリズム『ACCEL』を用いることで、世界最高クラスの精度を誇る中途覚醒検出を可能としています」と語る。
睡眠の評価は、宮原氏が述べたように脳波による計測が最も精度が高い。これを100%とした場合、SLEEP COMPASSは82.2%の覚醒判断、93.2%の精度、97.2%の感度を誇るという。例えば市販されている活動量計のようなウェアラブルデバイスは、睡眠に入っているという検知や、10〜20分中途覚醒したという検知は行える。しかし、1分や30秒など、非常に短い時間、微弱に起きる中途覚醒は検知が難しい。そうした微弱な中途覚醒を、精度高く検知できるのがSLEEP COMPASSなのだ。
中途覚醒の過多で
精神の不調を見つける
睡眠時に発生する中途覚醒について、宮原氏は「人間は誰でも中途覚醒がありますが、特に精神疾患を患っている患者さまは中途覚醒の回数や時間が非常に多い傾向にあります。深く眠れないんですね。また、最近は発達障害の傾向にある子供が少なくありませんが、きちんとした睡眠を取らないと発達障害のような症状が出るケースもあります。逆に発達障害の一つであるADHDの場合、呼吸が乱れやすく良い睡眠ができなかったり、興奮して眠ることが難しかったりといった症状が出るケースもあります」と語る。睡眠状態を精度高く可視化することにより、患者の精神の不調や疾患をいち早く見つけることができるのだ。
SLEEP COMPASSは8日間の計測で睡眠判定を行う。ユーザーは、デバイスを受け取った後、自身の生活などをWeb上で回答する。その後、8日間連続でデバイスを装着して睡眠を記録する。「医療現場でウェアラブルデバイスを装着して睡眠の計測を行う場合、2週間程度着けて計測してもらうのが一般的ですが、2週間は期間が長く負荷が高いので、1週間程度の計測としています。8日間に設定している背景には、平日と休日を含めた計測を行いたいためです。初日はシステムに慣れてもらうためのテスト日にしており、2日目から実測になります」と宮原氏。計測後はデバイスを返却し、睡眠判定や生活行動の分析レポートが届く仕組みだ。
SLEEP COMPASSで使用する専用デバイスでは、加速度センサーのほかに脈拍センサーやSpO2(血中酸素濃度)センサーも内蔵している。「当社が開発したデバイスは、現在は加速度センサーのデータを特徴量として重点的に使い、睡眠状態を計測しています。SpO2のデータは睡眠時無呼吸症候群に対する研究開発で活用しています。睡眠時無呼吸症候群は睡眠時に起こることなので、睡眠時間の分母を正しく捉えた上で、無呼吸をしっかり同定していくことが重要です。そこでSpO2等が大事なバイオマーカーになっており、呼吸が止まったとか、その後呼吸をしようとする動きがあるとか、呼吸が止まって血中酸素濃度が落ちているといった三つの段階を追いながら、睡眠時無呼吸症候群を同定します。また、脈は心拍変動の解析に活用しています。ある一定の心拍間隔が、どれくらいのフェーズで変動しているかを計算します。この心拍変動は、ストレスなどを表していると言われています。当社の睡眠計測は機械学習の技術を用いているので、加速度センサーによる中途覚醒を非常に高精度に捉えることが可能ですが、そこに脈などの情報を組み合わせることで、さらに精度を高めることも視野に入れ開発を進めています」と宮原氏は語る。
健康経営から創薬まで
活用の幅が広がる
SLEEP COMPASSによる睡眠計測は、個人での契約も可能だが健康経営の一環として利用する企業も増えているという。「企業健診の一環としてストレスチェックアンケートやエンゲージメントサーベイを行う企業も増えていますが、我々のサービスもWeb上で睡眠問診だけを行うことが可能です。こうしたシンプルな睡眠計測を利用する企業さまもいますし、デバイスを使ってしっかり計測する例もあります。1週間計測をして異常が見つかった場合、産業医などの医療関係者に連携し、アフターフォローにつなげられます」(宮原氏)
良い睡眠習慣が身に付くようeラーニングも提供している。例えば睡眠の質や量が具体的にどういったもので、睡眠時間が不足しているとどうなるのか、といった内容を教えるコンテンツによって、従業員の睡眠リテラシーの向上を図れる。
