テーマ 5G通信を仕事に使う
自宅のWi-Fi環境を改善する!
ホームルーターの使い方
今回は、自宅のWi-Fi環境が今一歩な方こそ読んでいただきたい、5Gホームルーターを紹介する。在宅勤務もすっかり普及してきたが、家のWi-Fi環境があまり良くないという声も少なからず耳にする。そんな方の参考になれば幸いだ。
自宅の通信環境を見直そう
今や、インターネットに接続できないと仕事にならない。特にオンライン会議が利用できないのは非常に困るし、メールのやりとりやTeamsなどでのコミュニケーションにもインターネット回線が必須だ。
出先では、Wi-Fiが利用できるカフェに飛び込んだり、スマホのテザリングなどでどうにかしのぐことができる。だが、自宅の回線がよろしくないと、かなり不自由な思いをするものだ。
そもそも、自宅にインターネット回線を敷設しようと思ったら、基本的には光回線などの工事をしてもらうことになるだろう。これが実は結構なハードルがある。そもそも提供エリアでなければ工事ができないし、路地の奥などで断られる可能性もある。さらに、回線が敷設できたとしても、どの部屋に親機が置けるかで、利用状況は随分違ってくる。
また、マンションなどの集合住宅では工事ができず、あらかじめ用意されている回線を使うのがルールになっているケースも多い。それはそれで良いのだが、多くの家でインターネットを利用する夜の時間には遅くて使い物にならない——といった悩みもよく耳にする。
こんな、Wi-Fi難民といえそうな状況を解決できる可能性があるのが、5Gホームルーターなのだ。
5Gホームルーターのメリット
そもそも、一般的なルーター(Wi-Fi親機)は、インターネット回線を敷設して利用する。回線が来ていなければ、当然使えないのだ。
ところが、5Gホームルーターは携帯電話の回線を利用するのがミソだ。つまり、回線工事が必要なく、データ通信ができる状態なら使えるわけだ。つまり、家の中において電源をつなぐだけで使えるのだ。
とはいえ、携帯電話の回線ならば、「スマホのテザリングでもいいだろう」という考えは確かにその通りだ。しかし、ホームルーターは搭載しているアンテナの性能が違うので、スマホのテザリングより速度が出る可能性が高く、通信の安定性もある。また、スマホのテザリングを使っていると、スマホの電池がすぐになくなってしまう。充電しながら使っても良いのだが、電池の劣化や発熱が気になるところだ。そもそも、5Gホームルーターは通信の用途向けに製品化されているので、発熱などの心配は少ない。また、スマホとは別の回線になるので、“ギガが足りなくなる”という状況も防げるわけだ。
例えば、家の中での電波状況は窓際が良いとしよう。そんな時にはスマホを窓際に置いてテザリングをすると通信が改善するわけだが、それではスマホを使うたびに窓際に行くのが面倒だ。5Gホームルーターなら、電波状況の良い場所に設置できる。回線の敷設がないので、電源さえ取れれば好きな場所に置ける。電波が良い場所を探して設置できる。
今回、例として取り上げているTP-Linkの「Deco X50-5G」は、5Gホームルーターの親機に加え、メッシュにも対応している。つまり、親機を窓際に置いて、家の中で電波が弱いエリアが出てきたら、メッシュ対応の中継機(Decoユニット)を置くことで、家中の電波状況を改善できる。
通信速度が気になるところだが、こればかりは、自宅の状況によって異なる。つまり、携帯電話のアンテナが何本立って、どの位の速度で通信できているかに左右されるのだ。
当然だが、5Gの圏内でなければ5Gでの通信はできない。ただ、4G接続できる製品や、WiMAX対応の製品もあるので、状況に合わせて検討してみれば良いだろう。言うまでもなく、5G回線を利用した方が高速だ。ちなみに、僕の自宅は調子が良いと300〜400Mbps程度の速度が出る。時間帯で調子が悪くても、150Mbps程度は出るので普通の使い方ならとても快適。Web会議でも画像が悪くなるようなことはない。回線状況が良ければ、さほど速くない固定回線並みの速度で利用できるわけだ。
実際の速度をチェックするには、対応するキャリアの携帯電話でスピードを計測してみるのがいいだろう。自分が契約していなくても、友人や知人が使っていたら、呼んで試してみる手もある。
また、ホームルーターの中には試用期間を用意しているサービスもあるので、それらを使ってみても良い。
ルーターの選び方
5Gホームルーターは、いくつかの買い方がある。一つはキャリアが提供しているサービスとして使う方法だ。NTTドコモなどのキャリアがサービスを用意しており、親機込みで契約することになる。各種の割引などがあるので、費用を確認してみよう。
注意したいのは、基本的に契約した住所のみでの利用になること。旅行中は実家に持っていく——といった使い方はできない。
もう一つは、今回紹介するDeco X50-5GのようなSIMロックフリーの製品を購入し、自分で通信回線を用意することだ。
この場合には、使い放題の回線を選ばないとストレスになるだろう。自分で使う容量が決まっているなら、データ量を指定してもかまわない。5Gの使い放題だと、大手通信キャリアの回線を選んだ方が結果としてお得になる可能性も高いのだが、MVNOの回線でも利用可能だ。
さらに、もっと気軽に使えるタイプもある。最近、多くの事業者がホームルーターをレンタルしているのだ。1日単位で使える契約や、無料期間が用意されているタイプもある。これらを契約してテストしてみてもいいだろう。気軽なレンタルタイプには5Gの契約もあるが、費用を抑えたいならLTEを選ぶこともできる。
なお、回線工事を申し込んでも、実工事までに相当期間が空くなら、その間をレンタルでしのいでもいい。
5Gホームルーターは、とても気軽に使えるようになり、利用者も増えている。携帯電話を使っていても、5Gのメリットはあまり感じられないという方も多いのだが、ホームルーターには大きな恩恵になっている。家の回線が遅すぎるという方は、一度試してみてもいいだろう。
もちろん、仕事以外にも利用可能で、家族が動画配信サービスを快適に利用したい時にも向いている。
会社で契約すれば、仕事用とプライベートの回線を切り分けることもできる。Wi-Fiの費用負担も会社の経費として賄えるわけだ。