ストックビジネス

契約によって継続的な利益を得るビジネスモデルのこと。「ストック(stock)」には蓄えるという意味がある。不動産の賃貸収入やガス代・電気代などインフラ事業、月会費を得られるフィットネスクラブといった会員制事業が挙げられる。定額料金を支払うことで商品やサービスが利用できる「サブスクリプションサービス(サブスク)」もストックビジネスの一つ。

顧客が一度契約すれば、解約されない限り安定した収入が得られ、時間経過とともに資産が蓄積(ストック)されていく。そのため、長期的に顧客と良好な関係を築くことが重要となる。商品やサービスの改善など顧客の満足度を高め、解約率を下げて継続的に利用してもらう「囲い込み」の施策が求められる。新規顧客の開拓より、既存の顧客を成長させることに重点に置く企業も多い。

ストックビジネスは景気動向による影響を受けにくく、不況下でも安定した収益を見込むことができる。その反面、初期投資を上回る収益化までに時間がかかるというデメリットがある。一定数以上の契約や会員を獲得する必要があり、収益が安定するまで、十分な額の運転資金を用意しなければならない。

ストックビジネスとよく比較されるビジネスモデルにフロービジネスがある。「フロー(flow)」は流れを意味し、商品やサービスを一度きり販売・提供する取引を繰り返す「売り切り型」のビジネスモデル。代表的なのはレストランやコンビニなどで、常に新しい取引によって収益を得る。顧客の継続的な利用が確約されていないので、ストックビジネスに比べ、事業の収益が安定しにくい。一方で、顧客が欲しい商品をいつでも気軽に購入できというメリットがある。
(青木逸美)

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