導入事例もある。タイヤメーカーのブリヂストンでは、久留米工場で働く従業員の一部を対象に、睡眠改善プログラムに取り組んだ。今後、大手鉄道会社や食品メーカーでの導入も予定されているという。宮原氏は「交通や食品、メーカー系、銀行、IT関連など、幅広い分野から引き合いがあります。睡眠に関して、どの会社も興味を持っているのですが、その実態を把握している企業は少数です。実際、SLEEP COMPASSを導入して企業内で希望者が計測を行うと、10〜20%程度の割合で疾患の疑いのある人が発見され、治療につなげられています」と語る。
今後はSLEEP COMPASSの機能強化や改善を進めながら、他者と連携したデバイスの進化も進めていく方針だ。また、保険会社と連携したデジタルヘルスプロダクトの開発も予定しており、2024年6月28日に住友生命保険相互会社のCVCファンドから出資を受け、睡眠習慣改善サービスの開発に向けた事業共創を進めている。
「製薬企業とのコラボレーションも行っています。各製薬企業は、睡眠や心の状態を把握するデジタルバイオマーカーに注目しており、睡眠薬や向精神薬の開発に向けてIoT技術を活用するケースもあります。こうした内資の製薬は、まだ世界的に見ても比較的パイプラインがあり、お声がけいただくケースが増えていますね」と宮原氏。ACCELStarsは今後も最先端の技術によって、多様な企業や研究機関と共に、睡眠の解明を進めていく。
健康経営を導く睡眠テック
医療レベルの脳波による睡眠検査を
自宅の寝室で行える「InSomnograf」
睡眠に関する課題を抱えている場合、選択肢の一つとして睡眠障害に関する診療を行う病院への受診がある。一方病院で睡眠障害を検査する場合、脳波を測定する「睡眠ポリグラフ検査」の実施を求められるケースもある。これは睡眠学会が定めた標準的な睡眠の検査であり、睡眠障害を正確に診断するために重要だ。その一方で本検査には入院が伴うことや、普段と異なる環境での睡眠となることから、検査に二の足を踏む人も少なからずいるだろう。S'UIMINが提供する「InSomnograf」は、脳波による医療レベルの睡眠検査を自宅に居ながらにして行えるサービスだ。
年に一回の健康診断のように
自宅で睡眠検査を行おう
筑波大学発のスタートアップ企業として、2017年10月17日に発足したS'UIMIN。「スリープイノベーションの創造によりすべての人の睡眠課題の発見から解決を」をビジョンに掲げている同社が提供しているInSomnografは、自宅に居ながらにして医療レベルの精度の脳波計測を行い、睡眠の状態を調べられるサービスだ。病院で行われる睡眠ポリグラフ検査とほぼ同等の脳波データを取得できるデバイスと、熟練の臨床検査技師並みの精度のAI解析システムを組み合わせ、睡眠の質を正確かつ客観的に把握できる。
S'UIMIN ヘルスケア本部 睡眠ウェルネスアドバイザーの谷 明洋氏は「腕時計型の活動量計やスマートフォンアプリには、加速度センサーなどのデータから、睡眠の状態を可視化できる製品もあります。しかし、これらの製品は睡眠の質を正確に測ることは難しいのです。睡眠の質を正確に調査するには睡眠ポリグラフ検査をすることが求められますが、病院に入院しての検査はハードルが高いでしょう」と語る。スマートウォッチのようなウェアラブルデバイスによる睡眠計測を、体重計測のような日常的な健康管理とするならば、病院での睡眠ポリグラフ検査は病気の原因を発見するための検査と言える。そしてInSomnografは、その中間に位置する健康診断や人間ドックのようなサービスだ。
InSomnografで使用するウェアラブルデバイスは、脳波を測定する電極シートとそれらのデータを蓄積し無線通信でクラウドにアップロードするデバイスで構成される。デバイスで計測した脳波データは30秒ごとの区分に分けられ、覚醒、ノンレム睡眠(3段階)、レム睡眠を判定して睡眠経過図が作成される。その解析結果を基に、総睡眠時間や寝付きにかかった時間、睡眠効率などの睡眠指標を自動的に算出し、レポートとして出力する。
