戸田覚の週刊「ジバラ」-自分働き方改革のススメ - 【第7回】

もう議事録は古い。最新の会議記録方法(2)



議事録は必要だが以前のように時間を掛けて作るのはナンセンス。議事録を作成するとしても、会議中には録音をするだけにとどめることで、作業の負担が大幅に減る――これが前回のあらすじだ。今回はさらに「ジバラ(自分働き方改革)」を極め、完璧に会議を記録する方法を紹介しよう。

文/戸田 覚


ビデオ撮影は最良の記録手段

 完璧に会議を記録する方法は単純で、ビデオで撮影すればよいのだ。録音したファイルを保存しておいても、1週間もすれば記憶が薄れてしまい、どの発言が誰の物なのかわからなくなる。また、会議に出られなかった人に録音したファイルを渡した際にも同様で、かなり気を使って聞いていかないと発言の主がわからない。

 さらに、プレゼンのスライドを指し示しての発表は、音声だけを聞いてもさっぱり要領を得ない。ビデオ撮影が最良の記録手段だ。

録画はスマホでは難しい

 最近は、スマホがコンパクトデジタルカメラを駆逐する勢いだ。もちろん、動画撮影機能も搭載しているので、会議の記録も撮影は可能だ。ところが、動画の場合には本体を固定する必要がある。スマホは普通の三脚には取りつけられないのが困りものだ。

 会議などを録画するなら、なるべくは普通のビデオカメラの利用をお勧めする。とはいえ、そのためだけにカメラを買うのもナンセンスだ。これから手に入れるなら、ウェブカメラをパソコンにつなぐのが最も予算を抑えられる。1万円程度で販売されているウェブカメラを自分撮りではなく、周辺を撮影するために使うのだ。記録は直接パソコンに行えるので、ファイルの扱いも楽だし、電源なども気にしなくてよい。パソコンのバッテリーさえ十分なら問題なく撮れるはずだ。

 専用のカメラを買うのも一考だ。僕も色々試したのだが、一般的なビデオカメラでは本体サイズが大きすぎる上に、望遠に機能が振られているのがいただけない。会議の記録には、10倍ズームなど不要。逆に、ワイドに撮れるほうが望ましい。狭い部屋でもカメラをあまり引くことなく、全貌が撮れる方がありがたいのだ。参加者全員の発言を記録できるのがベストだ。

 これから買うなら、アクションカメラがおすすめだ。ワイドに撮れるのが特徴で、コンパクトなのもいいところだ。僕はGoProを利用しているが、安価なアクションカメラなら、1万円台でも手に入る。

Webカメラを自分撮りではなく逆に使う。これで、会議の様子を撮れる

全天空カメラなら最適だ

 どんなに狭い会議室でも、全貌を記録したいなら全天空カメラを使うとよいだろう。天上から足元まですべてを写せるカメラなので、もはや画角などを気にする必要もない。会議のテーブルの真ん中に置いておけば、全員の発言と様子が記録可能だ。僕は、サムスン電子のGear 360を利用しているが、リコーのTHETAもおすすめだ。

 360度カメラを選ぶ際には、解像度に気をつけよう。会議でプレゼンなどもしっかりと撮りたいなら、4Kでの録画はぜひ欲しいところだ。

 全天空カメラ、アクションカメラ共に、4Kで撮影すると動画のファイルサイズが大きくなる。しかも、多くのカメラが対応しているAVCHD型式のファイルは4GBで分割されてしまう。Gear 360の場合は、1.8GBで分割される。これらのファイルは、専用のアプリを利用して合体しなければならないので面倒だ。

 単なるやりとりの記録をしたいだけなら、4Kは不要。解像度を下げても誰が話しているかなどは問題なく理解できる。プレゼンの様子も記録したいときには4Kを利用するなど、うまく使い分けるのがポイントだ。

撮影している。誰の発言なのかもすぐにわかる

展示会などの記録にもビデオを活用

 会議や商談の記録だけでなく、さまざまな情報の蓄積にもビデオは非常に役立つ。僕はことあるごとに動画を撮影している。例えば、仕事でパソコンのレビューなどを書く際には、実機を操作しながらその印象を動画で記録している。すでに、7~8年前の動画も貯まっており、今となっては自分的には貴重な資料だ。

 また、展示会や視察に出かけた際にも、積極的に動画を撮っている。こうしておけば、報告書を作成したり、企画書などを作るときの情報としてとても役立つはずだ。社内のプレゼンなら、多少デキが悪い動画でも貼り付けて利用できる。

 ある製造業に取材した際に興味深い情報を教えていただいた。この会社では、機械のメンテナンスの様子を動画で記録していた。機械を購入した際にメーカーの担当者がメンテナンスのやり方を教えてくれるのだが、その情報を得た社員が退職してしまうと、途端に困ることになる。再び機械メーカーにお願いしてメンテナンスの手順を教えてもらっていたのだ。そこで、メンテナンスの様子を詳しく動画で撮影しておくようにしたところ、急な退職でも、すぐに作業ができるようになったとのことだ。

 人に依存する作業も動画で記録しておくと、情報や技術の継承に役立つ。もちろん、人から人へとつないでいくのも大事だが、動画があることでより情報を伝えやすくなるのだ。

 どちらも写真と同様にOneNoteに貼り付けて管理すると後で探しやすい。また、スマホでも再生できるので、必要な時に即見られるのだ。

6年ほど前に撮影したパソコンを評価する際の記録ビデオが、OneNoteから簡単に開ける

スマホでも過去に撮影した動画が再生できるのはとても便利だ

筆者プロフィール:戸田 覚

1963年生まれ。IT・ビジネス書作家として30年以上のキャリアを持ち、「あのヒット商品のナマ企画書が見たい」(ダイヤモンド社)など著作は150冊を超え、IT系、ビジネス系を中心に月間40本以上の連載を抱えている。テレビ・ラジオ出演、講演なども多数行っている。