テーマ 折りたたみスマホを仕事に活用する

1台でスマホとタブレットの役割をカバー

最近増えてきた折りたたみスマホ。単なる物珍しさから実用的なデバイスに進化してきた。僕自身がユーザーとして利用しているので、仕事に使うと何が便利なのかを紹介していこう。

折りたたみスマホの良さとは?

 折りたたみスマホは、大きく分けて二つの種類がある。一つは通常サイズのスマホをたたんで小さく持つコンセプトのモデル。サムスン電子の「Galaxy Z Flip」などが該当する。こちらは、開くと通常のスマホサイズなので、使い勝手も基本的にはあまり変わらない。L字型に開いて撮影する際に置きやすいといったところが特長だ。

 対して、開くと大画面になるのは、今回主役として取り上げるGoogleの「Google Pixel Fold」やサムスン電子の「Galaxy Z Fold」などだ。このタイプのスマホは、画面が二つ付いている。たたんだ状態で普通のスマホ程度の画面が利用でき、開くと大画面として使えるわけだ。

 Google Pixel Foldは、外部カバーのディスプレイが5.8インチで、内側のディスプレイは、7.6インチになる。まさに、小型のタブレットに近い大きさなのだ。なお、Galaxy Z Fold 5は、外側が6.2インチ、内側が7.6インチだ。ただし、外側のディスプレイがかなり細長くなるので、インチ数ほどの大きさがあるわけではない。

 折りたたみモデルを使うに当たって気になるのが重量だが、Google Pixel Foldの場合は283gだ。スマホとしてはかなりヘビー級だが、タブレットと考えると妥当なところ。実際に持ち歩いているのだが、ポケットに入れるのはかなり厳しい。シャツの胸ポケットには、入ったとしても重量でフォルムが崩れてしまう。

 とはいえ、最近は200gを超えるスマホも珍しくなく、すでにかばんに入れて持ち歩いている人も多いだろう。そんな使い方ならまず気にならない。

 内側のディスプレイは境目のない折りたたみだ。OLEDで非常に美しく、ガラスではなくフィルムを採用することで折りたたみを実現している。耐久性が気になるところだが、すでに数年間にわたって販売されていることを見ても分かるとおり、短期間で壊れるようなことはない。もちろん、ラフに扱うべきではないが、普通に使って大丈夫だ。一般的な利用なら折り目に問題が生じることもないだろう。

Google Pixel Foldは、折りたたみスマホで内側のディスプレイは境目がない。

大画面が便利だ

 そもそも、Google Pixel Foldのディスプレイは7.6インチと大きく、表示できる情報量が桁違いだ。

 例えば、Webブラウザーやマップを開いても、情報量は倍ほど違っている。そもそも画面サイズを表すインチ数は対角線の距離を示している。カバーディスプレイは長方形なのに対し、内側のディスプレイは正方形に近いために、面積としては倍くらい違うわけだ。

 この大画面が最大のメリットで、使ってみるとその素晴らしさが実感できる。Webブラウザーを見ているだけでも情報量が違うのだが、いわゆるPC表示にするとさらに画面が広く有効に利用できるだろう。ただ、閉じたらスマホ表示、開いたらPC表示という自動切り替えはできないようなので、PC表示にするページを設定で指定している。

 Googleマップを表示してもまさにタブレットサイズなので、見やすさが桁違いだ。しかも、正方形に近い縦横比なので、地図も見やすい。

 とにかく便利なのが仕事の資料を見る際だ。例えばExcelのファイルを普通のスマホで開くと、全貌を見るのはかなり厳しい。もちろん縮小すれば広い範囲を見られるのだが、文字が読めなくなる。

 これは、Wordの資料やPDFも同様で、スマホでA4程度のサイズの書類を見るのは無理があるのだ。

 ところが、7.6インチの内側のディスプレイを使えば、PC並みとは言わないまでも、小さなタブレット程度に表示できる。視認性はかなり高く、スマホで見るのとはストレスが随分違う。

 実際にGoogle Pixel Foldを使っていると、なるほど便利なポイントがいくつもある。単にタブレットとして大画面で使えるだけではない。例えば、外部カバーディスプレイで表示しているアプリが、ディスプレイを開くだけで内側で表示できるのだ。

 移動中にメールが届き、PDFやExcelの書類が添付されていたとしよう。タップして開いてみるが画面が小さすぎて読むのが大変だ。そんな時には、ディスプレイを開くだけでOK。カバーディスプレイで開いていた資料が、すぐさま大画面で表示される。内容を確認してディスプレイを閉じれば、再び普通のスマホ感覚で使えるのだ。

Googleマップは、内側のディスプレイを使うと一気に多くの情報を得られる。
Excelのワークシートを表示したが、ここまで違うともう普通のスマホには戻れない。

表示が便利なアプリも

 Google Pixel Foldは、単に画面が広く表示されるだけではない。主にGoogleの標準アプリの表示がうまく考えられているのだ。

 Gmailを内側のディスプレイで開くと、左側にメールの一覧が表示され、右に本文がプレビューできる。これはとても便利で、理にかなっている。さらにプレビューを開いた状態で、画面の縦横を切り替えると、メール本文が大きく表示されるのだ。

 Googleの標準アプリのレコーダーも同様だ。起動すると左右画面にファイルのリストがブロック形式で並ぶ。再生すると、左画面に音量のウィンドウが表示でき、右側には音声認識をしたテキストが表示できる。これも非常に使いやすい。

 Google Pixel FoldをL字型に半開きのスタイルにすると、机やテーブルの上に置いて、手放しで利用可能で、写真やビデオを撮影する際に重宝する。三脚などで固定しなくても、立てた状態で撮れるからだ。僕は、移動中の飛行機や列車の中で動画を見るときにこのスタイルを使っている。手放しで視聴できるのが楽だ。

 とはいえ、実はこのモードは仕事にも大変に役立つ。L字スタイルにおくと、オンライン会議で大変に便利なのだ。普通のスマホやタブレットはスタンドなどがないとテーブルの上に置いて固定できない。オンライン会議で手持ちしているのはかなり疲れるし、また画像が揺れると相手にも失礼だ。

 Google Pixel Foldなら、L字スタイルでテーブルに置くだけで、固定してオンライン会議に臨める。もちろん、スマホでのオンライン会議は使いやすいわけではないので、あまり推奨はしないがちょっと参加するくらいなら問題ない。また、万が一PCのバッテリーが切れているようなときでも、スムーズに参加できるのでバックアップには最適だろう。

 折りたたみスマホは、“目立つ先進モデル”というだけではなく、実は仕事にも役立つ便利なデバイスだ。今後も徐々に普及してくるだろう。

やや角度が付いて見づらいが、スタンドなどがなくてもオンライン会議ができるのがうれしい。
L字スタイルでテーブルなどに置くと写真撮影がしやすい。
左にメールの一覧、右に内容のプレビューが表示できる。さらに画面の縦横を切り替えると、本文をプレビューできる。