テナント

テナント(tenant)は、本来は賃貸人のことだが、IT分野ではシステムやサービスの利用範囲を定義する言葉で、ユーザーの契約単位を指す。テナントには、主に「マルチテナント」と「シングルテナント」との2種類がある。

マルチテナントは、同一のシステムやサービスを複数のユーザーが共有する方式。SaaS型のクラウドサービスで採用されることが多い。サーバーやデータベースを仮想的に分割して利用する。自社でシステムを保有しないため、運用管理に手間をかける必要がない、低コストでスピーディに環境を構築できるなどのメリットがある一方、セキュリティ面の不安や、機能・デザインの自由度が低いなどのデメリットもある。

シングルテナントは、サーバーやデータベースを1ユーザーで占有する方式。PaaS型のクラウドサービスで採用されることが多い。個別にシステムが用意されるため、マルチテナントと比較すると運用コストが高くなり、環境の構築に時間を要する。しかし、カスタマイズ性は高く、セキュリティの信頼性に優れているというメリットがある。

現在、マルチテナントの利用が広がっているが、どちらを選ぶかはメリット・デメリットを見極め、業務の内容や利用目的に応じて判断することが肝要だ。
(青木逸美)

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