「体の動きから睡眠を推定する活動量計や、被験者の主観に依存するアンケート調査と異なり、脳波による計測は睡眠の質を正確かつ客観的に把握できます。例えば本人の記憶に残らないような短い覚醒が繰り返し発生しているケースがあり、これが睡眠の質の低下につながるのですが、そうした覚醒状態も正確に把握できます。水面下に潜むリスクの早期発見につなげられる点が、InSomnografの検査を利用するメリットの一つといえるでしょう」と谷氏は語る。
睡眠リテラシーを向上し
健康経営の実現につなげる
こうしたInSomnografの睡眠検査は、企業の健康経営にも活用されている。企業に対する健康経営支援メニューとしては主に「睡眠チェックサービス」「研修・セミナー」「InSomnografによる詳細な個別検査」が用意されている。
主な利用フローは以下の通り。最初に主観的な睡眠状態を把握するため、事前睡眠チェックの質問票に回答してもらう。そして、最初に実施した睡眠チェックにおいて、睡眠に対する悩みを抱えていたり、改善意欲が高かったりした従業員に対して、InSomnografによる睡眠検査を実施する。
平行して、よく眠るための技術や考え方を伝授するセミナーを実施する。「睡眠を良くしてもらおう、と経営者側が思っていても、従業員自身のやる気がなければ効果は上がりません。このセミナーでは睡眠の重要性を啓発したり、世間一般に俗説が多い睡眠に関する知識の是正を行ったりすることで、睡眠に関するリテラシーを高めます」と谷氏。
最後に、組織全体の睡眠課題や考えられる研修などをレポーティングする事後セミナーを担当部署に実施することで、企業全体の睡眠改善を支援する。
福利厚生の一環として、健康保険組合を通じてInSomnografの睡眠検査を提供しているケースもある。希望者が実費あるいはポイントなどでInSomnografの検査を実施すると、睡眠状態のレポートが通知される仕組みだ。企業が年間でInSomnografをレンタルし、希望者に貸し出して睡眠計測するような例もあるという。
睡眠関連商材の効果測定に
脳波の客観的な性能評価を
医療機関で行われる標準的な睡眠ポリグラフ検査は、睡眠の量や質を測る上で正確性が高い一方で、入院しての検査が前提となるため、日常的な睡眠状態の計測が難しい側面もある。例えば、普段と違う環境であることでよく眠れるケースや、反対に眠れなくなるケースもある。また、睡眠ポリグラフ検査を行える病院は限られており、予約が取りにくいのも実情だ。そうした課題に対して、健康診断のように睡眠検査が行えるInSomnografを活用することで、睡眠に潜んでいたリスクに早く気が付くことが可能になる。
「例えば睡眠時無呼吸症候群は、自身で気が付きにくい病気です。そうした本人が自覚しにくいリスクに、InSomnografの睡眠検査で気が付くことで、病院に行ったり生活を改めたりする人が多いですね。また、企業が健康経営の一環として睡眠改善を行うことは、従業員のQOL向上にもつながります。そのため、自社に対する印象が良くなったとか、今の会社がもっと好きになったといった声もありました」と谷氏。また、睡眠とメンタルヘルスは密接な関わりがあり、不眠状態が続くと鬱など、メンタルの不調が生じやすくなる。InSomnografによる睡眠検査を導入したことで、従業員に対する睡眠の声かけが行いやすくなり、こうしたメンタルの不調を未然に防ぐことも可能になる。
直近のトレンドとして健康経営以外でのInSomnografの活用も進んでいる。例えば寝具やサプリなど、睡眠関連商材を扱う企業の商材性能評価やマーケティング、ブランディングなどにInSomnografを活用する例が増えているのだ。谷氏は「睡眠関連の商材をPRする際に、主観的な使用感だけでなく、睡眠がどのように変わったのかを客観的な数値で示すためにご活用いただくことも増えてきました」と語る。睡眠関連商材の研究開発や販売の支援にも、InSomnografの活用を広げていく。