コンピューター内に保存したデータを外付けHDDやUSBメモリーといった外部の機器にコピーしておくことでデータの保全を図るバックアップ作業。しかし多くの容量を消費しやすく、時間もかかるため業務の手を止めかねない。そうした従来のディスクのバックアップやデータの保全を変革するのが、デル・テクノロジーズのバックアップ、アーカイブ、災害対策を統合する保護ストレージ「Dell PowerProtect DD」だ。

Dell PowerProtect DD

バックアップ時の処理コストを低減

 データ保護を考える上で、社内にDR(Disaster Recovery)サイトは構築しているだろうか? DRサイトとは、地震・津波といった自然災害、テロなどの予期せぬ災害でメインのシステム拠点の業務が中断された際、緊急の代替地点として使用する設備や施設を指す。新年度を機にDRサイトを構築してバックアップ対応を済ませておけば、社員が入れ替わった後も安全にデータを運用できそうだ。

 DRサイト構築のためのバックアップ方法は、テープメディアにバックアップデータを保存し、遠隔地のサイトへ物理的に輸送して保管する方法、VPNやインターネットを経由してサーバーごとデータセンターに移行する方法、クラウド環境によるバックアップを取る方法などがある。

 Dell PowerProtect DDは、高速なインライン重複排除機能を備えている。Dell PowerProtect DDシステム上にデータのバックアップとアーカイブを統合するため、バックアップに必要なストレージの容量を最大55分の1に削減可能であり、バックアップするシステムやデータの種類によってはメーカーの削減保証が得られる。これにより、オンサイトでのデータ保存にディスクを使用しても十分なコストパフォーマンスが得られる。DRサイトへのネットワークベースのレプリケーション(複製)も格段に効率化できる。

 本製品は、バックアップに特化したアプライアンス製品で、これまでのテープデバイスを置き換える製品としても有効だ。バックアップに便利な基本ソフトウェアが標準添付されている。そのため、従来のテープバックアップでは必要だったテープメディアでの交換作業および管理が一切不要でバックアップ運用を行える。

 また、特長的な機能としてバックアップ時間を大幅に短縮する「DD Boost」機能がある。重複排除プロセスの一部をバックアップサーバーに委任することで、PowerProtect DD が、必要なデータのみを送信してバックアップを高速化できる。転送されるデータが削減されることで、バックアップサーバー上のCPU使用率も抑えられる。バックアップサーバーの処理能力を効果的に引き出せる。

Dell EMC PowerProtect DDをはじめ、外付けミッドレンジ「Dell PowerFlex」やスケールアウトNAS「Dell PowerScale」など豊富なストレージ製品群をラインアップしている。

クラウド対応&セキュリティをカバー

 さらに、エントリークラスながらクラウドにも有償でオプション対応している。例えば、クラウドで重複排除・暗号化したデータを保存可能な「Cloud Tier」がある。「階層化機能」によって長期保存のデータをクラウド上で保存可能だ。災害対策サイトをクラウド内に展開できる「Dell Cloud Disaster Recovery」はクラウドで重複排除・暗号化したデータも転送しておける。ユーザーが定義した期間中にファイルの変更や削除を防止する「リテンションロック」を活用すれば、ランサムウェアなどから重要なデータをさらに保護できる。

 マルチプロトコル対応なので、CIFS(ファイル共有プロトコル)やNFS(UNIX系OS向けのプロトコル)などさまざまなバックアップ環境に適応する。複数のバックアップシステムを1台のDell PowerProtect DDに統合すればバックアップ管理の一元化が可能だ。

 並列処理も可能なので、複数のシステムやアプリケーションが同一サーバー上に統合される。それぞれのバックアップを行うことが必要な仮想環境ではディスクバックアップが最適だ。リストアもHDD上にデータがあるので高速化できる。

 室内の無駄なサーバースペースでの運用を見直し、手間がかかるテープバックアップを今からでもリプレースしよう。Dell PowerProtect DDなら、ハードウェア、設備の維持保全、運用コストを大幅に削減しつつ効率的にデータを守れる。