データの民主化
企業において一部専門家のみが扱っていたデータを、社内の誰もが有効に活用できるIT環境を構築することを意味する。大企業になるほど、扱うデータ量は多くなる。良質なデータを莫大に集めても、必要な時に利用できなければ、何の価値もないことになる。データを取捨選択して有効活用することが、企業の成長にとって必要不可欠だ。そこで、多くの企業が自社の競争力を高めるために、データ分析の仕組みや環境整備を進めている。
データの民主化の背景には、2018年に経済産業省が発表した「2025年の壁」問題がある。現在、日本企業で使用しているシステムが、2025年には時代遅れとなり、年間12兆円の経済的損失が発生するというものだ。膨大な損失を回避するため、データの民主化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進が急務とされている。
データの民主化を推進するための3ステップは以下の通り。
(1)社内のデータを統合し、カテゴリー別に振り分けて内容を把握する
(2)データの活用目的を明確にする
(3)統合したデータの中から必要なものを収集。不要なデータは排除する
データの民主化を行っても、時間経過とともに「サイロ化」と呼ばれるデータの分断が進む可能性がある。サイロ化が進むと、システムに同じ機能や同じデータが散在して、データの利用効率が低下してしまう。サイロ化の防止には定期的なデータ整備が必要だ。そのためには、継続的に管理しやすい体制を整えることが重要となる。また、データを適正に扱うための最低限のスキルやリテラシーが求められる。社員の教育・育成も重要課題である。
(青木逸美)