アドフラウド
Web広告に対する詐欺や不正行為をアドフラウド(ad fraud)という。Web広告のインプレッション(表示回数)やクリックを不正に水増しし、広告費を搾取する行為などが挙げられる。
世界的にアドフラウド被害が深刻化している。日本でも被害が蔓延しており、2023年の累計被害額は約1,667億円と推計される(Spider Labs調べ)。アドフラウドの手口が進化し続け、対策が追いつかないのが現状だ。2025年はAI(人工知能)を悪用した不正トラフィックやフェイクリードの増加も懸念されている。
<主なアドフラウド>
- 過度な広告領域
検索スパムと組み合わせ、広告のみのページに誘導する。
過度な自動リロード:数秒単位でリロードを繰り返し、多数の広告を表示させる。 - 隠し広告
ユーザーが認識できない形で広告を表示させ、インプレッションを水増しする。 - クリック洪水
クリックが大量にあったように偽装する。 - 広告の差し替え
不正に広告を差し替え、広告収入を得る。 - 偽ドメイン
類似サイトを作成し、ドメインを偽装して、広告費を不正に取得する。
アドフラウド被害は経済的な損失にとどまらず、配信データにノイズが生じることで正しい分析が行われず、マーケティングの意思決定を誤る原因にもなる。
企業の対策として、まず広告の掲載先を選別することが必要だ。例えば、安全性が確認されているサイト(ホワイトリスト)だけに広告を表示する。悪質と判断されたサイト(ブラックリスト)には広告を表示しない。厳選した優良サイト(プライベート・マーケット・プレイス)のみに広告を出稿するなどだ。そのためには、ホワイトリスト、ブラックリストの設定や、データ収集が急務となる。